19世紀フランスの画家 Édouard Manet の日本での受容に焦点を当てた 日本国内のコレクション、資料と日本の現代作家 (森村 泰昌, 福田 美蘭) の作品に基づく展覧会です。 近代絵画の起点にあたる作家として印象派 (Impressionism) の文脈で語られがちなものの 作風的にも世代的にもサロン中心の活動といい印象派と言い難いことや、 1900年前後の批評の中での Manet の扱いと絵画作品上での Manet からの影響などを、 資料・作品だけでなくキュレータによる熱量多めの「長すぎるキャプション」で描きます。 COVID-19などの影響もあって海外からの作家や作品を持ってくることが難しく、 使える作品・資料・作家の大きな制約の中で企画力で見せる展覧会として、とても面白い展覧会でした。
しかし、受容史といっても美術史的な文脈に大きく限定されていて、かなり深く掘り下げていたと思うものの、そのスコープが自分の興味をすれ違った感も否めず。 結局、そのような企画意図よりも、油彩だけでなく版画を多く製作していた事、 有名な近代的な風俗だけでなくスペイン・モチーフの多用に気付かされたことが、収穫でした。