荷台に乗る子供達/95/8/10


波照間島滞在記8/11pt.2

8/11晴れ
その2

相変わらず人影は少ない。今日はゴーグルを着けて海中をじっくり見ることにする。黒 島では顔を水面に着けた途端に沢山の魚が見えたがここはそうではなく、浜に近いとこ ろにはあまり魚がいない。この浜は遠浅で真っ白な砂が海底を覆っている。そのため隠 れ家がないせいだろう。かちょっと岩礁があるとそのまわりにはさすがに熱帯魚たちが 泳いでいる。
浜から見ると大変美しい海だがこんな島でも徐々に汚染が始まっているらし い。農地改良に因る土壌流出である。本島と違い赤土ではないようだが、確かに水中を 覗いて見ると、珊瑚の死骸が結構あって、その上には細かい粒子の砂が被さっていて、こちらが動くと舞い上がり、水が白く濁る。

あっという間にお昼。あずまやに戻りおにぎりを食べる。島の若者3、4人がアイスボ ックスをかついでやってきた。中味は全部ビールだ。海を見ながら飲もうというらし い。 一人が「リラックス、リラックス」と呪文のように唱えつつお香を焚きはじめた。他の 2人はいやがっている。 横目に見ながらおにぎりを食べていると、私にもビールを一本すすめてくれた。有難く 頂戴する。よく冷えていておいしい。

海を見ると潮がだいぶ引いてきた。今日は旧暦15日だから満月だ。確か満月の日は大 潮だったからかなり引くのだろう。浜の端のほうに島の人が網を設置している。潮が引 くときに魚がひっかかるようにしているのだろう。
一休みした後はせっかくなのでリーフのへりのぎりぎりの所まで行ってみることにす る。ただでさえ遠浅なので行けども行けどもくるぶし位の水深になっている。強い日差 しを受け、水はなまぬるいのを通り越していい湯加減になっている。だいぶ進んでから 振り返ると殆ど浜は干上がってしまった。所々のくぼみには逃げ遅れた小魚が沢山動きまわっている。リーフのへりの近くまで来ると足元 は岩礁になり、あちこちが深くなっている。そこを覗き込むと熱帯魚がいるいる。青い 魚が多い。東京にいるとなんであんな色をしているのかわからないが、この海の中に実 際にいるのを見ると海がそういう色をしているからで、きちんと保護色になっているの がわかる。ここまでくると大きな魚も沢山見られる。リーフの外は急に深くなっていて波も荒くこわいのでここで引き返すことに する。潮もそろそろ満ちて来るかもしれない。

再びあずまやに戻り本でも読むことにする。島の人達が網にかかった魚を取りに戻ってきた。リーフのほうからモリの先に魚を突き刺したのを掲げてやってくるおやじがいる。どこかの宿のおやじらしく、浜にいる人に、「今日の晩飯はこれだぞぉ!」とさけんでいる。

時間は穏やかに緩やかに過ぎていく。


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