TFJ's Sidewalk Cafe > Dustbin Of History >
Review: Gustav Metzger @ TOWER MMK (Museum für Moderne Kust) (美術展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2024/11/10

11月上旬はドイツ出張。 過密スケジュールだったのですが、最終日8日は帰国便待ちで2〜3時間の余裕があったので、Frankfurt 旧市街の散策。 Kleinmarkthalle でランチした後、 近接してある現代美術館 MUSEUM MMK (Museum für Moderne Kust) を覗くも展覧会はやっておらず、 Gallusanlage 公園に面した高層ビル内にある TOWER MMK を案内されたので、そちらへ。

Gustav Metzger
MUSEUM MMK (Museum für Moderne Kust), Frankfurt
2024/07/27-2025/01/05 (12/24,12/31 closed), 11:00-18:30 (Wednesday -20:00)

Metzger は1926年ドイツ・フランケン地方のニュルンベルグ生れながらユダヤ系のため1939年に最後の Kinderstransport (ナチス支配地域からの子供たちの組織的な救出活動) でイギリスへ。 戦後に Fluxus にも近い位置で活動した作家で、 1960年に提唱した Auto-destructive art (自動破壊芸術) は、 Ealing Art Collage 時代に彼に師事した Pete Townshend のロックバンド The Who の破壊パフォーマンスの着想源としても知られます [NME Japan の記事]。

そんな背景から、お騒がせ荒っぽいパフォーマンスを記録したドキュメントを中心とした雑然とした展示を予想したのですが、むしろ、会場はスッキリ。 最初期のドローイングに始まり、ユダヤ系の背景を持つ作家らしくホロコーストを題材としたコンセプチャルでミニマリスティックなインスタレーションなど。 ボコボコにした自動車 “Kill The Car” (1996) など、らしい作品もありましたが、むしろ、結果として現代アートのトレンドに沿うような作風。 Auto-destractive art の腐食する物体をとらえた写真や動画なども、むしろ、同時代の抽象表現主義 (Abstract-Expressionism) にも近いものを感じました。

Metzger の作品をまとめて観る機会など日本では滅多になさそうなので、観てよかったでしょうか。 伝説的に言われていることを通して知ることと実際に作品を観ることの違いを実感した展覧会でした。

MUSEUM MMKからTOWER MMKへは、せっかくなので、中世の雰囲気の残る Dom St. Bartholomäus (大聖堂) や Römer Platz を経由しつつ。 展示を観た後は hauptwache 駅まで Goethe HausDie St. Katharinenkirche と Johann Wolfgang von Goethe 聖地巡礼 (生家と洗礼した教会)。 のふりをしつつ実は『アルプスの少女ハイジ』聖地巡礼 (クララの家のモデルとハイジが登った教会の塔)。 時間がなく前を通過しただけですし、教会は外装修復中でしたが。