与那国馬95/08/06


与那国島滞在記pt.3

8/6曇りときどき晴れ

その3

集落を抜け、さらに向こうに見える西崎へ。岬は標高50mほどの崖の上にある。地層が傾いていて、ちょうど沈みかかった船の舳先が岬にあたるように見える。けっこうな上り坂。自転車だときつかったかもしれない。途中の小屋の前に与那国馬がつながれていた。足が短く小柄な馬。
西崎に着く。 原付を降りて更に少し坂を登る。丘の上に真っ白な灯台がそびえたつ。灯台の袂まで行くと、その先の海が目の前に広がる。晴れていれば台湾が見えるという。ここからは日本のどの場所よりも台湾のほうが近い。眼をこらして水平線を遠くみつめてみるが、台湾の島影らしきものは見えなかった。直下は断崖となっているが、ダイビングをしている人達がいた。

天気は完全に海洋性だ。基本的には晴れているのだが、まとまった大きな雲がいくつも浮かんでいて、ゆっくりと流れている。それらの雲の下では雨が降っていて、暗い斜線部が海に降りているのが見える。目の前の大きな雲の斜線部が近づいてきた。まもなくここが雨になるのだろう。原付で降られてはかなわないので、集落に戻る。

久部良の集落は港を囲んで海岸から丘の斜面にかけて広がっている。その斜面のなかにカレー屋「ゆきさんち」がある。ここで昼食をとることにした。古い民家を改造したオープンエアーの四阿。島で自ら栽培したスパイスでつくったカレー。

蝶ハンター(?)のおやじが、珍しい蝶をつかまえたと興奮ぎみに入って来る。この島にはいないはずの蝶だと。バイトの青年が三角紙に包まれた蝶を覗き込み、ああこれは某某の、ちょっと模様が違うだけのですよ、と、こともなげに答える。

近所の民宿でバイトしているらしき人々や一人旅の女の子、蝶ハンター氏など、いろいろな人が思い思いにゆったりと時を過ごしている。ねこが店の片隅に寝ている。東京で云えば中央線沿線や下北沢にあるような、居心地のいい喫茶店や、無農薬の食事を出す店のような雰囲気。しかし、そういった店に時としてあるような押し付けがましさはなく、土地にも溶け込んでいる。こんな店がこんな所にあるのは不思議だ。

暫くして予想通り雨がぱらつく。しかし大降りにはならなかった。


つづく

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