島バナナ/95/8/12


竹富島滞在記pt.5

8/13晴れのち曇り
その2

クーラーの効いた食堂から外に出ると、猛烈に暑い。島内をもう少し廻ろうという気は一気に失せた。竹の子、という別の店でかき氷を食って寛ぐことにした。三絃があったので、覚えたての安里屋ユンタを弾いてみると2人に関心される。

午後の集落は静まりかえっていて、至る所に咲き乱れている鮮やかな原色の花にまとわりつくようにひらひらとゆれる黒い蝶達だけが、柔らかい、音なき音をたてているように感じられる。道の白さに反射する、刺すような日差しが風景にくっきりと強いコントラストを与えている。

しばらくぶらぶらとしたあと石垣に戻ることにし、宿で荷物をとり港へと歩いていく。僕と日比君は今夜の那覇行きのフェリーに乗ることが決まっている。Hさんは西表へいくことにしたという。やはり波照間での日々の後なので、竹富は物足りなく感じてしまったという。

一歩歩く毎に汗が流れる。途中でYHの車に追い越される。港で、先に着いた車を見るとヘルパーが乗っていたのがわかった。例のキャンパー達を乗せていったのだ。宿を出る時に何故、一声かけてくれなかったのだろうか。春の時のヘルパーの人は、スコールのなかびしょ濡れで港まで送ってくれたことを思い出す。その上、先ほどから腹の調子が悪い。昨日の夕食のおかずのなかに何か変な味のものがあった。春は、例の同宿の人達が海でとってきたもずくや、ヘルパーの人が作ったジーマミードウフがでて食事の不味さをうまくカバーしてくれたのだが。どうも今回の高那旅館はあまり良い印象を残してくれない。

石垣からの船が着く。ビキニを来た女性が上からパーカーを羽織っただけで乗り込んで来た。たぶん石垣の港のすぐそばにあるホテルの客だろうが、ちょっとそれはないんじゃないか。確かに観光化された面も多い島だけど、日常生活も営まれている訳だし、この船も日常の交通機関でもあるのだから。(江の島で泳いだ後水着のまま小田急に乗れるだろうか。もし、乗れる、という人なのなら文句はいうまい。)

あっという間に石垣に着く。何度も出入りした離島桟橋もこれで最後だ。ここでHさんとはお別れだ。餞別をくれた。フェリーの中での食糧にしてくれという。ありがたく頂戴する。日比君を東京に呼んで3人で再会することを約し西表行きの船を見送る。

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