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Review: 『ABSTRACTlON 抽象絵画の覚醒と展開』 @ アーティゾン美術館 (美術展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2023/08/20
『ABSTRACTlON 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ』
The Genesis and Evolution of Abstract Painting - Cézanne, Fauvism, Cubism and on to Today
アーティゾン美術館
2023/06/03-2023/08/20 (月休), 10:00-18:00.

19世紀末、Cézanne らポスト印象派 (post-Impressionism) を起点として、 戦後のアンフォルメル (Informel) や抽象表現主義 (Abstract Expressionism) への 非幾何的抽象美術 (Nongeometrical Abstract Art) の系譜を、 MoMAの Anthony Burr のCubism and Abstract Art などを補助線に辿る展覧会です。 オーソドックスな西洋近代美術史を辿る展覧会で、 日本の同時代同傾向の動きも参照しつつも、フランスとアメリカをメインとしたここまでベタな展示は国立近代美術館などの常設展でもなかかな無いかもしれません。 抽象表現主義を最後にミニマル・アートやポップ・アートも飛ばして (おそらく幾何的抽象の系譜に寄るからでしょうか)、「現代の作家たち」になってしまうのは、飛ばしすぎに感じましたが。

自分がこのようなオーソドックスな西洋近代美術史を知ったのは、高校生の時、 1984年の東京都庭園美術館の開館記念展『グッゲンハイム美術館展』を通してでした。 日本の動向を除いて歴史のたどり方はこの展覧会とほぼ同じだと思いつつ、 『グッゲンハイム美術館展』で最後に置かれていたのがスーパーリアリズム (Super-Realism) だったことを思い出しました。 ちょうど2日前に国立映画アーカイブ企画上映で聞いた山村浩二のトークでも、 1980年代前半にスーパーリアリズムの絵を描いていたという話がありました。 忘れかけていたけれども、1980年代前半は賛否はあれど絵画の最新動向と見做されていたな、と。 展覧会とは直接関係無いもののそんなことを思い出した展覧会でもありました。