西崎(スキャナー調子悪し。そのうち入れ換えます)95/08/06


与那国島滞在記pt.2

8/6曇りときどき晴れ

その2

ターミナルビルは2階建ての小さな建物だ。空港には出迎えの人々が大勢来ている。当然自分を出迎えてくれる人はいないが、なんだか寂しい。

バスで島の中心の祖内に行こうと思っていたのだが、バス停を探しているうちに目の前を通りすぎていってしまった。次は夕方までない。30分ほど歩けば着けるとは思うのだが、それは面倒だ。祖内で原付を借りようと思っていたので試しにレンタル屋に電話してみる。すると車で迎えに来てくれることになった。

暫くして軽トラに乗ったおっさんが現われた。甲子園のラジオ中継を聞きながら空港の東にある祖内へ。泊る宿の名を告げると、そばまで乗せて行ってくれた。荷物を預けてレンタル屋へ戻る。実は原付に乗るのは初めてで、主人に基本的なことを教えてもらう。

いざ、最西端に向け出発。いきなりアクセルをかけ過ぎる。おぼつかない運転に主人は不安げに見送る。2、3分もするとすぐに馴れた。島の北側を東西に抜ける道を逆戻り。集落をすぐに抜け、製糖工場を通り、空港を過ぎる。人家はなく、車も殆んど通らない。気持ちがよい。思わず右側にはみ出している。

地形はゆるやかに起伏している。右手には放牧場、左にはさとうきび畑が広がる。左手にだんだん山が寄ってきて小さな沼を囲んだ湿地帯が現われる。沖縄らしからぬ光景だ。そこを過ぎるとすぐ久部良の集落に入った。日本で一番西の果てにある町だ。沼から流れ出る小川を小さな橋で渡る。もう橋の下は汽水域のようだ。沢山の魚が群れをなしている。目の前は港となる。石垣からのフェリーはここの港に入る。漁港なので、小規模だが施設がある。朝にはここでカジキマグロが水揚げされ、その場で解体されるという。1950年代には台湾との密貿易で栄え、水商売が繁盛したというこの国境の町は、今ではすっかり落ち着いてしまっている。しかし、町は寂しくはあるが暗い雰囲気はなくて、それは往年の名残かもしれない。

集落を抜け、さらに向こうに見える西崎へと向かう。

つづく

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