ニューヨーク生れ/拠点ながら CalArts (California Institute of the Arts) 出身で、
1980年前後から1990年代にかけて "Bad Boys" と呼ばれた CalArts 出身/南カルフォルニア拠点の
Mike Kelley, Paul McCarthy, Raymond Pettibon らのアーティストと共に注目されるようになった、Tony Oursler の個展です。
複合商業施設内のアートスペースでの展示ですが、比較的初期の作品から近年の大規模なインスタレーションまで、回顧展に近い大規模な展覧会でした。
1990年代の «Private» (1993) や «Lost Time» (1993) に典型的ですが、
プリコラージュ的な人型のオブジェにプロジェクションマッピング的に顔 (もしくはそのパーツ) を投影し、その映像に語らせる、物が語るようなシュールさ、不気味さが作風です。
近年の作品は追えていなかったのですが、投影先のオブジェはブリコラージュ感が減りシンプルになり、没入型のインスタレーションのように大規模となる一方で、
投影される映像は複雑となり、タイトルにもあるようキメラのようにバーツが組み合わせて加工され、不気味さが映像作りの方に移行したようでした。
その不気味さのセンスはオカルト的で、その種明かしをするかのように Oursler 自身のコレクションである Imponderable Archive の展示もあり、
現代的というより、20世紀末 (1980年前後以降) のサブカルチャーの時代を思い出されました。
しかし、1990年前後に Black Flag, Minutemen らのSSTレーベルや Sonic Youth やそのルーツとして伝説的な存在だった Destroy All Monsters など US indie rock の文脈から Mike Kelley ら "Bad Boys" を、そして Tony Oursler を知ったということもあると思いますが、
「マルチメディアアートの巨匠」のような惹句に違和感を覚えました。
2023年オープンの再開発エリアの複合商業施設の中のアートスペースという21世紀グローバル資本主義を現前するかのような展示空間も、
«Specular» (2021) や «Chimera» (2026) のような近年の大規模なインスタレーションさほどではありませんでしたが、
初期の «Private» やブリコラージュに映像投影する小品などはオルタナティヴ・スペースなどの少々いかがわしい雰囲気の残る空間での展示が生きるものではないか、と。
そうか、現代アートが社会に受容されるということはこういうことか、と見るようでもありました。