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text by Takawo Nishi


〜98-99シーズン編・その12〜

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5月27日(特別編集)

98-99 UEFAチャンピオンズ・リーグ決勝観戦記
愛と幻想のユナイテッド
They finally united loves and fantasies of their own.

文=にし・たかヲ
text by Takawo Nishi
写真=某所より無断借用
photographs by unknown person

 笑っている「彼」の顔を、初めて見た。
 踊っている「彼」の姿を、初めて見た。

 <ロスタイム=失われた時間>を埋めた2つのゴールは、共にキックオフの瞬間をベンチで迎えた2人のストライカーによるものだった。ゲルマン魂の権化たるミュンヘンの闘将はその時すでに戦場から姿を消し、本来の主とは異なる主役を迎えた舞台=カンプノウの緑を美しく照らし出すカクテル光線の中で、青ざめた横顔を強張らせることしかできなかった。

 長いようで短かったシーズンを締めくくる、98-99 UEFAチャンピオンズ・リーグ、ファイナル。どんなにあざといシナリオ・ライターでも遠慮して書かないような、鮮やかな大どんでん返し。クライマックスは、あらゆる意味で「夢」に似ていた。

 正直な話、どちらかといえば退屈なゲームだった。
 画面右上に表示された時計が90分を過ぎるまでは。
 予備審判が「3」と表示されたボードを高々と掲げるまでは。

 欧州最強の座を争ったのは、いずれも前年の国内リーグで2位に甘んじたチームだった。しかし、どちらも「チャンピオンの中のチャンピオン」たる資格を文句なしに備えていたことは言うまでもない。
 今季のブンデスリーガを圧倒的な成績で制したドイツのチャンピオンは、充分すぎるほどに積み重ねた予習の成果を教師の前で披露する優等生のように、自信に溢れた表情でゲームをコントロールしていた。
 一方、今季のプレミアシップを危ういところで制したイングランドのチャンピオンは、初見の譜面に戸惑う楽団員のように、不安と焦燥を滲ませながら懸命に不協和音を修正しようともがいていた。しかし中低音部を支えるべき中心奏者がステージに上がれないのでは、アンサンブルが安定感を失うのも無理はない。
 こよなく愛する赤いジャージの着用を許されず、いかにも英国紳士らしいスーツ姿のままゲームを傍観せざるを得なかったのは、ロイ・キーンとポール・スコールズ。2枚の要を欠いたマンチェスター・ユナイテッドが、バイエルン・ミュンヘンという堅牢な城壁の前で立ち往生していた。

 絶望的にさえ見えた劣勢は、ギグスを右、ベッカムを中央寄りに配置するという慣れないフォーメーションのせいばかりではない。最古の歴史を誇るフットボールの母国で覇権を握り、トリプル・クラウンという空前の偉業達成を目前にしていながら、そのプレイはまるで「欲」を感じさせないものだった。リーグ最終節、FAカップ決勝と続けて手に入れた栄冠のために、彼らはややタイトル慣れして魂を弛緩させていたのかもしれない。
 およそ1ヶ月前、白と黒の戦闘服に身を包んだイタリアの勇者を相手に、彼らは鮮烈な戦いぶりを見せていた。ユベントスとの準決勝。地元での第1戦はロスタイムにキャプテンが起死回生の同点ゴールを叩き込み、敵地での第2戦では2点差を逆転してみせた。
 しかし、コンコルドをチャーターしてバルセロナに乗り込んだ彼らは、それと同じチームとは思えなかった。信じがたいパス・ミスの連続。ゴール前でいとも簡単に跳ね返される単調なクロス。常に相手DFを震え上がらせてきた「恐怖の双子」も、嘘のようにキレ味を失っていた。時折もどかしそうに放つ力のないシュートは、金髪のGKに難なく止められる。
 しかも彼らは「内容」という曖昧な基準による劣勢だけでなく、キックオフのわずか6分後からきわめて具体的なビハインドを背負わされていた。その時点では、激闘の幕開けを告げるゴング程度の意味しかないように思われた序盤の1点が、時計が進むごとに少しずつ重みを増していった。

 研ぎ澄まされたナイフのようなカウンターが、マンチェスターのゴールに襲いかかる。身を挺した反撃の裏側には、目を背けたくなるようなリスクが潜んでいた。次の失点は、死刑宣告になりかねない。
 しかし、それでも運は彼らを見捨てなかった。ゴールポストが、クロスバーが、さらには彼らの守護神が祈りを込めて伸ばした指先が、すんでのところで致命傷からチームを救う。「死」と隣り合わせの危機的状況を、彼らは自らの生命力をひたすら信じることで乗り越えようとしていた。

 バイエルンを追い詰めたのは、他ならぬバイエルン自身だったのかもしれない。オールド・トラフォードとデッレ・アルピで生じた衝撃の余波は、すでに一つの「伝説」としてそのインパクトを増しながら、時空を超えてカタルーニャの地まで及んでいた。
 ……奴等がこのまま死ぬはずがない。
 バスラーのFKによって得たアドバンテージを死守せんとする彼らの脳裡を、一度たりともそんな思いが過ぎらなかったと言えば嘘になるだろう。決して敗北を受け入れようとしない不死鳥のごとき強靱な意志と執念を持つ赤い悪魔の幻影を、バイエルンのイレブンは必死に頭の中から追い払おうとしているように見えた。だが、そのイメージは彼らの肩に重くのしかかる。たとえば強烈なバイシクルをクロスバーに弾かれたとき、長身のドイツ人ストライカーの胸に去来したのは「悔しさ」ではなく、重圧から来る「恐怖」だったに違いない。そして、10番を背負った38歳の精神的支柱がベンチに腰を下ろした途端、その目に見えないプレッシャーがついに彼らを押し潰した。だとすれば、ローター・マテウスの年齢的な限界がそのままバイエルン・ミュンヘンの限界だったのかもしれない。

 たった3分の間に起こった、2つの奇跡。
 イタリアの名物審判員コッリーナの笛が鳴る。
 マンチェスター・ユナイテッド 2-1 バイエルン・ミュンヘン。

 欧州の頂点に立ったのは、鍛え抜かれた優等生ではなく、苦悶の90分を過ごした楽団員たちのほうだった。敗者の側にすれば、悪夢にも似たアクシデントに見舞われたような気分だっただろう。
 しかし終わってみれば、それは偶発的なアクシデントなどではなく、あらかじめ約束された結末だったように思えて仕方がない。果たして彼ら以外に、その地位にふさわしい者があっただろうか? <Group Death=死のグループ>を獰猛な攻撃力によって生き残り、世界最強のリーグから送り込まれた2つの難敵を立て続けに葬り去った彼らの他に、チャンピオンの名に値する者などいるはずがないではないか。

 歓喜の輪の中で、およそ表情というものを持ち合わせていないように思われたヤップ・スタム(写真)が、笑っていた。生まれて初めて笑ったかのような笑い方だった。さらにこの屈強なオランダ人は、生まれて初めて音楽というものの存在に気づいたかのような踊り方で踊ってもいた。
 戦う者を真に解放するもの。それは、真に価値を持つ勝利以外にない。

*

 ……というわけで、ちょっと「Number系スポーツ・ノンフィクション風・装飾過剰&ロマンチシズム横溢文体」を意識して書いてみたりしたわけだが(あ、ぜんぜん似てないですか。そうですか)、いやはや、なんとも、えらいエンディングが待っていたものである。これがあるから、スポーツ観戦はやめられない。途中で睡魔に負けそうになったが、最後まで見届けて本当に良かった。
 シェリンガムのゴールで同点になったとき、「おー、延長かぁ」と言った俺に対して、愚妻は「その前に終わるかもよ」とのたもうた。「いくら何でも、それじゃマンガだよ」と返した俺がテレビ画面に視線を戻した次の瞬間、ベッカムのCKがシェリンガムの頭をかすめ、さらにソルスキアの右脚がその弾道を90度折り曲げていた。ドイツ人があんなに惨たらしい負け方をするのを、初めて見たような気がする。

 それにしても、人の運命を変えるには、カップラーメンが煮える程度の短い時間があれば事足りるのであるなぁ。3分間で逆転した、天国と地獄。クフォー、まだ立ち直ってないだろうなー。すっかり世を儚んでいる様子だった。マテウスも、いくら小憎らしいゲルマン魂の持ち主とはいえ、さすがに気の毒である。決定的なバイシクルをバーに阻まれたヤンカーには、せめてスタムと腕相撲か何かでリターンマッチをやらせてあげたい。ほとんどアノミー状態に陥っていたバイエルン・サポーターには、心理学の専門家によるカウンセリングが必要かも。帰りのクルマ、事故らないように気をつけないとね。もっとも愚妻に言わせれば、「そのへんはドイツ人だから大丈夫でしょ」とのことだが。

 結果論かもしれないが、マンチェスターとバイエルンの明暗を分けたのは、ストライカーの質と量だったような気がする。もしエウベルが出場できていれば、攻撃のオプションは飛躍的に増えたはずだ。まず出番のないダエイをサブに置いておかざるを得ないバイエルンに対して、コール&ヨークの最強2トップに加えて控えにも2枚の有効なカードを持っていたマンチェスターの層の厚さが、結局は決め手になった。ま、シェリンガムがあれほどやるとは思わなかったし、交替のタイミングがやけに遅かったことを考えればファーガソンもそれほど期待していなかったと思われるけど。

 ともあれ、俺が初めて通年観戦した欧州のサッカー・シーズンも(まだスペイン・リーグが少し残ってはいるものの)、これでお終い。ラツィオの敗北は無念だったけど、最後にこんな歴史的名勝負に出会うことができて、なんかもう、おなかいっぱいである。近々、98-99シーズンを総括する意味も含めて、独断と偏見に満ちたベスト・イレブン、名勝負ベスト10など(対象はフランスW杯からCL決勝まで)を発表する予定。物好きな人は、自分なりのランキングを考えて、ご投稿ください。

5月26日
 バルセロナ、アラベスを1-4で下して2年連続のリーガ優勝を決める。3節を残しての圧勝。去年4連敗をしたときに、誰がこんな結果を予想しただろうか。もたついている間に首位争いを演じたのがレアルではなく、セルタやマジョルカだったことがラッキーだった。
 ファン・ハールは、「スペイン・リーグの優勝はチャンピオンズ・リーグ制覇にも匹敵する」などとコメントしたらしい。勝ったのに負け惜しみを言ってどうする。かつてバルサの監督としてCLを獲ったクライフへの剥き出しの対抗心が言わせた科白らしいが、「選手を育てて勝ったクライフと、金で優勝を買ったファン・ハールとでは、意味が違う」とは金子達仁のコメント。なるほど。息子にカタランの名前(このあいだガウディの特集番組を見ていたら出てくるカタルーニャ人の半分以上が「ジョルディ」という名前だった)をつけたクライフと、カタルーニャをオランダ化したファン・ハールとでは、地元での愛され方にも雲泥の差があることだろう。ま、監督の人格はともかく、来季のCLではラツィオ×バルセロナの決勝を見たいものである。ラツィオのほうはエリクソン留任が決まったようであるが。うーむ。ま、いっか。

 どうでもいいようなことだが、アラベス×バルセロナ戦で、BS-1の解説だった柱谷弟は後半44分にバルサが4点目を取ったところで「これで優勝が決まった」と言い、J-SPORTSのゲストだった金子達仁は1-3で後半40分を迎えたあたりで「これで決まり」と発言していた。このあたり、つい先日まで現役プレイヤーだった人間とジャーナリストの微妙な違いが出ているようで、ちょっと興味深かった。そりゃ、ドーハを生身で体験してれば、他人事とはいえ慎重にもなるよな。

 これでリーガの焦点は(ずいぶん前からそうだったんだけど)、CL出場権争いに。順位やポイント差をよく把握していないが、マジョルカ、セルタ、ラ・コルーニャ、R・マドリード、バレンシアの5チームで3つの枠を争うわけだ。結局、レアルが残ってしまうんだろうか。バレンシアは調子悪いみたいだし、クラウディオ・ロペスが移籍するんなら、それほどCLで見たいとも思わんな。がんばれラ・コルーニャ。

 昨夜は、インテル×ウディネーゼも観戦。30節の試合である。CSのWOWOWでは、まだセリエAが終わっていないのだ。すごく中途半端な気分。1-3でホームのインテルが惨敗していた。スタンドではリッピが観戦していたが、来季どんなチームを作ってくるんだろう。

 さて、今夜はいよいよCL決勝である。プレミアシップ、FA杯に続いて、マンチェスターには「10日間で3度の優勝」を決めてもらいたい。キーンとスコールズの不在が心配ではあるが、3-1か4-1ぐらいでバイエルンを粉砕してくれるとキモチいいんだけどな。ここで負けたんじゃ、準決勝で死闘を繰り広げたユーベに対しても申し訳ないじゃないか。

5月25日
 中田効果でWOWOWは大儲けだとか。それはいいんだけど、リーグ自体と契約していた今季までと違って、来季はチームごとの放送契約になるというのは本当か。なんか不安である。どんな放送スタイルになるんだろう。契約した2、3チームのホームゲームしか観られない、みたいなことになるのは困る。

5月24日
 ESPNを見たことのある人しかわからない話で恐縮だが、きのうイングランド×ポーランドを放送していたとき、2歳のセガレがテレビを指さして「黄色いワンワン、黄色いワンワン」と盛んに言うので「?」と思いつつ画面を見たら、黄色いポロシャツを着た解説者の上田滋夢がアップになっていた。ものすごく笑えた。

 ところで、きのう2場所連続優勝を決めた武蔵丸が、どうやら横綱になるらしい。ちょっと前に理事長だか誰だかが「14勝1敗まで」とか「立ち合いが下手だから綱には相応しくない」などと言っていたのはどうなったんだ?  すぐ横審に押し切られるぐらいなら、はじめから余計なこと言わなければいいのに。その立場でモノを言うことに付随する「重さ」に対して、あまりにも無自覚すぎる。ま、別に誰が横綱になったって俺は構わんけど、相撲協会にしてもサッカー協会にしても、言行不一致や場当たり的なご都合主義に歯止めをかけるシステムが必要だと思う。しかし、本来その役割を果たすべきマスメディアに期待できないとなると、一体どうしたらいいんだろう。昨夜から、溜め息ばかり出る。

5月23日
 セリエA最終節。ペルージャ市民の総力を結集した妨害工作を期待していたのだが、ほとんど犯罪レベルの爆竹&発煙筒投入も空しく、1-2で勝ったミランがスクデット獲得。中田は10点目のPKを決め、サレルニターナの引き分けでペルージャが残留を決めたので、多くの日本人にとってもペルージャ市民にとってもハッピーな幕切れになったわけだが、俺は悲しい。あらゆる意味でビエルホフのゴールが余計だった。なんで、あんなにフリーで打たれるんだ? ちくしょー。
 だいたい、ユーベとインテルが早々に脱落したにもかかわらず、終わってみればミランってのが実に気に入らないのである。ラツィオ州民にとっても、ミラノのクラブに負けるほど腹に据えかねることはないに違いない。俺、これから死ぬまでアンチ・ミランかも。イタリアを旅行したときも、唯一まずい料理を食わせられたのはミラノのレストランだったし。ヴェーロン憎けりゃ、……いや、坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、だ。
 それにしても、やはりエリクソンは勝ち切れない監督だった。会ったことないから知らんけど、たぶん、気持ちが優しすぎるんだと思う。見た目のとおり、育ちがいいのかもしれない。あーあ。CIRIO製のホールトマトを買ってまでラツィオを応援してたのにな。
 しかし、もうタラレバは言うまい。1ポイント差の2位に終わったとはいえ、ラツィオは良いチームだった。目を閉じれば、サラスの勝負強さ、ヴィエリの咆吼、アルメイダの神出鬼没、マンチーニの芸術シュート、ミハイロビッチのKOOLなFK、セルジオ・コンセイソンの無鉄砲、ネスタのやんちゃなキャプテンシー、マルケジャーニの沈着冷静、パンカロの几帳面さ、ネドベドの脳味噌不足、ネグロのヘンな顔、ロンバルドの年齢不詳、コウトの手持ち無沙汰、デ・ラ・ペーニャの憂鬱……などが脳裡にふつふつと蘇る。さらなる狂気の補強を重ねて、来季チャンピオンズ・リーグではミランをぐちゃぐちゃに粉砕してもらいたい。ラツィオがダメだったら、バルセロナに粉砕してもらおう。今から弱気になってどうする。

5月22日
 昨夜、パルマ×ピアツェンツァ観戦。0-1でピアツェンツァの勝ち。さすがにA残留を目指すチームの執念は凄まじい。死に物狂いという言葉がぴったりである。こうなると、昇格を目指す2部上位チームのゲームも見てみたい。

5月21日
 日刊スポーツの報ずるところによれば、名波はヴェネチア入りが有力視されているとか。ユニフォーム的には似合うかも。しかしそうなると来季は、WOWOW日曜深夜放送の2カードがヴェネチアと中田の所属チームに占領されてしまうのだろうか。そのうえ小野がボローニャ入りしたりなんかすると、週3カードが全部日本人選手がらみになるの? だとすると、中田の移籍先がどこになるかは大問題である。中堅どころの試合ばっかり見たくないぞ。中田、まさかとは思うがペルージャのままだったりしたら困るなぁ。かといって、強豪チームに適当な移籍先があるかというと、どこもサブでなきゃ難しそうだし。いったい、どうなるんだろう。出世すごろく的には、次はウディネーゼとかローマあたりが妥当な感じもするけど。ところで、なんで「日本人選手の移籍先」の話になるとボローニャとヴェネチアの名前ばかり出てくるんだろうか。

5月20日
 CWC決勝、マジョルカ×ラツィオ観戦。頭部からの流血で包帯ぐるぐる巻きになったヴィエリは、フランケンシュタインみたいでとっても怖かった。「オレは痛くねぇ。痛くねぇぞー」と唸りながら走っているように見えた。おまえは獣か。とりあえず、ラツィオの優勝はめでたい。何であれタイトルを一つ獲るのは大変なことだ。
 でも内容的には、マジョルカの健闘が光った。デラペーニャやボクシッチに任せてたら、きっと勝てなかった。マジョルカ、やはり良いチームである(てのひら返し)。一体感に裏打ちされた機敏で献身的なプレイ。チェルシーを負かしたのもぜんぜん不思議ではない。まさに「グッド・ルーザー」な感じで、そのへんも(たとえば西武との日本シリーズに敗れたときの)カープを想起させる一因なのかな。
 ラツィオのほうは、どさくさまぎれのネドベドのゴールで面目を保ったものの、最終節へ向けて不安いっぱいである。とにかく冴えない。決定的なパスはことごとく通らず、めちゃくちゃフラストレーションの溜まるゲームだった。マンチーニはもちろん、頼みのアルメイダもちとお疲れ気味みたいだ。これまではアルメイダの運動量で誤魔化してきたものの、実はラツィオ、来季は中へ中へと勝負していける中田的なプレイヤーが必要なのかも。しかしまあ、泣いても笑っても残り1試合。気合いの入ったゲームを見せてほしい。

5月19日
 バルセロナ×バジャドリッド観戦。1-1のドローだが、ま、優勝争いに関しては大勢に影響はなかろう。バジャドリはやけに出来が良かったし。ビジャレアルと同様、ここも強豪相手になると張り切るチームである。試合とは関係ないが、CL決勝が行われる26日、バルセロナにはイギリスから127機(!)のチャーター機、ドイツからは400台のクルマがドッと押し寄せるとか。なんか空軍と陸軍が同時に攻め込んでくるような感じで、凄まじい話だ。カンプノウ行きてーなー。

5月18日
 読者の方より、ラツィオのポール・オコンはオーストラリア代表であるとのご教示をいただきました(
投稿欄も久々に更新しました)。ありがとうございました。なるほど、オーストラリアね。「英語圏」の中では忘れられがちな国である。俺が気づかなかっただけか。

 昨夜は、EURO2000予選(グループ4)フランス×ウクライナ観戦。解説者(上田滋夢って奴)の喋りが鬱陶しいんで副音声にしたら、フランス語の実況だった。欧州のアナウンサーはちゃんとボール持った選手の名前を言ってくれるので、日本語のつまらん実況よりも、よほどわかりやすかったりする。選手の名前ぐらいなら聞き取れるからね。フランス人の「デシャン」とか「テュラム」の発音は、なかなかオツなもの。俺は聞き逃したのだが、愚妻によれば一度だけ「セルゲイ・ブブカ」の名前が出たらしい。ブブカ? まさか、「シェフチェンコはブブカを越えた」と言っていた……わけはないですね。あはは。でも、なんでブブカの話なんかしてたんだろう。ハイボールをヘッドで競り合うシーンだったから、「ウクライナの選手はブブカから棒を借りてくればよかったのに」みたいな冗談を言ってたのかも。松木安太郎が言いそうな冗談だ。
 0-0だったけど、見応えのあるゲームだった。フランスはジダンが抜けてピレスが10番背負ってる以外はベストの布陣だったが、やはりピレスではちと荷が重かったか。しかし、ゴールこそなかったもののアネルカは凄い。ボール持つと何かやりそうでワクワクする。惜しむらくは、顔が地味。あれでアンリみたいな顔してたら、めちゃ人気出るだろうになぁ。大きなお世話である。あと、中盤で汚れ役に徹していたデュガリーが健気だった。
 ウクライナのほうも、さすがにディナモ・キエフ中心の布陣だけあって(ディナモって、昔の女子バレー全日本における日立みたいだ)、そのスピード感は圧倒的である。さすがのテュラムも慌てる場面がしばしば。シェフチェンコも見せ場を何度か作っていた。とくに、タッチライン際に追い詰められながらも身を翻してデサイーを置き去りにしたシーンはかっこよすぎたぜ。
 それにしても、ホームでのドローはフランスにとって痛い。まだ先は長いとはいえ、大丈夫なのか世界チャンプ。ウクライナも本大会には欠かせないチームだから、フランスが2位で(プレーオフに勝って)通過してくれれば文句はないけれど。

5月17日
 悔しいだけなので昨夜のミラン戦は見ずに寝たのだが、今日の朝刊によればビエルホフがハットトリックを決めたとのこと。ありゃまこりゃま。このままミラン優勝で決まってしまうんだろうか。あーあ。シーズン開始当初にネスタやヴィエリが怪我してなければなぁ。それに何と言っても、ダービーマッチでローマに負けたのが痛かった。負けた以上に、あのゲームの赤紙・黄紙のせいで、レギュラーDF抜きでユーベとやるはめになったのが痛かった。なんかもう、シーズン終わったような口振りになってしまうぞ。
 だけどペルージャが昨日の出来を維持してくれれば、「ミランまさかのドロー!」もないわけじゃない。……やっぱ、ないか。やれやれ。ラツィオからデラペーニャとコウトとボクシッチを「1ゲーム限定レンタル」に出してやりたいぐらいだ。ま、ここはひとつ、日本全国民の後押しを受けて中田が10点目のゴールを決めることを期待しよっと。なんという日和見主義。

5月16日
 ペトラッキ、人生最良の日。
 ……かどうかは知らんが、驚いたねどうも。ペルージャ、ペトラッキの2ゴールでウディネを撃破だ。中田も素晴らしかった。素直な目で見れば、やっぱり彼のプレイは美しい。蒸し返すようだけど、ほんと、黙ってサッカーだけやらせてあげたほうがいいよ。「お友達」のカメラマンやジャーナリストたちも、もう彼で商売するのは遠慮してもらってさ。本人の「メール」(ウェブページ)も、俺は読みたくない。いいじゃん、プレイがあんなに雄弁なんだから。

 それにしてもペルージャ、ここへきて今季アウエー初勝利とは。頑張るのは来週でよかったんだけどねぇ。下位のほうのポイントはよく把握してないけど、これで残留確定しちゃったら困る。ミラン戦でモチベーション下げないでくれ。
 不自然なほど出来のよかったペルージャに対して、ウディネーゼはひどいゲームをしたもんだ。10人になったペルージャから得点できないなんて。頭上の敵(フィオレンティーナ)が引き分けた後で、やる気十分なはずだと思ってたのに。ソサは見るからに調子悪そうだった。というより、あんなもんなのか。今までが出来すぎだったのか。もともと鈍重な感じだったけど、反応が恐竜並みに遅い。客席のフェンスに掲げられた「ソサ人形」、試合後は磔の刑を受けてるように見えた。
 しかしまあ、ペルージャの選手達がとてもハッピーな感じだったので、俺もなんか嬉しくなったよ、正直な話。これだけ毎週見てれば、情も移るってことか。ダイナマイトな下半身を持つ男・松つぁんティーニにもパンツ一丁になってみて欲しかった。……あ、履いてないのかも。いや〜ん。
 ちなみに終盤で盛んに集音マイクが拾っていたボスコフの指示は、イタリア語をほんの少し解する愚妻によれば、「あと10分!」「あと3分!」と残り時間を絶叫していただけのようである。試合中に監督ができることって、少ないんですね。

5月15日
 うへえ。ラツィオ、勝てなかった。ミランは予定通りエンポリを一蹴したらしく、とうとう首位陥落だ。嗚呼。切ない。辛い。苦しい。サラス、スタートから使えなかったのかなぁ。マンチーニ、がんばってたけど、この疲労のたまった時期に2トップの一端を担わせるのはキツイ感じがした。あと、実況をよく聞いてなかったからわかんないんだけど、オコンって誰? 名前を聞いて、てっきりナイジェリア人かと思ったら白人だったし、ファーストネームも「ポール」で英米風だ。なんでスタンコビッチ、スタメンじゃないの? ねぇってばよぉ。

 しかし。負けなくてよかったとも言えるよな。内容的には負けてもおかしくなかった。ってゆーか、ルイ・コスタがPK入れてたら負けてた。前々回は失敗(後で押し込みはしたが)、前回もGKに触られてたのに、なんで蹴らせるんだろう。ラツィオとしては九死に一生を得た感じ。ここで勝ち点落としてたら、ミランと2ポイント差になってたわけだから、次節ラツィオがパルマに勝ってミランがペルージャと引き分けても、プレーオフに持ち込まれちゃうところだった。終わってみれば「あのマルケジャーニの好セーブがラツィオを救った」ってことになるかもしれん。とにかく、もうCWCなんかどうでもいいから、パルマ戦に集中してほしい。マジョルカなんか、デラペーニャやコウトやボクシッチあたりに任せておけば勝てるよ、きっと。

 それにしても、これまでずっと世間の中田フィーバーから距離を置いてセリエAを見てきたにもかかわらず、最後の最後でペルージャを全力で応援することになるとは。フォルツァ、ペルージャ。フォルツァ、中田。頼むから引き分けてくれぇ(勝ってもいい)。ただし明日のウディネ戦はがんばらなくていいです。フォルツァ、ソサ。

5月13日
 昨夜(今朝)、UEFAカップ決勝パルマ×マルセイユ観戦。マルセイユ、もうちょっとやるんじゃないかと思っていたが、レギュラー5人いないんじゃ、あんなものか。ラバネッリ、見たかったなぁ。3-0でパルマの圧勝である。パルマの強さと同時に、セリエAの強さを見せつけられた感じだった。
 怪僧ヴェーロンも素晴らしかったが、なんといっても目をひいたのはテュラムだ。めちゃめちゃ気合い入ってた。何かに憑かれたかのようなハイテンションで、"行っちゃってる"感じ。3点目は実質的に、狂気の攻め上がりを見せたテュラムのゴールと言っていいのでは。最終節のラツィオ戦では「抜け殻」になってるといいんだけど。……テュラムの抜け殻か。怖いな。パルマのユニフォームって、熱帯のジャングルに棲息してる毒虫みたいな感じだし。

●似てる人シリーズ
 パルマのキエーザと布施明。

5月12日
 日本×オーストラリア(U-22)観戦。FK一発で0-1の負け。世界ユース準優勝の浮かれポンチな気分を萎ませるのに十分な内容である。寒い。U-20はたしかに強かったけど、それはあくまでも「あのチーム」が強かっただけであって、日本サッカーが強かったわけじゃないのであるなぁ。どうせまた五輪アジア予選では、はらはらどきどきさせられるんだろうね。ま、小野と中田がいれば、ぜんぜん違うチームになるんだろうが。しかし、「アジア予選なんて目ぇ瞑っても通過できるぜ」という状態にはならんもんか。ならんな。そういう勘違いをしてる日本人は大勢いそうだけど。

●似てる人シリーズ
 横浜Fマリノスの中村俊輔と武豊。



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