毎年7月恒例の、人形劇・マイムやサーカスなどセリフに依らず親子で楽しめる小規模な舞台作品を国内外から集めるフェスティバル 『世界をみよう!』。 今年はこの2作品を合わせたBプログラムを観てきました。
フランスを拠点に活動する女性サーカスアーティストのソロ作品です。 Cyr wheel を使ったパフォーマンスですが、技を見せるというより、 プルオーバーフーディを巧みに使って顔の無い人物のシュールなイメージを作り出すパフォーマンスです。 少しサイズ大きめのグレーのプルオーバーフーディを着て登場しますが、両袖先は Cyr wheel に固定されています。 そこで頭を引っ込め、左手はそのままで、右手を袖から抜いてフードを押し上げることで、まるで顔の無い人のようになって、片手で Cyr wheel を演じます。 後半は、袖を Cyr wheel から外し、Cyr wheel はほぼ床に置いた状態で、その輪の中で、プルオーバーフーディの中でコントーションを演技します。 足を袖から出したりと不思議な形態を見せます。 ラストは、手でフードを押し上げて顔が無い人が胡座を描いたような状態になり まるで膝上で頭を抱えるように裾下から頭を出して、静かに終わりました。
イタリア出身ながらフランスを拠点に活動する男性サーカスアーティストによる、ボールをトス&コンタクト・ジャグリングしながら形態模写する作品です。 まずは、人魚というか魚や両生類の幼生 (おたまじゃくし) のような姿で床を這いながらヘッドローリング。 足を覆う鰭を脱ぎ捨ててからは、3ボールのトス・ジャグリングやヘッドローリングをしながら、 動物らしい声も発しつつ、カエル、爬虫類、おそらく恐竜、鳥と、脊椎動物の進化を追うように携帯模写をしていきます。 最後は、猿 (おそらくゴリラ) から人にまで進化して、たどたどしく歌を歌って終わりました。
どちらもセットや大きな道具、映像プロジェクションの類は用いないソロで、見応えあるという類の作品ではありませんが、こじんまりとはしているものの味わいある佳作でした。