Bodies in Urban Spaces は 振付家 Willi Dorner 率いるオーストリアのダンス・カンパニーが展開している「街を振り付ける」プロジェクト。 初演は2007年だが、自分がこの作品のことを知ったのは、 2009年の Dance Umbrella でのパフォーマンスでの様子を捉えた ビデオで。 身体を使って街をユーモラスに異化する様子に興味を惹かれていたので、 日本でのパフォーマンスを楽しみにしていた。 実際に観た印象はビデオで観たものと大きくは変わらなかったし、 「街を振り付ける」というのとは違うようにも思ったが、 「えっ、そんな所に」というユーモアも楽しく観ることができた。
そのパフォーマンスは、鮮やかな色のフード付きジャージ上下に身を包んだパフォーマーたちが 街ののあちこちで日常ではあり得ないポーズを取っていくというもの。 スタッフに率いられた観客は繰り広げるパフォーマンスを追いつつ、 前の場所から次の場所へ走るパフォーマーたちに抜かれつつ、鑑賞していく。 もちろん、スタート地点からの観客だけでなく、途中で見かけて興味を持って観始める客もいた。
隙間を埋めるように折り重なったり、電柱や手すりの作る隙間にひっくり返って挟まっていたり。 都市の隙間へ視線を誘導し、普段は見落としがちな物を再発見させるようなパフォーマンスだ。 そのポーズは何かを意味するというより即物的なのだが、にじみ出る生身感がある。 走り抜けていくパフォーマーたちを、移動中に目にしているということもあるだろう。 オブジェを使った街中インスタレーションと違い、「そこで何をやっているの?」と思わせるような所がある。 そして、それが、単に街を異化する以上のユーモアを生んでいた。
ビデオで観ていたのとは大きな違いは、観る方も動かされるということ。 9月末とはいえ台風が近付く日で蒸し暑く、 パフォーマーを追いつつ神奈川芸術劇場から中華街と元町商店街を抜けて港の見える丘公園まで 小一時間歩き回ったら、汗ばむほどだった。 パフォーマーと共に、というか、かくれんぼ程ではないが、 あの隙間にパフォーマーが挟まってないかときょろきょろ見回しながら街歩きをするよう。 それも、このパフォーマンスの面白さかもしれない。
以下、パフォーマンスの様子の写真を時系列で。 主要なものの抜粋で、観ることの出来た全てのボーズではありません。
神奈川芸術劇場の壁。
ヤナセ脇の路地。
ローズホテル横浜の裏。
中華街東門の脇の歩道。
中華街の店のすきま。
GSハイム山下町。
リレント山下町。
エスカル横浜の裏。
その隣のマンションの塵捨て場。
中村川沿いの道に面したビルの外部階段。
前田橋北橋詰。
前田橋南橋詰。
元町の髪結處サワイイ。
元町の香炉庵。
元町プラザのATM脇。
元町プラザの正面階段。
元町プラザと Brooks Brothers の境界壁の隙間。
港の見える丘公園下入口の階段。
港の見える丘公園下入口脇の植え込み。
港の見える丘公園の西側の坂。
港の見える丘公園の展望台脇。これがフィナーレ。
終演後の挨拶。