上空からの与那国(スキャナー調子悪し)95/08/07


与那国島滞在記pt.1

8/6曇りときどき晴れ

その1

今日は与那国行きの午前の便に乗る。天気はよいが、よく欠航する路線なので早めに空港に行くことにする。西の町は朝が遅い。9時過ぎだが町は静かだ。郵便局の前でタクシーを拾う。空港と市街地を結ぶ公共交通機関がないのだ。初乗り380円と安いが、それでも1人で乗るとなかなか厳しい出費となる。

空港に着くと、今の所予定通りのフライトだという。搭乗券を引き替える。春に与那国に渡ろうとしたときは、改札を済ませて飛行機のそばまでいくバスに乗るところでフライトが中止になった。この日石垣は晴れて穏やかな天候だったのだが与那国では荒れているというのだった。果たして今回は飛ぶのか、実際に飛び立つまで気は抜けない。

遅れもなく改札時刻となり、とりあえず無事64人乗りのプロペラ機YS-11に乗り込む。機内は狭い。窓際の、プロペラのすぐ脇の席だった。 10時半、機体が動き出す。プロペラの回転がどんどん早くなっていき、機体の振動が体に伝わる。ジェット機より飛ぶということがわかりやすい。回転が臨界に達し、滑走路を進むスピードがどんどん早くなって、ふわっと離陸する。
ぐるっと旋回しながら高度を上げていく。白保の珊瑚礁がすぐ眼下に見える。そして一帯の島々がミニチュアのように次々と視界に現われる。この航路は高度3000メートルまでしか上がらないので、景色がずっと、よく見える。西表の南岸から西岸が眼下に見える。道が全く通っていない人跡未踏の密林が険しい斜面を海に落している。あの森の中にイリオモテヤマネコがいるのだろうか。西表を過ぎると外洋だ。コバルトブルーの海が広がる。所々藍色の影がある。最初は雲の影かと思っていたが、どうやら海底の造形がそのまま海の色に反映しているようだ。

30分ほどで与那国島が姿を現した。断崖に囲まれた台地で、山もある。岬の一帯には草原が広がっている。他の八重山の島とはかなり雰囲気が違う。天気はやはり曇っている。ここの天候は特殊なのだろう。沖縄の天気予報では石垣地方と与那国が別になっている。
祖内の集落の手前に緑の草地となっている丘に石造物の並ぶ古代遺跡のような場所が見える。近づいてみると亀甲墓や家型の墓が散在する墓地だった。上空から沖縄の墓を見たのは初めてだったが、これは凄い。

11時過ぎ、定刻通りに着陸。タラップから直に滑走路に降りてターミナルまで歩いていく。とうとう与那国に上陸することができた。

つづく

島の概要 次のページへ2/23new!!


もとに戻る