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PC処世術 - 雑感:パソコンとの邂逅シーンはノスタルジーか


 今日は、パソコンとの“出会い”について書いてみたい。当サイトの随所で書いているとおり、パソコンというのも時間をかけながら随分と進化してきたものである。その進化に伴って、パソコンとの出会い方もまた随分と変化してきたと思う。パソコンが普及したとされる昨今では、筆者がPCと出会った頃と状況は全く違うだろう。ここでは筆者とパソコンとの邂逅シーンに思いを馳せながら、パソコンの各時代を振り返ってみたい。

 筆者が始めてパソコンというものの存在を知ったのは、筆者が小学生の頃である。それは友人宅へ遊びに行った時に目にしたのが初めてだった。友人が言うには、「おじいちゃんの趣味」なのだという。そのおじいちゃんの部屋へ行くとラックにパソコンが5, 6台収まっており、その方が作ったというゲームで遊ばせてもらったり、スーパーインポーズを利用しながら編集したビデオなんかで随分と話が弾んだ。筆者にとっては、まさしく“邂逅”であった。
 ラックに収まっていたパソコンは、今となっては機種などを思い出すことはできないが、時代から言って8bit機であったことは間違いない。今思えば、当時総額で悠に百万円以上はしたであろう高級機材の山で遊ばせてもらった、大変貴重な体験だった。(注:当時、パソコン自体は割と安かった。物価自体も低かったが。)
 筆者がこれに興味をそそられたのは言うまでもない。それからしばらくお年玉を貯めて筆者が購入したのは、ファミリー・コンピュータファミリー・ベーシックだ(総額約¥3万也)。幼かった筆者にとっては「パソコン=キーボード」であり、それさえあれば何でも作れると信じていた。当時のファミコンには「CPU」や「RAM/ROM」,「PPU(Picture Processing Unit; グラフィックチップ)」に関する子供向けの解説書が付属したりと、ずいぶんと教育的な内容だったりした。
 しかし、ファミリーベーシックのハードは実に貧弱であり,ユーザー向けの空きメモリは僅か2KB(ギガでもメガでもない)であり、少しでも冗長なプログラムを書くとパンクした(当時 9800円ほどでメモリを拡張できる「V3」というのも存在したが、それでも4キロバイトになるに過ぎなかった)。幼心に筆者がここから学んだことは、「2KB が2千文字相当だ」ということと、「大きいプログラムを書くには空白文字まで削る必要がある」ということくらいだったかもしれない。
 この当時パソコンに入門した方は、マイコンから入る場合や,ゲーム機として入手した場合,あるいは大学などに居れば必要に迫られたといったことなどがあっただろう。いずれにしても、余程強い興味が無い限りは出会うことすらない時代だったように思う。

 それからしばらくの間、筆者は計算機とは遠ざかっていたのだが、気が付いたら16bit時代だった。筆者がまともに“パソコン”と付き合い始めたのはこの頃であり、再度の出会いを果たすことになる。当時は各種文書を活字にするワープロが流行していた時代でもあり、筆者もまたそうした用途を想定してPCに手を染めることになる。
 この時代のPCは、今思えばずいぶんと不完全で,かなり高価なシロモノであり、余程の理由がなければ手が出ないものであったように思う。周囲を見渡してみると、16bit時代におけるPC導入の理由はワープロ,表計算,ゲーム,開発,各種計算と多彩ではあったが、いずれにせよパソコンは強い意思を持って出会う必要のあるものだった。

 さて、現代まで続く32bit時代はどうだろうか。32bit 時代が本格化してからというもの、インターネットの普及と相俟ってパソコンは日用品化しつつあり,パソコンと出会わない方が珍しい世の中になりつつある。
 筆者の8bit時代のパソコンとの出会いは全くの偶然の産物であったわけで,そこには筆者の意思は介在していない。そして、現代あるいは未来においては,パソコンとの出会いは筆者と同じく、自らの意思とは関係なく幼少期に起こることだと思う。
 パソコン自体は筆者のノスタルジックな回想の世界とはだいぶ違うものになってきており、これから先パソコンの進化の過程においては、パソコンの日用品化は一層進むように思われる。その中でパソコンと出会っていく子供達はそれをどう捉えるのだろうか。現在の32bit PCを以ってしてもそれを“使う”ためには,こちらでも書いたように未だそれなりの努力が必要なようで、それはテレビやテレビゲームとは少々違うように思う。
 きっと,各々は勝手に・自然に使えるようになっていくのだろう。そうだとすると、次世代のPCがターゲットとするユーザー層は、現代のオジサン世代とは知識のベースが全く違うことになるだろう。来るべき次の時代を考えるにあたっては、この辺りも考えに入れておきたい。(18. Feb, 2005)

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