1960年代末から活動し2020年に亡くなった日本の服飾デザイナー 高田 賢三 の回顧展です。
年表やそれに関連しての資料展示はありましたが、衣装展示は1970年代、1980年代の2コーナーのみ。
衣装展示で焦点を当てられた、パリに進出した1970年以降、KENZOブランドがLVMHに買収された1993年より前の間が、やはり創作のピークでしょうか。
自分が服飾デザインに興味を持つようになったのは1980年代ですが、
黒白を基調とした comme des garçons や Y's (Yohji Yamamoto) とは対称的カラフルなブランドという印象がありました。
自分の好みは前者ということで、当時、KENZOの服はほとんどチェックしていなかったのですが、
今回、展覧会で見直して、花柄使いも特徴的な欧州のフォークロア (民族衣装) を引用再構成したものと気付かされました。
ファッション展ではありがちではあるののですが、メンズの展示がほぼなかったのも、このデザイナーのボジションを示しているように感じられました。
2021年まで『オープン・スペース』と銘打っていたアニュアルのグループ展の2024年版です。
印象に残った作品は、
香港出身の Winnie Soon による «Unerasable Characters» (2020-2022)。
低い書架に大きく投影されたランダムに見える文字などスタイリッシュなインスタレーションに
SNS, マイクロブログに対する検閲の問題を浮かび上がらせていました。
古澤 龍 の《Mid Tide #3》 (2024) は、
高谷 史郎 の《toposcan》 (2013) にも一見似ているのですが、
しばらく眺めていると、走査してフリーズさせるかのような《toposcan》とは異なり、
波動を動きがあるままに圧縮伸張していくところが面白く感じられました。
Ravel: Bolero の81種類の演奏 (interpretation) 音源をぼやけた音像に組み上げた
木藤 遼太《M.81の骨格——82番目のポートレイト》 (2024)、
郊外や埋立地の工事現場をパフォーマンスに使う舞台のように象徴的にギャラリー内に再構成した
青柳 菜摘+細井 美裕 《新地登記簿》(2024) なども、印象に残りました。