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江戸川駄筆のサッカー日誌
1999-2000/vol.31

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『だいじょうぶ! 必ず流れは変わる』(樋口廣太郎・講談社プラスα文庫・本体680円)……というタイトルの本を店頭で見かけたら、迷わず1冊手にとり、そそくさとレジへ持ってゆき、黙って言われたとおりの代金を払ってください。べつに2冊でもいいです。それがどうしてもイヤだというのなら、平積みの棚から本書を1冊抜き出して、隣の本の上に置いてから立ち去りましょう。ひとつ、よろしく。
Readers' Mail No.094(3/27)

脱、地上波放送

by Y.N

 こんにちは、江戸川さん。
 最近、我が家は私のインターネット生活における電話料金ショック死状態でプロバイダーの変更を決意。そしてZAQというケーブルテレビの付属の?プロバイダーと契約しました。だからここのサイトに来るのは約一ヶ月ぶりで溜まりに溜まったバックナンバーを読み、爆笑の嵐です。
 そして、ケーブルテレビに加入のおかげで、チャンピオンズリーグの観戦などが可能になったのです(あと、Jリーグと昔のユーロ予選とか)。とにかく毎日、うれしい悲鳴を上げています。

 江戸川さんお気に入りのラツィオ。北海道合宿の話ですが、偶然にも私、Jリーグ開幕元年、あのグランパスのリネカーの特集番組でプレシーズンマッチを名古屋と戦っていたラツィオを発見しました(ビデオで)。メンバーなどの詳細は知らないですが、おそらく、何試合か日本でプレシーズンマッチを消化していたみたいですよ。ちなみに日本合宿の理由は、好条件の気候と成金状態のJリーグ企業の勧誘のおかげらしいですよ。

 では、お仕事がんばってください。

投稿大募集!

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3月31日(金)16:50 p.m.
 昨夜は、アルゼンチン×チリ(W杯南米予選第1節)を観戦。かったるかったブラジルとは対照的に、アルゼンチンは凄まじかった。異常とも思えるハイ・テンション&ハイ・モチベーション。退屈だったイングランド戦がウソのような猛攻である。このアルゼンチンを、コパアメリカのブラジルと戦わせたかった。
 とくに張り切っていたのが、オルテガとサネッティ。オルテガはほんとに代表だと生き生きする。得意のゾーン(ファン・デルサールに頭突きしたあたり)で倒れてPKもゲットしてたし。サネッティも、あんなにドリブル好きだとは知らなかった。すげー切れ味。やっぱセリエでは相当我慢してんだろーなー。封印を解かれた悪魔のようだった。ヴェーロン、シメオネのラツィオ・コンビも全力を投入していて、気が気じゃなかったよ俺は。ローマ・ダービーの勢いのままやってる感じで、「ああ、もう、そんなに一生懸命走らんでくれ」って何度も思ったね。
 先制点は、バティストゥータのFK。バティのFKといえば、カベを破壊するような強引なものだと思っていたが、あんなボールも蹴れるとは驚きである。カベの外を巻いてゴール右隅に飛び込む、エッフェンベルク並みのキックだった。チリも少ないFKのチャンスをモノにして1-1に追いついたが、それ以外は哀れなほどのリンチ状態。ハーフコート・サッカーというよりも、ありゃクォーターコート・サッカーだな。ずーっとチリのゴール前でボールが動いていた印象である。ヴェーロンのゴールもあって前半は2-1、後半もヴェーロンのPK、クラウディオ・ロペスのゴールが決まり、4-1でアルゼンチンの圧勝であった。チリのほうは、サモラーノがGKとの1対1を二度も外したのが痛い。それにしても、ヴェーロン、シメオネはフル出場、センシーニも途中出場、おまけにサラスはたびたび危険なファウルを受けて痛がっているという、ラツィオ・ファンには辛い試合だった。こんな試合から間をおかずに、もう明日はユーベ戦だなんて、まったくもって忌々しい日程である。

3月30日(木)10:30 a.m.
 日本×ニュージーランド(U-23)は4-0で日本の勝ち。メシ食いながらなんでろくに見なかったが、NZはとても弱かったようである。ホームであんな相手と試合して、いったい何の意味があるんだろう。格下とは各種予選でうんざりするほど試合してるんだから、もういいじゃん。しょっちゅう国際試合が組まれるならともかく、貴重な時間と機会を浪費してないか? たとえば同じ日、ミルチノビッチは母国ユーゴに中国代表を連れてゆき、1-0の接戦を演じさせている。決勝点はミハイロのFKからミヤトビッチが決めたってんだから、中国は本気のユーゴと戦う機会に恵まれたわけだ。かたや日本協会は、せっかくトルシエが決めてきたトゥーロンのユース大会への出場を却下したとか。何度か見たが、あの大会は強豪国の若僧がけっこう本気で戦ってるのになぁ。どういう事情かよくわからないが、もったいないことである。

 あらためてコロンビア×ブラジル(W杯南米予選第1節)を最後まで見た。スコアレスドロー。退屈。ブラジル、ぜんぜん魅力なし。標高2600メートルで空気が薄いという悪条件だったとはいえ、もうちょっとスピードってもんがあってもいいんじゃないかと思うぞ。コパアメリカではわりと面白かったコロンビアも、まったく別のチームになってしまった印象である。しかしまぁ、予選の序盤なんてこんなもんなのかもしれない。「最初はグー」みたいな引き分けであった。

3月29日(水)13:15 p.m.
 寝坊して11時に起きたら、ちょうどスカパーでコロンビア×ブラジル(W杯南米予選第1節)の生中継がスタートしたところだった。おお、もう始まったのであるか。異様な熱気に包まれたコロンビアのスタジアムを寝ぼけまなこで眺めていると、この人たち(選手もファンも)がわれわれの国(と隣の国)に来ることを目指しているという現実が、なんだかピンとこない。しかし、これは紛れもなく「Road to 日韓」の戦いなんである。俺がそれを感じたところでどうということもないのだが、今更ながら自国が2年後に世界から託される荷物の重さを感じたりしたのであった。試合のほうは前半0-0。リバウドもカフーもロナウドもアモローゾもいないブラジルはやはり迫力が足りず、決め手に欠ける印象。それでも2トップにエウベル&ジャルデウを使えるってのは贅沢な話だが。CL決トナを控えてる各クラブの監督は、怪我されるのが怖くて見てらんないだろうな。俺はずっと見ていたかったが、仕事もあるんで、後半は再放送で見ることに。

 きのう久しぶりに昼のワイドショーを見ていたら、「アルコール・ハラスメント」に関する話題が取り上げられていた。イッキ飲みの強要などで事故の起きやすいシーズンだから、警告のためにそういう言葉が作られた、ということだろう。それ自体は「ああ、そうですか」という程度の興味しかないのだが、俺がイヤだなぁと思ったのは、アルコール・ハラスメントが「アルハラ」と略されているところだ。安易だなぁ。工夫がないなぁ。こういう略語が、俺は嫌いなんである。俺だったら、「酒ハラ」にするね。そのほうが「セクハラ」(これ自体はあまり美しいとは思えないが)と語感が似てて印象に残りやすいし、意味も一発で伝わるじゃん。略語は、ただ短くすりゃいいってもんじゃない、と思う。

 話は変わるが、サッカー日誌を標榜しながら実は筆者の不平不満のはけ口と化している本誌では、これまでいろんな「商売」への文句をたらたらと書き綴ってきた。電話セールスの無礼、スカパー番組表の不親切、銀行やCSの統合・合併にともなう面倒、日本語変換システムにおけるソフトメーカーの傲慢、そして家具屋(やスーパー)の会員制システムに感じる押しつけがましさ。いろいろ書いたが、言いたいことはただ一点、要するに「客の立場になって考えてみろよ」ってことである。小学生に説教してるみたいで馬鹿馬鹿しいかぎりだが、それが実情なんだから溜め息が出る。いまのビジネスには、「これ、自分が客だったらどう感じるだろうか」という素朴だが重要な想像力がおそろしいほど不足していないか? 作り手や売り手の論理から買い手の論理への転換なんてことは、ずいぶん前から言われていると思う(俺自身、この10年間にそんな内容の原稿をどれだけ書いたかわからない)のだが、現実にはますます顧客不在の手前勝手な論理が横行しているような気がする。いっぺんテメーの商売の客になってみろ、と言いたい気分である。

3月28日(火)10:15 a.m.
 シモーネ君がアズーリに召集されたんだとか。時期尚早という気がしなくもないが、ラツィオの攻撃陣にイタリア代表が1人もいないのは寂しかったので、まずはめでたい。しかしピッポとの兄弟2トップは、興業的にはアリかもしれないが、ちょっとねぇ。どっちが先にオフサイド取られるか、という意味では興味があるけれど。なんか、2人で同時にフラッグ上げられて、同じ仕種で副審に文句つけてる光景が目に浮かぶな。

 昨夜はマラガ×バルセロナ(リーガ第30節)を観戦。11月にカンプノウでバルサを破っているマラガは、序盤から自信に溢れた戦いぶりであった。前半に1点を先制して、引き分けも許されないバルサを慌てさせた。しかし後半、セットプレイからアベラルドの同点ゴールが決まる。さらに終盤、ガブリが倒されてPK。これをクライファートが決めてバルサが辛勝したのだが、ホームのマラガには気の毒な判定だった。ルーズボールの競り合いの中でちょっと接触しただけだろ、あれは。マラガは前半にも微妙なオフサイドを取られてゴールを取り消されており、審判に勝ち点3を奪われた感じである。関係ないが、倉敷&金子コンビはCLの決勝が「BB対決」になると予想しておった。うーむ。ま、それが妥当なとこかもなー。俺としては、好きなチームが同じブロックに入ってしまったのが辛い。どうせならマンチェスターに決勝まで来てもらって、それをラツィオかバルサかチェルシーが粉砕するところを見たいぞ。

3月27日(月)14:30 p.m.
 より快適なサッカー観戦環境を実現すべく、少し大きめのソファを買うことに。さっそく昨日、新宿の大塚家具(むかし三越だった丸っこいビル)へ行った。いちいち面倒なショールームである。会員とやらにならないと店内に入ることもできないらしく、受付で名前やら住所やら電話番号やら職業やらを書かされた。ここはホテルか。家具を探すだけのことで、なんでプライバシーを明かさにゃならんの? しかも次に来店したときも、いちいち受付に寄って電話番号を訊かれるんだという。うざったい。だいたい、家具屋ごときの「会員」になるということ自体がすごーくイヤだ。だって、なんか大塚家具のことがとっても好きな人間みたいじゃんか、会員だなんて。「友の会」なんて名前がついてたら、「俺はおまえらのトモダチじゃねーや」と捨て台詞を吐いて、とっとと帰ってたな、きっと。しぶしぶ手続きをしながら、「なんかすごく面倒なシステムですけど、私みたいにブツブツ文句いう人いませんか」と受付の姉ちゃんに訊いてみたのだが、「いえ、そんなことは」ということだった。ふん。やっぱり俺が素直じゃないだけってことか。だけど最近、スーパーでもどこでも、やたら店のカードを作らせて顧客を囲い込みたがるところが増えている。いちいちレジで「カードはお持ちですか」「いえ、持ってません」という会話を交わさなければならず、鬱陶しい。持ってたら言われなくても黙って見せるっちゅうねん。ともあれ、文句を言いながらも購入するソファを決めると、こんどは「お現金かお振り込みか、どちらになさいますか」と言われて絶句。聞いてねーぞ、そんなこと。「どちらにって、どっちかじゃないと売ってくれないわけ?」と顔を顰めてみせると、「いえ、これはまあ、できればご協力をお願いしたいということでございまして、カードもご利用いただけます」という。なるほど、だから会員にして「協力」する責任を自覚させようというわけか。しかし、だったら入会手続きの際にそういうアナウンスをしておくべきである。いざ買うときになって「現金か振込か」というのはずいぶんな話だ。当然、振込なんて面倒は御免なので、カードを差し出した俺であった。しかし形としては「協力を断った客」ということになってしまい、かすかに理不尽な罪悪感が残る。俺は口が裂けてもそんなことは言わないけれど、中には「すみませんが、カードで買わせてください」などと頭を下げる客もいることだろう。客をそんな気持ちにさせるのは、商売として絶対に間違っている。……と思うのは、やはり俺が父の子だからなんだろうか。もし親父が一緒だったら、30分ぐらい店員に説教した挙げ句に、1割ぐらい値切ってたかもしれん。

 昨夜は、リバプール×ニューカッスル(プレミア第30節)をビデオ観戦。厳しい試合になることはわかっていながら、ウリエ監督は故障明けのオーウェンを温存。レスターからヘスキーを入手して余裕が出てきたせいもあろうが、オーウェンをベンチにも入れないというあたりが、ウリエという人の度量の大きさである。目先のことに惑わされず、長期的な視野を持ち、選手には決して無理をさせない。もちろん、それで負けちまったら何を言われるかわからないわけだけど、ちゃんと勝ってみせるから偉いね。後半、ジェラードのすばらしいクロスをカマラがダイレクトで叩き込んでリバプールが先制。シアラーの同点弾を浴びてそのまま引き分けてしまうかと思いきや、89分、長期離脱から復帰して途中出場していたレドナップがCKにヘッドで合わせて感動の勝ち越しゴールである。2-1でリバプールの勝ち。リーズがレスターに敗れて、2位浮上もあり得る展開になってきた。

 レッチェ×インテル(セリエA第27節)を後半から観戦。前半はセサのFKで1-0。セサ、このところ絶好調のようである。リッピは後半アタマからビエリを投入し、レコバ、サモラーノ(途中からバッジョ)との3トップに。ところがそのビエリがゴール前に詰めたときにまた右足太股を痛めて退場してしまった。カフーもそうだったが、こちらはオーウェンと対照的な使われ方であるな。結局、レコバ、バッジョの2トップ、その下にユーゴビッチという中途半端な布陣になってしまったインテルが、ゴールを奪えずに1-0の負け。前節から、イタリアにはアップセットの嵐が吹き荒れている。物量作戦で守りきったレッチェだが、それはそれで見応えがあった。ウディネ戦でミスを連発したキメンティも好セーブを見せて名誉挽回できたようである。

 Y.Nさんから投稿(No.094)をいただきました。ども、こんにちは。ケーブルテレビ導入とは、慶賀の至り。CLやEURO予選をご覧になっているということは、WOWOWやESPNが見られるということのようですね。Sky sports(4月からはJ-SKY)は無いんでしょうか? 今後は、欧州戦線の観戦記などもお待ちしておちます。あと、ラツィオのことも教えていただき、ありがとうございました。なるほど、そういうわけでしたか。そういや、昔はよく海外のクラブを呼んでましたよね。俺も、イギータのいるチーム(名前忘れた)とヴェルディの試合を東京ドーム(!)で見た記憶があります。たしか、アルシンドがヘディングでゴールを決めてました。懐かしいなー。

3月26日(日)
 殺意なき者は去れ。……ローマ・ダービーには、そんな空気が充満していたのであった。がおーっ。というわけで、昨夜はラツィオ×ローマ(セリエA第27節)をライブ観戦。最近の調子から言ってラツィオ有利とは思っていたが、ネスタが故障、ミハイロが出場停止でレギュラーCBが不在である。おまけにローマはカフーが復活。イヤな予感いっぱいで迎えたキックオフであった。その予感が的中して、いきなりモンテーラの先制ゴールが炸裂。腰抜けたよ、俺は。しかしまあ、このゲームが1点や2点で終わるわけはないんである。それに、サッカーの質は明らかにラツィオが上であった。とくに目立ったのが、ベーロンとパンカロ。パンカロが中へ中へと積極的に入っていったぶん、中田の負担も大きくなっていたように感じた。ベーロンのほうは、殺意が高まるほどモチベーションと集中力も高まるタイプなのかも。鮮やかなワンタッチ・パスを連発してローマの中盤を翻弄しておったわい。そして24分、アメリカW杯アジア最終予選の韓国戦におけるカズのゴールを想起させるようなネドベドの奇妙なシュートが決まって同点。さらに27分、中田がエリア手前でベーロンを倒してFKを与える。ミハイロ親分はいないが、それでもベーロンがいるあたりがラツィオの強味である。そのベーロンが右足を振り抜くと、ボールはローマのカベを越えてゴール左隅に突き刺さったのであった。逆転。いやー、興奮した興奮した。立ち上がって、「やったー、やったー」と叫びながらしばらく部屋をうろうろ歩き回ったぐらい興奮した。その後、ローマは故障明けのカフーがまたまた負傷退場。ラツィオのほうもGKマルケジャーニが故障でピッチを去り、さらにローマはカンデラも負傷退場と、さながら野戦病院のような凄まじい光景である。死屍累々。終盤は双方とも疲れ切ってしまったようで、「えーい、めんどくせー、倒しちゃえ」という感じの乱暴なファウルも続出し、最後まで22人がピッチに立っていたのが信じられない。ともあれ、パンカロ、コウト、ネグロ、ゴッタルディが最後まで集中を切らさずに守りきり、2-1でラツィオ。チェルシー戦に続き、またまた逆転勝ちを見せてくれたのであった。ここへ来て、この粘り強さは頼もしい。次節のユーベ戦、なんだか勝てそうな気がしてきた。

 それにしても、スカパーのローマ偏重中継には辟易させられたのである。まぁ、実況がCSでは珍しくふだんから「ナカタ、ナカタ」とうるさい地上波民放的傾向の強いIアナだったから、充分に予想されたことではあるのだが。後半アタマから中田に代わってアスンソンが出てきたときも、Iアナはしゃかりきになって「中田の出来」以外の交代理由を探しておった。ジャンルカ・トト・富樫に「いや、まあ、今日の中田はいいところ無かったっすから」とあっさり言われてたけどね。同胞をかばうのは悪いことじゃないから、べつに文句を言うつもりはない。でもさー、ハーフタイムにローマの布陣だけフリップで解説して、ラツィオを無視するってのは偏りすぎだぜ。「ラツィオが勝ってスクデット争いが面白くなってきました」って、終わってから取って付けたように言うなよな。これまで非巨人ファンの人々がどれだけ日テレ式の野球中継に不快感を抱いてきたかということが、よーっくわかったような気がした。

3月25日(土)
 なぜか金曜日に開催されたミラン×ユベントス(セリエA第27節)をビデオ観戦。今回ばかりは、ミランに声援を送る。ボバンの穴を埋められず、工夫の乏しい攻撃に終始していたミランだったが、前半ロスタイムにシェフチェンコが先制ゴール。一方のユーベは、やはり前節のダービーで消耗したのか、動きが鈍かった。勝ち点差9から生じる油断、もあったに違いない。さらに審判もミランに味方。後半にミランが得たPKは、ちょっと前なら笛が吹かれなかったと思う。リプレイでも、シェフチェンコのダイブのように見えたし。ともあれ、これをシェフチェンコが自ら決めて2-0。最後までダルな雰囲気のまま、ユーベが今季の2敗目を喫したのであった。風雲急、とまでは言わないけれど、これでラツィオにも少し希望が出てきたぜ。今夜のローマ戦は、ぜーったいに落とせない。

似てる人シリーズ#98

「FK刑事」ことミハイロビッチと
『L.A.コンフィデンシャル』のバド・ホワイト刑事。

3月24日(金)
 一昨日だったか、WOWOWでジャック・ニコルソン主演の『恋愛小説家』を観た。偏屈な強迫神経症の作家が病気の息子を持つウエイトレスに恋をして、最高の口説き文句を見つけるまでの苦闘を描いたお話。……これじゃ、ちょっとまとめ方が乱暴すぎるか。いずれにせよ、これは「言葉」をめぐる映画だったように俺には見えた。

 はじめに言葉ありき、というわけで、何事も言葉にしないと信じられない彼の地の文化というのは、けっこう息苦しいものであるに違いない。ロジカルな言葉で物事を伝えようとしない日本人を彼らは批判するけれど、それも実は彼ら自身が日頃から「言葉の厄介さ」に苦痛を感じていることの裏返しなんじゃなかろうか。「俺たちはこんなに苦労して言葉にしてるんだから、おまえらも楽してないでやってみろ」というわけである。

 この映画で描かれていたのも、「以心伝心」や「阿吽の呼吸」を信じられないアメリカ人の不幸、なのではないだろうか。デート中、作家の毒舌に傷ついたヒロインが、「早く、わたしが機嫌を直すようなホメ言葉を言ってよ」と食ってかかるシーンが、その象徴である。こういう言い方を日本人は絶対にしないと思うが、たぶんアメリカでは、これが機嫌を損ねた女性が口にする紋切り型なんだろうと思う。そして男が紋切り型のホメ言葉を口にすれば、彼女たちは満足する。紋切り型で紋切り型を要求し、紋切り型の満足を得つつ、紋切り型の恋愛を味わいたいアメリカ人。米国製のホームドラマなんかを見ていても、短い歴史の中で培われてきた「伝統」のようなものを、彼らが意外に大切にしているように見える。そうでもしないと、アメリカはアメリカでいられなくなってしまうのだろう。国旗や国歌に過剰とも思えるような忠誠心を示してみせるのも、オリンピックで「U・S・A!」と連呼するのが好きなのも(あれが「個人主義」の国だなんて信じられない)、子が親から習ったデートの作法を踏襲したがるのも、アメリカをアメリカであり続けさせるための涙ぐましい努力なのだ、きっと。しかし、そうやって守られている紋切り型の伝統が、彼らの生き方を縛ってるということはないだろうか。「自由の国アメリカ」といいながら、彼らの生き方はあんがい不自由そうだ。「自由の国」という紋切り型さえもが、彼らに不自由な生き方を強いているような気がしてならない。

 ニコルソン演じる作家は、おそらく作家であるがゆえに(そしてたぶん、自らも作品を通じてアメリカ的紋切り型を拡大再生産しているがゆえに)、そんな紋切り型を拒絶したかった。だから素直に口説けない。きっと彼は、ロゴスの世界に別れを告げて、以心伝心の世界に飛び立ちたかったのだ。しかし結局は、言葉しか彼と彼女を結びつけるものはなかった。ラストシーン、朝4時の路上で納得のいく口説き文句を見つけた彼は、焼きたてのパンを買おうと、彼女と二人でシャッターを開けたばかりのパン屋に入る。そのパン屋の看板には、「アメリカン・ウエイ・オブ・ライフ」と書かれていたんじゃないだろうか。ようこそ、紋切り型の世界へ。紋切り型の幸福を手にしてしまった彼は、ひょっとすると、もう小説が書けないかもしれない。ハッピーエンドのふりをした悲劇、だったような気がする。

3月23日(木)11:50 a.m.
 よっしゃー。今朝ビデオで見たチェルシー×ラツィオ(CL2次リーグ第6節)は、1-2でラツィオの逆転勝ち。いやー、危なかったなー。前半はラツィオが決定機を外しまくり。とくにネドベドが上げた最高級のアーリークロスを、シモーネ君がダイレクトボレーで叩いたシーンは実に惜しかった。朝っぱらから、悶えちゃったよ。その後もシモーネ君は前節でツキを使い果たしたかのような外しっぷりで、攻めれば攻めるほどラツィオが追い詰められていくような印象。そして前半終了間際、それまでどこで何してたんだかわからなかったポジェが、ラツィオのクリアミスを拾ってミドルシュートをぶち込んでしまったのであった。あらら。ラツィオ戦ではおとなしくしとけって言ったのにぃ。崖っぷちのラツィオは、後半アタマからボクシッチを投入。ところがそのボクシッチのシュートも枠を捉えない。正直いって、わしゃ観念しておったよ。マルセイユがフェイエノールトを負かしてくれるのを天に祈っておったのじゃ。しかし54分、左からネドベドが折り返したボールにシモーネ君が飛び込んで同点。インザーギ一族らしいゴールじゃった。なんで爺ぃ口調になってんだ俺は。さらに66分、右サイドでボクシッチがババヤロに倒されてラツィオがFKをゲット。世界中のラツィアーレが、ミハイロ親分の左足に念力を送る(俺も送ったが、そのときはビデオであることを忘れていた)。そして角度のないところから蹴り込まれたボールは、磁石で引き寄せられたかのように、ゴール左上に吸い込まれたのであった。デフーイ、一歩も動けず。このところ冴えないキックが続いていたミハイロだが、大事なところでやってくれたねぇ。終盤は、コウトがイエロー2枚でピッチを去ったこともあって、チェルシーの猛攻が続く。ポストやオフサイドやキーパーチャージに救われたものの、心臓が凍りつくようなシーンの連続であった。ともあれ、終わってみればラツィオが1位で通過。イタリア勢で唯一の欧州戦ベスト8進出である。つまりイタリアでいちばん強いのはラツィオってことだな。がはは。やっほー。

3月22日(水)
 家族サービスというより、俺自身、「なんか変わったことしてー」と思い立ち、昼から向ヶ丘遊園へ。連休明けの平日(しかも強風)だけあって、がらがらであった。1500台収容の広々とした駐車場に、午後1時の時点で15台ぐらいしか停まってなかったんじゃないだろうか。自由業の醍醐味。向ヶ丘遊園には初めて行ったが、なかなかクラシックな遊園地である。絵に描いたような遊園地。それにしても遊園地というのは、どうして「ぐるぐる回る」遊具ばかりなんだろうか。セガレは喜々として乗っていたが、俺のほうは気分転換を通り越して目眩がした。もともと苦手なんだけど、三十路も半ばになると、さらに神経がついていかなくなるのかもしれない。

 夜、フィオレンティーナ×ボルドー(CL2次リーグ第6節)をビデオ観戦。フィオは、情けなかった今季をしめくくるにふさわしい、バタバタした戦いぶりであった。逆転で3-1としたところまではよかったが、終盤、10人に減ったボルドーに2点を連取されて3-3のドロー。モチベーションの差が勝敗に結びつかないこともあるんである。見るからにリラックスしてる感じのボルドーはやけに強かった。しかしフィオ、2点もリードしてて、なんであんなに守備がゆるゆるだったんだろう。バレンシアがユナイテッドと引き分けたんで、たとえ勝っても敗退だったようだけど、ホームであんなひどい試合したんじゃ許されないよなー。さらば、トラパットーニ。

 昨夜は、ベローナ×ラツィオ(セリエA第26節)をビデオで見た。結果は知っていたんで、見るのやめようかとも思ったのだが。あーあ。最近ベローナは調子いいから怖いとは思ってたんだけどさー。前半に決められたモルフェオのゴールを守り切られて、1-0の負け。しかしまぁ、このゲームにかぎってはベローナの出来が良すぎたわ。出足は鋭いは判断は早いはGKは大当たりだわで、以前の退屈さがウソのような華麗きわまりないサッカーであった。ファンになっちゃいそう。とりわけ移籍のモルフェオが効きまくりである。昨季のベネチアにおけるレコバを彷彿とさせる救世主ぶり。だけど、モルフェオがアップになるたび、「この顔、モザイクなしで放送していいのか?」と感じるのは俺だけ? いや、別に何がどうというわけではないのだが、なぜか目を背けたくなるような顔なんだよねー。なんでだろ。そんなことはともかく、常識的に言って、ラツィオのセリエはこれで終わり。だがしかし。次節でユーベがミランに負け、ラツィオがローマに勝ち、さらに次々節でラツィオがユーベとの直接対決に勝利すれば、勝ち点差は一気に3まで縮まるんである。諦めるのはまだ早いぞエリクソン。……書けば書くほど虚しくなるな。

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