Swinging London と呼ばれる1960年代イギリスの文化革命をファッション面から担った Mary Quant の展覧会です。 イギリス Victoria & Albert (V&A) Museum の2019年の展覧会の国際巡回展です。 1955年のブティックBazaar創業から収益性の高いコスメ事業に重点を移す前の1975年までの20年間に焦点を当てた内容で、 V&Aコレクションの約100点の当時の衣服の展示が見所ですが、 当時の Swinging London の雰囲気が楽しめるだけでなく、衣服はもちろん写真や映像、資料をもとに Mary Quant の衣服から見た1960年代文化革命を辿るような見応えのある展覧会でした。
ミニスカートのオリジネーターとして知られるわけですが、 デザイン面の革新性としては むしろ、女性のためのパンツスタイルのパイオニアでもあったか、タイツにも特徴があったとか、 PVC (Alligator Rainwearとのコラボレーション) やジャージー (Jergey Dress), エラスタン (アンダーウェア) などの素材への取り組みにも特徴があったことに気付かされました。 その一方で、1970年代になるとマキシ丈のドレスもあったりして、流行に逆らうのも難しかったのだろうな、と。 また、登録商標 The Black Daisy や、型紙やニットの編み図、ライセンス生産など先見的な既製服ビジネスという面にも触れられていました。 衣服における流行の変化だけでなくこのビジネス面の才覚が、1970年代後半以降、アパレルから採算性の高いコスメへ軸足を移すことになったのかな、とも。 1960年代のクリエイティヴ・ピークの華やかさだけでなく、時代の変遷も感じることができた展示でした。