芸術見本市 YPAM (横浜国際舞台芸術ミーテイング Yokohama International Performing Arts Meeting) のYPAMディレクション中の1つ、 雲門舞集 (Cloud Gate Dance Theater) の元ダンサー 布拉瑞揚・帕格勒法 [Bulareyaung Pagarlava] の主宰する台湾のダンスカンパニーの初来日公演です。 台湾原住民族の一つ排灣 [Paiwan] 族を出自に持つ布拉瑞揚 [Bulareyaung] が、 同じく台湾原住民族である布農 [Bunun] 族の集落 羅娜 [Luluna] で取材した歌唱や戦功の宴などの伝統に着想したコンテンポラリー・ダンス作品とのことでした。
ダンサーは全員男性で半裸姿です。 舞台装置は用いず、ブラックボックスの舞台に筆書きされた線や単純な図形を白光で投影する程度のミニマリスティックな演出です。 月夜を想起させる暗めの照明で、白色LED小型ヘッドライトも効果的に使われていました。 音楽はダンサー自身が歌う歌と踏み鳴らすリズムで時に低く静かに時に力強い詠唱、 また、いかにもダンサー体型ではない1名が哀愁も感じる詠唱を聴かせました。 そんな音楽に合わせ、狩猟の儀式や戦果の宴などに基づく レスリングやボディビルディングも連想させる力強い動きからなるダンスでした。
一見マッチョなパフォーマンスでもあるのですが、ダンサーではない1名の動きの歌唱の異化作用もあってか、 単に力強く盛り上がるというよりも、少々感傷的でもあり、祈りにも似た神妙さも感じるパフォーマンスでした。