2013年が始まったときには、「これは困ったことになった」と思ったので、次のようなコメントを書いたりした。
これは、衆議院議員選挙で勝利した自民党の公約について感想を書いたもの。
2013年を迎えた時点で、社会状況と政府についての私見をまとめたもの。
2014年を終えるにあたって、これらの考えに変化はあるか?
まったくない。書き加えるものは無いが、端的に状況を一言で言うと、
さらに悪いことに、現政権がいう「保守」は国家主義であり、伝統的な価値意識に基づくものでもない。明治以来の縁故資本主義と国家主導の興国殖産政策のコピーに過ぎない。それは自由主義と自由市場を基本とする資本主義経済の原理と矛盾する。強大な国家権力をもつ大きな政府を造り上げようとするが、その結果、社会のあらゆる側面で、個人の生活と活動は監視され制約されるようになる。自民党の改憲案はまさにそのような、国家主義的な体制を構築しようとする企図を表したものだ。社会福祉と増税と金融政策によって、国民を政府に依存させ、国民をあたかも政府の奴隷のように飼い慣らすこと、政府が税金=国民の富を好き勝手に使って、何の責任もとらなくても済む社会、国家が人間を支配する社会に、日本社会を変質させようとしている。
また、原子力発電所建設についても、本来、自民党政権が保守だというなら、漁業と農業は天照大神から授かった技術であって、それを脅かすような環境破壊を引き起こしてしまった電源開発手法を継続することは、神話的伝統からして間違いだろう。何を保守しようとしているのかが、さっぱりわからない。というか、保守するものなど、彼らに都合の良い現在の社会体制以外には無いのではないか。国家権力を強化することに都合の良い理屈を創作して、それを「保守だ」と言っているに過ぎないのではないか。
安倍政権の狙いが上手く進んで、改憲が成功すれば、個人の選択の自由に基づく自由な市場経済は機能不全となり、独裁的政権と官僚主義的な政府によって統制された国家社会主義的な社会になってしまう。それは戦前・戦中の時代の再来である。あるいはワイマール共和国崩壊後のドイツに似た社会。窮屈で一部の社会階層だけが「自由」を享受できる社会だろう。それは、資本主義経済の破局を意味し、日本の文化にとっては暗黒を意味し、国民生活は苦しみとなる。
したがって、もう一言、端的に言ってしまえば、
明治以来、敗戦までやってきたことの繰り返しに終わるだろう。国民は騙されてはならない。現政権がやろうとしていることは、本来彼らが否定してきた社会主義的な政策に他ならないではないか。
Taro Yamamoto
2014.9.15