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旅のアルバム
 中国 桂林・陽朔の旅 

「墨絵の世界」 桂林・陽朔を訪ねて


陽朔

山水画のような風景が広がる桂林は、多くの文人が訪れ、その美しさを称賛しています。
その賛美の中でも、宋代の王正功の「桂林山水甲天下」(桂林の風景は世界一美しい)という詩は有名です。
6月初めは雨の多い時期でしたが、雨が山水画の雰囲気を醸し出し、より一層幻想的でした。 では、桂林の墨絵の世界へどうぞ。

                    

桂林・陽朔

桂林は香港の西北に位置し、緯度は台湾とほぼ同じです。
羽田 → 上海浦東国際空港 → 桂林
(1時間40分)       (2時間45分)
羽田から上海までより、国内の移動の方が長い。広い国ですね。
           上海浦東国際空港

羽田から上海浦東(プートン)国際空港で乗り換え、桂林へ。
浦東空港は、天井に長い棒が刺さった様な変ったデザインですね。
この空港で待ち時間があったので、iPadを使おうと、事前にwifiが浦東空港で使用できるか調べて行ったのですが、空港内でwifiを使うには、中国の携帯でSMSでwifi用のパスワードを取得しなければならないということ。中国の携帯を持っていなくても、パスポートを読み取り、パスワード発行できる端末機器があるという情報で、空港中を探してみましたが、空港スタッフに聞いても、以前端末のあった場所を教えてくれたり、答えが曖昧で、やはりどこにもありません。フライトアテンダントに聞いてみると、以前はその端末機器(ピンクボックスと言っていました)があったそうですが、今はなくなったということで、結局パスワード取得は諦め、設置してあったPCをプライベートでない範囲で使いました。中国の空港ではwifiが簡単には使えず、不便ですね。wiriレンタルやコーヒーショップ内だったらOKでしょうが、空港内でもっとfree wifiを気軽に使える様にしてほしいものです。(中国ではGoogle や Facebook YouTube等使えないものがあり、インターネット規制がされていますし、日本国内の様にはいきません。)
桂林両江国際空港

上海から空路で約2時間15分。
桂林市の南西約30kmの所にあります。


やっと桂林に着きました。
緯度は大体「台湾」と同じくらいで、日本より暑いです。夜になってしまったので、観光は翌日からのお楽しみ!
陽朔
陽朔 「世外桃源」

桂林から約50kmの所にある、少数民族の「桃源郷」を主題にしたテーマパーク。自然の湖沼や 洞窟、奇峰に囲まれた風光明媚な土地を利用して作られています。
世外桃源」という名前は、陶淵明「桃花源記」に書かれたユートピア「桃源郷」に由来し ています。
「桃花源記」

中国の古代の詩人陶淵明の描いた理想郷物語。
「桃花源記」とは「桃の花の咲く水源の奥の密かな地
の記」という意味。漢文の教科書にも出ています。
*
桃の花の林に迷い込んだ武陵(ぶりょう)の漁師が、
外の世界と隔絶した平和で豊かな村を見つけるが、
もう一度行こうとして果たせなかった物語。

陽朔の若者たちが二胡の演奏で出迎えてくれました。
「世外桃源」内部の建物より
小舟に乗って山水画の世界へ
チワン族の女の子達が、頭を激しく
振る踊りを披露してくれました。
小舟に乗って遊覧
あいにく、急に雨が激しくなり、舟の中まで降り
込み、衣服が濡れてしまいましたが、それでも
山水画の世界を満喫できました。合羽を持って
きた方は正解でした。

昼食は郷土料理。あまり辛くなくて、野菜が多くヘルシー。
訾洲(ししゅう)公園
訾洲は桂林市内、漓江(りこう)の東岸に位置し、訾洲河と漓江が合流してできた中洲で、漓江の自然環境を保護する目的で、美しい公園として開発された。四季折々の景観を楽しむことができる。河を隔てて象鼻山も眺められる。園内は電気自動車で移動できる。
象鼻山

象が漓江に鼻を入れて水を飲んでいる姿に見えます。
象の腹に当たる部分には洞窟があり、桂林の名産品「三花酒」という米焼酎の貯蔵庫があります。象鼻山の山頂には日本に仏教を伝えた「鑑真和尚」を祀った塔があります。鑑真は出航するも、海南島に流され、陸路を戻る途中桂林に立ち寄ったと言われ、六度目の挑戦でやっと日本に辿り着いたと伝えられています。

琴を弾く巨匠の像

巨木の周りには十二支の像が並んでいました。

園内の植物。蘭の一種でしょうか。

雨の多い街なので、自転車やバイクに
後ろの長い傘がよく使われている。

桂林は金木犀の街。
金木犀色のオレンジと緑のレンタル自転車。
古南門
古南門は唐代(618~907)の南大門で、榕湖の北岸にあります。
宗時代(960-1279)に再建、門楼は中日戦争の後に再建されました。
門の上の文字「古南門」は文豪「郭沫若」の書(1963年)です。

郭沫若は、日本とも関係が深く、1914年日本に留学。岡山の六高から九大医学部に進む。
はじめは国民党に参加するが、左傾化する。蒋介石と対立後、中国共産党に入るが、蒋介石に追われ、1928年日本に亡命し、中国史の研究に没頭。
1937年盧溝橋事件(日中戦争)勃発後に日本の家族を残し中国に帰国。国民政府に参加。中国共産党では要職に就く。毛沢東に迎合し、文化大革命では自己批判を行うが、四人組が逮捕されると一転して彼らを批判することになる。
激動の時代を生きた文学者・歴史学者・政治家であり、日本と中国の懸け橋となった。

緑の大木に吊るされた赤い飾りが印象的。

古南門

古南門

古榕橋(二双のアーチ形の美しい橋)からの眺め

古南門前の榕湖の眺め
桂林博物館

日本の博物館とは違って、展示品を売っています。美術品の飾ってある紫檀の飾り棚ごと300万円とか言っていましたが、他の地域でも同じ様な博物館がありました。博物館が簡単に手放せるということは、それほど貴重なものではないのかと疑ってしまいます。いかにも中国らしいですね。

茶芸館

 
中国のお茶と云えば、ウーロン茶ですが、ここでは田七人参茶がおすすめでした。
田七人参とはウコギ科の多年草で、中国では古来より「金不換」(金では買えないもの)と
いわれるほど貴重な秘薬として重宝されてきました。肥満の蓄積を抑制、コレステロール値
の低下、血流改善等の効果のあるサポニンが朝鮮人参の3倍も含まれると言われています。
(写真右端が田七人参。 根だけでなく、花や茎葉も薬用として食べることができます。)
効用:止血、消腫(腫れ物を消すこと)、鎮痛、消炎、強心薬、狭心症、高血圧、心筋梗塞、等。


お茶菓子の「木棉花(モクメンカ)の蜂蜜漬」
お店ではバラの花と言っていましたが、正しくは木棉花(モクメンカ、きわたの花)の蜂蜜漬。
この木はコットンツリー、ワタノキとも言われ、花は真っ赤で大きく、広州市や潮州市などの市花。
花びらは肉厚で、味は甘酸っぱく、思ったより食べやすく美味しかったです。花は「五花茶」と言われる
冷茶(ハーブティー)の材料の1つで、漢方として花は、体内の余分な湿気と熱を取る効能があります。
種子には白い毛が生えていて、枕や布団の綿に使われます。
桂林観光のハイライト「漓江下り」へ
冠岩

「漓江は青い帯のように流れ、山々は碧玉のかんざしのように輝く・・・」
唐代の詩人「韓愈」が桂林の絶景を詠じていますが、
今もなおその美しい自然が私達を魅了します。

桂林市街から車で約45分、冠岩に着くと、もうそこは幽玄の世界です!
ここから漓江下りの遊覧船に乗るのですが、前日は雨で河の水位が増し、残念
ながら運航休止。翌日は大丈夫かと心配でしたが、何とか運航でき、一安心!

冠岩幽堂


岩の形が古代皇帝の冠にいていることから、冠岩とよばれる岩山が漓江沿いにあります。岸壁にある
穴の中は巨大な鍾乳洞になっていて、そこを抜けると桃源郷に行くことができるという伝説があります。

漓江下りの前に、漓江のスポットの1つ冠岩幽堂に入ってみました。入口からエレベータで降りて、
内部はトロッコで移動しますが、トロッコに乗っていると頭上から突然水が落ちてくることがあるので
要注意! 他の観光客の邪魔にならない様、傘をさすか、防水のフードを被っていた方が安全です。

エレベーターで冠岩幽堂の中へ。

酒の保存に適しているのでしょう、酒の甕が並んでいました。

奥に入っていくと、大きな空洞になっています。
内部はトロッコで移動なので、お年寄りでも楽に観光できます。

日本の秋吉台等とは規模が違い、さすがに大陸を実感しました。
漓江下り
さあ、ここから船に乗って漓江下りです! 昨日のスコールの様な雨も止み、今日は運航可。
小雨でしたが、かえって幻想的な雰囲気が増し、自然の造れし絶景を満喫しました。
桂林観光のハイライト、世界遺産です。

左:形が古代の皇帝の冠に似ていることから冠岩と呼ばれる。鍾乳洞がある。(前述)
楊堤
漓江下りはここで終わり。お疲れ様でした。

楊堤の町並み

手前の赤い実は「ライチ」
四川料理

中華料理では一番辛いと言われる、四川料理。
辛い唐辛子味噌(豆板醤)を付けて頂きました。日本人旅行者向けに、辛さを控えているようでした。

「七星公園」の「桂林動物園」

「七星景区」動物園の入口

恐竜がお出迎え

桂林動物園

パンダが寝転がっていました。かわいいポーズ!

バナナの木

街路樹に提灯、いかにも中国らしい風景ですね。

杉湖の「日月塔」
夜になるとライトアップされます。

店頭で胡麻菓子を作っている。

唐辛子専門店。 辛そう~!

広東料理。(中華料理の中では甘め) 豆板醤ほど辛くない海老味噌が美味!
一度は訪れたい絶景地「桂林」、雨に霞む景色は正に墨絵の世界でした。
写真では全てをお伝えできませんが、自然が創る造形は雄大で美しいものでした。
ただ、これほどの景勝地なのに、ホテルではちょっぴり残念な経験をしました。

四つ星ホテルでガイドブックにも載っている所でしたが、朝食時の中国人のマナーの悪さには閉口しました。一人で卵を10個近く取り、肉類も大量に持っていくので、美味しそうなものはすぐに無くなり、残っているのが野菜だけ。無くなると追加されますが、一人が大量に持っていくので、サービスされてもまたすぐに無くなってしまいます。少し遅くレストランに入った人は何も食べるものがなくて、部屋に戻ったと言っていました。
声が大きくてうるさいだけでなく、テーブルの場所取りにもびっくり。まだウェイトレスが片付けていないテーブルに座り、前の人達の食べ残しの食器を、バイキング料理のサービステーブルの上に置いて、自分達の円卓のテーブルクロスを食べている人のいる横で叩き、円卓に掛け直して、自分達の食べ物を山の様に取ってきて置いていました。 私は中国人の行動を呆気にとられて観ていただけで、お肉の無くなった残った野菜のみの料理でしたが、かえってダイエットになってよかったです。
以前、瀋陽の駅でも、中国人が並んでいる列に平気で割り込んでいましたが、こういった自分中心の行動は、中国ではあたり前なのでしょうかね。勿論常識ある中国人もいらっしゃいますが、日本ではあまり見られない様な行動が中国では日常にあり、生活習慣の違いを感じました。同時に、日本人の礼儀正さ、親切な心、人を思いやる気持ちを、改めて素晴らしく思えた旅行でした。

     

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