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にし・たかヲのサッカー日誌
1999-2000/vol.24



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投稿大募集!

 本誌『愛と幻想のフットボール(FLF)』では、読者の皆様からの投稿を募集しております。原則としてテーマは問いません。h_okada@kt.rim.or.jpまで、どしどしお送りください。このページに関するご意見やご感想など、投稿以外のメールもお待ちしています。
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2月1日(火)10:00 a.m.
 自分が持ち合わせていない編集者の資質をもう一つ思い出した。きのう、修正した原稿を担当者S氏に見てもらい、「すばらしい!」と大仰にホメていただいたのだが、これが俺にはできない。世辞も方便、ライターなんて根拠レスのホメ言葉にも舞い上がってモチベーションが高まる単純な種族である。だから編集者としては、貰った原稿がオーケー(兎にも角にも使える)なら、そもそも面白かろうはずがない「激安旅行情報」みたいな記事であっても、とにかく「面白い!」と言ってしまえばそれでいい。「どこがどう面白いの?」と聞き返されたら二の句が継げないかもしれんが、「ダメ」と言われたならともかく、「面白い」と言われて「どこが?」と返すライターなんかいないのである。しかし俺は編集者時代、(若輩者だったせいもあるが)どうも臆してしまって書き手を図に乗せるような科白が吐けなかった。そういえば会社を辞めるとき、人生の師と仰いでいた記者氏に「おまえはホメるよりホメられたい人間だから、編集は向いてないのかもな」と言われたっけ。ま、誰だってホメるよりホメられたいもんだろうけども。そんなわけだから、いちいち試合のたびにシビアに採点されちゃうサッカー選手はたまらんだろうと思うのである。「にし=4.0 何もできなかった」なんて書かれた日にゃ、ソク引退しちゃうね、俺だったら。ま、ライターの場合、「4.0」の原稿を書いたらオーケーが出ず、書き直しを迫られるだろうけど。「本番」のある(=やり直しがきかない)仕事というのは、ほんとうに厳しい。

 昨夜は、今節最大の注目カード、インテル×ローマ(セリエA第19節)をビデオ観戦。いやはや、ロベルト・バッジョは今でもやはりカリスマなのであった。ビエリをアシストした1点目は、フランスW杯のチリ戦だったかノルウェイ戦だったかを思わせる絶妙のイタリアン・テイスト。そして2点目、難しい態勢から放ったループ・シュートは、ファンタジー溢れる極上の一品。ちと大袈裟な評価ではあるが、バッジョがからむとそんな表現をしてみたくなるから不思議である。2-1でインテルの勝ち。スタメンを死守した中田は……日本人選手がどうこうという種類のゲームじゃないんでよく見てなかったけど(Iアナは試合そっちのけで、しきりに「中田がどうこう」と喋っていたが)、まあ、普通にやってたんだと思う。ただし非EU枠を一つ使う値打ちがあるか否か、というところが今後のネックなのかもなぁ。まあ、ローマは非EU選手がほとんどいないから問題ないか。ところで、実現すれば中田の強力なライバルになるエメルソンのローマ入りって、どうなったんだろうか。

 エスパニョール×バルセロナ(リーガ第22節)は1-1のドロー。5試合の刑期(出場停止)を終えて出所してきたクライファートの同点ゴールは、さすがの得点感覚だった。やはり彼が戻ると、バルサはゴール前の「お楽しみ」が倍増する。心配なのは、すっかり出番がなくなり、自ら「何が悪いのか判らないけど調子が良くない」と言っているらしいフランク・デブールである。兄弟そろってゲーム勘が鈍るようだと、バルサはともかくオランダ代表が困る。今月はドイツ戦が控えているというのに。……と思っていたら、スタンドにライカールトの姿があった。表情が暗かった。

 バジャドリ×ラ・コルーニャ(リーガ第22節)をビデオで見る。何やってんだデポルティボ。4-1の大敗で、バルサが引き分けたからまだいいようなものの、首位は風前の灯火である。城のアシストは評価の分かれるところだろうと思う。ああいうゴール前でのパスって、相撲における「立ち合いの変化」に似てるような気がする。結果が伴わなきゃ(ジョホールバルの岡野みたいに)ボロクソに言われるし、結果が伴っても難癖をつけられる可能性が高いという意味で。しかしまあ、倉敷&金子コンビも言っていたように、城自身も「仲間への手土産」という意味を自覚して選択したプレイだったんだと思う。問題は、次。続けて同じことするようだと、朝乃若みたいになっちゃうから気をつけてほしい。

(どっちかが200キロ太るか痩せるかしたら絶対に)似てる人シリーズ#77

 バルセロナのクライファートとKONISHIKI。

1月31日(月)12:40 p.m.
 一昨日の料理中に右手薬指を負傷。しかし、こうして薬指を浮かせたままキーボードを打っていても、さして違和感がない。俺って、ふだんから薬指を使わずにキーを叩いていたんだろうか。だから肩が凝るのか? 一度、ちゃんと基本からやり直したほうがいいのかもしれんな。最初にワープロ使い始めてから15年も経ってんのに、今更な話ではあるが。

1月30日(日)
 宴の後の倦怠感に終日ボーっとしつつ、夕刻、A・マドリー×R・ソシエダ(リーガ第21節)を見る。前半にセットプレイからハッセルバインクのすんげぇシュートで先制したアトレチコだったが、後半に追いつかれてそのままドロー。最後は相手が2人も退場したのに、勝ち越し点を奪えない情けなさである。ま、相手が3人退場しても点取れなかったこともあったから、そんなもんか。いったい相手が何人減れば勝てるんだアトレチコ。

 ラツィオ×バーリ(セリエA第19節)をライブ観戦。ラツィオはサラスが復帰し、不調のベーロン(出場停止)とアルメイダ(風邪)が不在で、気分を変えるには絶好の布陣である。しかもラッキーなことに、キックオフの1分後にサラスが倒されてPKをゲット。ほんと、いるだけでチームの得点力をアップさせる男だな。これをミハイロビッチが決めて、ラツィオ先制。2戦連続スコアレスの暗雲をのっけから振り払えたのはありがたい。さらに39分には、GKと1対1になったラバネッリがさんざん悩んで放ったシュートがGKに弾かれ、そのこぼれ球をサラスが押し込んで2-0。それはいいんだけど、あんたが決めろよラバ。あれ決められないようじゃ、アズーリ復帰なんて笑止千万である。43分、好調スピネージのヘッドで1点を返されたものの、直後の44分、ネドベドの爽快なミドルシュートが突き刺さって3-1。後半は点が入らず、そのままラツィオの楽勝であった。久々の、らしい勝利である。シンプルにパスが回り、力強さが戻ってきた。とりわけ、ネドベドの好調さが目を引く。心身共に充実しまくってる感じ。ベーロンとアルメイダは、しばらく休ませたほうがいいかも。バーリで目立ったのは、やはりカッサーノ17歳である。故障明けで後半からの登場だったが、うめーなー、あいつ。シメオネ、スタンコビッチ、ネグロという猛者3人に囲まれた局面を絶妙のボール捌きで軽々とかわしてみせたプレイは、実に鮮やか。来季はどのビッグクラブでプレイしてるだろうか。

1月29日(土)
 O一家、N一家、M夫妻、Y夫妻を招いて遅めの新年会。メニューは、クロスティーニ3種(生ハムのムース・きのこ・そら豆のペースト)、詰め物入りマッシュルーム、バジリコペーストのスパゲッティ・エドキアーノ風、トレヴィーゾ風フジッリ、豚ロースと野菜の赤ワイン煮、豚肉詰めムール貝のトマト煮。ふう。5家族14人分の胃袋を満たさんと、前夜からフード・プロセッサーはフル回転であった。便利なキカイである。宴席のほうは、このところ激務でストレスを溜め込んでいたというNが序盤からハイピッチでぶっ飛ばしてレースを引っ張り、あえなく討ち死に。覚悟の爆死と見た。おかげで盛り上がったけど、人の家にタバスコがないからって、そんなに憤らないでくれ。「3年も熟成させたタバスコはすごいンだぞぉ!」ってことはよーくわかったから。次は買っとくよ。ともあれ皆さん、ありがとうございました。せっかく持ってきていただいた物を全部出せなくてすんません。

 飲みながら横目で見ていたんで展開はぜんぜんわからんが、レッチェ×ベローナ(セリエA第19節)は2-1でレッチェ。ルカレッリはPKで1ゴール決めたようだ。ちぇっ。今週はプレミアがお休みで、土曜日のセリエがこういうカードだとつまらん。……と思いつつ、全員が帰った後にSky sportsを見てみたら、マンチェスターU×ミドルズブラ(プレミア第?節)をライブ放送していた。あらら。プレミア自体はFAカップのため休みだが、世界クラブ選手権のために延期になっていた試合を消化していたらしい。「今週はプレミアないよ」なんて、大ウソついちゃいました。Y夫妻、ごめんなさい。再放送で見ておくれ。試合は前半0-0。後半もミドルズブラがよく守っていたが、ツィーゲが退場になった後は、またまた例によって、うんざりするようなユナイテッドの猛攻である。しのいでしのいでしのぎまくるボロ。そしてユナイテッドに焦りの色が見えてきた頃、ボロに大チャンスが訪れる。感動的な個人技で突破したジュニーニョがPKを得たのである。やった。ファーガソンに吠え面かかせてやれ。ところがこのPKを、ボスニッチがセーブしくさりやがったのであった。あーあ。こうなると、もう勝負は時間の問題である。87分、ベッカムのシュートがボロGKの脇の下をすり抜けて、ユナイテッドの1-0。再三に渡って好セーブを見せていたにもかかわらず、一つのミスですべてがパーになっちまうんだから、GKってのは辛い仕事だ。なんとも痛々しいゴールだった。

1月28日(金)11:50 a.m.
 わかった。俺は電話セールスが嫌いなんじゃなくて、セールスを受けること自体が苦手なのであった。欲しいモンがありゃ自分で探すし、わからんことがあればこっちから質問するから放っておいてもらいたいのである。だから新聞や保険の勧誘に対してもひどく冷淡な対応をしてしまうし、洋服屋でも店員が近づいてきて「何かお探しですか?」と言っただけで「何かお探しだから見てんじゃねーか。この店ではぜったいに買わんぞ」と(口にするわけじゃないが)不機嫌になる。我ながら、狭量にも程があると思う。自分がもっとも不得手としている仕事が「営業」だからなのかもしれん。でも、どんな商売にもセールスは必要だし、俺の生活だって版元の販売担当者が(たぶん)一生懸命に売る努力をしてくれているお陰で成立しとるわけだから、結局はお互いさまなんだよなー。なんか小学生みたいな反省のしかたである。こんど電話セールスが来たら、「そりゃどうも、ご苦労さまです」とでも言ってみることにしよう。だけど要りません、と。

 不得手な仕事といえば、本誌編集人を名乗りながらこんなことを言うのも何だが、実は俺、「編集」も苦手である。ま、一口に編集者といっても多種多様なスキルが求められるわけだが、俺の場合はとりわけ「人に文章を書かせる」のが苦手なのだから、本質的に編集者に向いていないとしか思えない。きのう、書き方の方向性に自信が持てないまま、やっと冒頭の30ページを仕上げ、某S社インターの担当者S氏に見てもらった。きわめて具体的かつ飲み込みやすいディレクションを受け、迷いが吹っ切れた。持つべきものは友と、優秀な編集者である。俺は、あんなふうに指示できない。文章の書き方について言葉で指示するのは、意外に難しいものだ。実際、打ち合わせの場で「こんな感じ」と言われてわかったつもりになっていても、いざ書く段になると、その「感じ」が具体的に何を意味しているのかわからず戸惑うことがしばしばである。とくにゴーストライターの場合、編集者だけでなく、著者の頭にある文章のイメージがどんなものかも気になってしまうから、迷い始めるとキリがないのだ。そのあたりをきちんと整理して、「今回はこの方向で」と明確にしてくれる編集者は、書き手にとって実にありがたい存在だ。俺自身、雑誌編集者時代はうまく書き手にイメージを伝えられず、とりあえず書いてもらってから自分でリライトしてしまうことが多かった。編集という仕事から手を引いて、ほんとうに良かったと思う。

 フィオレンティーナ×ベネチア(コッパイタリア準々決勝第2戦)を観戦。結果はきのう書いたとおりだが、こんなに見応えのあるゲームだったとは。先制したフィオが1-0で逃げ切るかと思いきや、後半40分ごろにベルグの豪快な同点ゴール。そしてロスタイムも底を突きそうな後半49分、ベネチアがハンドで致命的なPKを与える。それまでシュートがポストに弾かれるなどツキに見放されていたフィオだったが、最後の最後で大ラッキー。ところがキエーザのPKは、蹴った瞬間に「だめ」とわかる特大のホームランであった。直後にタイムアップ。「なあにやってんだエンリコぉ」という情けなーい表情で膝を抱えてピッチに座り込むルイ・コスタ。嗤えた。なにもそんなに大きく外さなくても。隣町のゴールめがけて蹴ったような派手な外し方だった。名波はフル出場。最近、名波ってセリエの中でも相当ユニークな選手なんじゃないかと感じる。少なくとも「その他大勢」のプレイヤーではない、というか。うまく言えないんだけど、彼の場合、サッカーの面白がり方が人とはぜんぜん違うのではなかろうか。

1月27日(木)10:30 a.m.
 やっぱ冬はこうでなくちゃ、と強がりの一つも言わないと挫けそうな冷たい朝。ドトールで暖まってから出勤しても、仕事場に着く頃にはまた体がキンキンに冷えている。Jリーグの日程が世界標準になったとき、こんな季節でも客が集まるんだろうか、などと心配になったりした。

 カリアリ×ローマ(コッパイタリア準々決勝第2戦)は1-0(agg.2-0)で、なんとカリアリが準決勝進出。パルマ、ローマを連破しての怪進撃である。フル出場の中田は、なんちゅうか、まあ、可もなく不可もなくとしか言いようのない平凡なプレイぶりであった。なんにしろ、負けちゃまずいよなぁ。しかもカリアリに。次節のインテル戦で使われるかどうかで、今後の立場が占えるというところか。まだスタメンで出てくるようなら、カペッロの期待も本物だと言えるかも。しかし考えてみりゃ、あのチームでプレイしてるってだけでも十分すぎるぐらい立派なことなんだが。

 カリアリと同様、なぜかコッパで旋風を巻き起こしているのがベネチアである。見てはいないが、アウエーでフィオと引き分け、こちらも準決勝にコマを進めたらしい。うわお。ラツィオは、agg.4-4という殴り合いをアウエーゴールの差で制してユーベを退けたようだ。それは嬉しいのだが、2冠とか3冠とか狙えるような雰囲気もないんで、コッパごときでツキを浪費するのもどうかと思う。

 パルマ×ペルージャ(セリエA第18節)は、濃霧のどさくさに紛れて前半に2点を連取したペルージャが1-2で勝利。皮肉である。チームを去った大黒柱が移籍先で苦しんでいるときに、アウエーで勝ってしまうとは。「誰かがやらねば」の危機感が集中力を生む、ということか。いつまで続くか知らんけど。パルマは痛い痛い星を落とした。

 サンダーランド×リーズ(プレミア第23節)は1-2でリーズ。どうやら正念場を乗り切れずにずるずる後退しつつあるサンダーランドだが、そもそもプレミア残留が目標だったんだから別にいいんだろうな。お陰でリバプールは4位に浮上。しかしオーウェンがまた怪我したらしい。彼、まじでちゃんと治さないと、2002年を待たずに「かつての天才」で終わってしまう恐れもあるんじゃないだろうか。大事にしてほしい。んなわけでファウラーもオーウェンも離脱したリバプールは、ホーイドンクだリトマネンだフォンセカだバッジョ(!)だとアタッカーの補強を目指してあがいているようである。誰か助けてくれ、って感じだな。いや、ほんと、誰か助けてやってくれんか。来月前半のリーズ戦とアーセナル戦だけの限定レンタルでもいいから。

1月26日(水)17:45 p.m.
(昨日の前段の続き)……とは言いながら、こうしてダラダラ日誌を書くのはけっこう楽しいもんで、そうじゃなかったら毎日やってるわけもないのである。そして、機知に富んだ知り合いの日記を読むのはもっと楽しい。誰でも、何か事があったときに「これについて、あの人ならどう考えるだろうか」とその顔を思い浮かべる知り合いが何人かいるものだ。勝手に想像した「あの人が考えそうなこと」が、自分で物事を考えるときの叩き台になったりすることも多い。それが想像ではなくウェブで日常的に読めれば、マスメディア御用達の識者による通り一遍のコメントなんかより、よっぽど有用な材料になったりするのである。そんなわけで、もっと知り合いがウェブ日記を書いていたらいいのに、などと思う今日この頃なのであった。

 昼から東プリで取材。著者T氏は昨日バルセロナから帰国したばかりで、楽しい土産話を聞かせてもらえた。ここに書いてしまいたいぐらいだが、それじゃ商売にならないんで、ナイショだけどね。でも一つだけ書いちゃうと、先日のサンタンデール戦、俺はフィーゴのプレイが素晴らしいなーと感じたし、カンプノウで観戦したT氏も「うめー、すげー」と感嘆したらしいのだが、現地の新聞では平均以下の採点だったんだとか。要するに、それだけ期待値が高いってことである。だから同じような貢献度でも、フィーゴよりゼンデンのほうが高い評価になったりするわけだ。自分たちで採点できない日本のメディアでは、「現地メディアの採点」が妙にありがたがられているけれど、そのへんの相対性を踏まえて数字を見ないといかんね。とくに地元紙の評価は。

 昨夜は首位攻防の大一番、マンチェスターU×アーセナル(プレミア第23節)をビデオ観戦。カヌ(アフリカ選手権)、ベルカンプ(故障)、オフェルマルス(故障)、スーケル(出場停止)とアタッカー陣が払底中のアーセナルは、前線にアンリとリュングベルクを置くという寂しい布陣である。「2人で何とかしてくれ」という感じだったのだが、これが何とかしてしまった。前半、スタムがクリアしようとしたボールを脇から掠め盗ったリュングベルクが、これを落ち着いて決めてアーセナル先制。その後も、スタムとシルベストルの間がスカスカなユナイテッドの最終ラインを何度も破り、しばしば決定機を作っていた。後半は例によってユナイテッドが俺たちゃ負けないんだもんね的猛攻を仕掛けたが、アーセナルがこれを守って守って守り抜く展開。ヤクルト×オリックスの日本シリーズにおけるサード馬場の好守備を思い出したりした。いちいちそんなもん思い出さなくてよろしい。ともあれ、ホームでのファースト・マッチを1-2で落としたアーセナルの雪辱なるかと思われたが、やはり1点を死守するのは難しく、73分、途中出場のシェリンガムに同点ゴールを決められてしまった。でも、あれ、ヨークのオフサイド取ってもいいんじゃないかなー。「プレイに関与しなければオーケー」なのは知ってるけど、その解釈が俺にはいまいちわからん。そこに居るだけで関与してることって多いじゃないか。試合はそのまま1-1。あのメンバーでアウエーならドローでよしかもしれんが、やはりアーセナルは勝っておきたかった。獅子奮迅だったリュングベルクも、これ勝ってりゃ相当な自信になって選手として一皮剥けただろうし。アンリにもう少しテクニックがあればなぁ。

 名波のセリエ初ゴールが飛び出したウディネーゼ×ベネチア(セリエA第18節)を、ちらっとだけ見た。マニエロの慈愛に満ちたパスを小さな振り幅でぶち込んだ名波のシュートは、なかなか気持ちよかった。でも試合は5-2でウディネ。最近のウディネーゼは、ようけ点取ってるみたいやね。しかし5点も入っててロカテッリのゴールがないのは何故ぢゃ。

 バーリ×フィオレンティーナ(セリエA第18節)は、サッカー界のカネやん=金田さんが大喜びしそうな展開の1-0。解説は別の人だったが、「こういうチームなんですよぉ、バーリっていうのはぁ」というカネやん節が聞こえるような気がした。ところで、ずーっと前から気になっているのだが、バーリのホームゲームで必ず聞こえる「パパラパッ、パパラパッ、タリラリラリラ、パパラパッ、パパラパッ、タリラリラリラ」という鳴り物、ありゃ何の音ですか。音色的にはラッパ系なんだけど、音をハズしたりリズムが乱れたりするのを一度も聞いたことがないので、誰かがトランペットを吹いているとも思えない。謎だ。

1月25日(火)10:20 a.m.
 その昔、鉛の活字にかわって写植なるものが登場したとき、したり顔のベテラン編集者たちは新しい技術によって刷り出されたゲラを一瞥して、「なーんか、パンチが足りないんだよなー」と不平をもらしたという。いま、そんなことを言う人はいない。電子メディアの問題も、要は「慣れ」の問題なんだろう、とは思う。
 しかし。毎日こんな電子日誌を書いてる俺が言うのも何だけど、これに慣れてしまって、ほんとうにいいんだろうか。たとえば掲示板的ウェブには、「脳味噌のヘアヌード」としか言いようのない言説が乱れ飛んでいる。人前だったらきっと口に出来ない極端な偏見と思い込み。胸が悪くなるような誹謗中傷、罵詈雑言。それを打ち捨てておけずに空しい良心的レスポンスを繰り返す人も少なくない。
 匿名性、だけが原因ではないような気がする。たとえ匿名でも、同じことが電話や書簡で言えるかというと、たぶんそんなことはないだろう。電子メディアには、脳味噌と脳味噌を直接つないでしまうような性質がある。そんなふうに思えて仕方がない。表情(面談)、声(電話)、紙(便箋や封筒)といった物理的なクッションがないせいだろうか。電源を落とせばパチンと消えてしまう、実在するんだかしないんだかわからない不安定で茫洋とした電子文字の羅列。その実体は、結局のところ発言者の脳味噌の中にしかない。それが気色悪い。

 バルセロナ×ラシン・サンタンデール(リーガ第21節)を観戦。リバウドの球離れが早くなり、すっかり左SBに定着したゼンデンが積極的なオーバーラップを繰り返した結果、バルサは見違えるようにパスがよく回るようになった。でも、たとえばフィオを粉砕したときのような威圧感は全然ない。グアルディオラとシャビ、ルイス・エンリケとリトマネンのプレイスタイルや存在感の違いによるものなのだろうか。前半、ゼンデンのセンタリングをリバウドが頭で合わせたのが唯一のゴール。1-0でバルサの勝ち。ラシンは得点王争いトップのサルヴァが不発。しかし達者な選手が多く、ビューティフルな決定機も少なくなかった。おもろいチームである。

 ベローナ×インテル(セリエA第18節)を後半から見る。前半は1-0。そして後半アタマからバッジョ登場、である。いきなり左サイドから絶妙のスルーパスを通してレコバの同点ゴールをお膳立て。さらに76分にはレコバの折り返しをスライディングで押し込んで勝ち越しゴール。おー。久々の主演男優賞、という感じである。

 ところでラツィオは、まだリバウド獲得を狙っているようだ。サラス、ネドベド、コンセイソンなんかに加えて、来季入団予定のクラウディオ・ロペスまで交換要員として提示したんだとか。未来を売るな未来を。だいたい、そんなに主力を放出してCLに出られない選手を獲ってどうすんだ? まったくもう。ま、バルサは人間よりカネを要求してるようだから破談になるとは思うけど、なんだかなぁ。

 ちなみにセリエA後半戦、得点すると俺が喜ぶジョカトーレは、ボクシッチ、ミハイロビッチ、バティストゥータ、サモラーノ、ガンツ、オリベイラ(以上、全員30代)、兄ちゃんインザーギ、コンテ、デルベッキオ、トッティ、キエーザ、ロカテッリ(以上、全員アズーリ)の12名。なのに18節はバティもサモラーノも兄ちゃんも出番なしでやんの。あらあら、まあまあ。インテルはレコバが軸になっちまうのかなぁ。インザーギの怪我はどの程度なんだろー。ま、1試合終わっただけでおたおたするのも何だけどよ。やっぱ正解はルカレッリだったかー。正解って何だ。うがが。

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