南仏オクシタニア・トゥールーズを拠点とする Jonathan Guichard が主催する現代サーカスのカンパニー Cie H.M.G.の2017年作です。 アクロバティックなパフォーマンスをするパフォーマーとミュージシャンの2人が出演する作品で、 Guichard 自身がパフォーマーとして出演する場合もあるようですが、今回の日本公演はもう一人の方の出演でした。
ムーブメントや音楽のベースには hip hop dance があるのですが、抽象化され、いわゆるストリート・カルチャー的な意匠は全く用いられません。 衣装も茶の皮のショートブーツにダークグレーのスタンドカラーシャツにスリムなパンツというミニマリスト的なものです。 ミュージシャンはグルーヴボックスを操り、 フロアやテーブルに仕込んだコンタクトマイクで拾ったパフォーマーが立てる物音や、 観客の頭蓋骨を音叉で響かせてコメカミに当てたマイクで拾った音などから、 ミュージシャンが操作するバッドや観客に持たせたスイッチを使い、abstract hip hop なグルーヴをライヴで組み立てていきます。 それに合わせてのダンスも、 弧状に曲げた身長大の木製ボートにワイヤーを張った道具を使い、 スイングさせたボードの上やさらにワイヤーの上に乗ってのアクロバットを交えることで、立体的かつダイナミックになり、見応えありました。
さらに、言葉は使わないものの、手振り目配せで客弄りして握手や拍手で場の雰囲気を盛り上げるし、 大袈裟ではないちょっとした仕草や表情でくすりとさせるような笑いも取ります。 単にクールにパフォーマンスを見せるだけでも見応えあったと思いますが、それだけではない面白さもありました。 そんな、大人も子供も演技に引き込まれる、魅力的な作品でした。