2012年に香川県を拠点に活動するコンテンポラリーサーカスの拠点、瀬戸内サーカスファクトリーが、 フランスのサーカスアーティストと共同創作した作品です。 首都圏での公演がほとんど無く観る機会が無かった瀬戸内サーカスファクトリーですが、 この横浜国際舞台芸術ミーティング2025 (YPAM2025) のYPAMフリンジでの公演で、やっと観ることができました。
芥川 龍之介 の短編小説『蜘蛛の糸』に着想した約一時間の作品です。 香川県産の石材や木材を使った装置を使いつつ、抽象度の高いミニマリスティックな演習で、 その物語を演じるというより、着想した場面をサーカススキルを交えつつ描いたものを連ねていく様な作品でした。 中盤のエアリアルアーティスト2名によるロープ2本回転させながらのエアリアルから後方の壁前を方形に巡るワイヤーワークの場面や、 ラストの円錐状の光の中、釣りされた石を揺らしながらその上でのソロのアクロバットなど、 エアリアルスキルを活かした浮遊感ある場面が、美しく印象に残りました。
その一方で、前半の長さ 50 cm 程度の角材を積み上げたりする場面は、テキパキした動きなどは、演技というより逆に作業を見ているようで趣に欠けるように感じる時もありました。 自分が『蜘蛛の糸』のハイライト的な場面と期待していたということもあるかもしれませんが、 ラスト直前の犍陀多が地獄から逃れようと蜘蛛と糸を登る場面が、 リガーも含めた6名のパフォーマーが吊り下げたロープの周りで小さな動きでわちゃわちゃ動いていて、総体として動きがごちゃごちゃとして映えない印象を受けたのも惜しく感じました。