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江戸川駄筆のサッカー日誌
1999-2000/vol.33

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Readers' Mail No.096(4/17)

おめでとうございます。そして、ご愁傷様です。

by Y・N

 こんにちは、江戸川さん。  先日、投稿した通り、CS加入でJスカイスポーツも観戦可能になりましたので昨日は朝6時まで合計4試合、観戦しました(頭痛いです)。

 それはそうとフィオ対ラツィオ、すごかったですね。ミハイロビッチのPK2発。絶叫した江戸川さんの気持ち、よくわかります。そしてバティのFK、江戸川さんもおっしゃってましたが、あんなFK蹴れるんですね。

 イタリアはスクデット争い、見えてきましたが(ご免なさい)ラツィオにはCLがあるじゃないですか!チェルシーを破って奇跡の?グループ1位通過を決めたんですから、3点差くらい、ひっくり返せますよ(ちなみに、僕、パンカロのファンになりました)。

 なんか意味のわからん投稿になってしまいましたが(笑)、お誕生日、おめでとうございます。これからも体に気をつけて、楽しいこの観戦記を続けてください。では・・・。

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4月24日(月)11:20 a.m.
 結果は知っていたが、「ここはしっかり見届けておこう」と思いつつ、ラツィオ×バレンシア(CL準々決勝第2戦)を見る。せめて翌日に放送しろよバカ、とWOWOWの不見識を内心で呪っていた俺だが、こりゃ、結果を知らないで見てたら体を壊してたな、きっと。脳溢血でぶっ倒れるか、発狂するか、いずれにしても廃人になるのは避けられなかったかもしれん。少なくとも、カウンターでバレンシアにゴールを割られた(オフサイドの「誤審」でノーゴール)瞬間には、間違いなく失神していたことだろう。それにしても、なんというチャンスの山。入らないとわかっていても、「撃てぇ!」「うが〜」「まだある!」「ばかばか」などと呻きながらのたうちまわってしまった。なんで入らへんねや。カニサレスって、あんなにいいGKだったか? ちくしょー、ちくしょー。エリクソンもさー、どーしてネドベド下げちゃったの? あそこは、へなちょこなクロスしか上げられないコンセイソンに替えて早めにシメオネ投入でしょう、やっぱり。ネドベドがいなくなったせいで左サイドに変化がつかなくなり、ひたすらボクシッチが事務的なセンタリングをくり返す単調な展開になってしまった。あれじゃバレンシアだって腰を据えて守れるっちゅうねん。後半に好位置でのセットプレイがほとんど取れなかったのも、中に切れ込んで勝負するネドベドがいなかったせいである。結局、ヴェーロンのゴール(これは素晴らしかった!)だけに押さえられて1-0。agg.3-5でラツィオが敗退してしまったのであった。チェルシーを逆転したバルセロナとの違いは、サポーターの差ではなかろうか。オリンピコの人たちも、発煙筒を燃やすばかりではなく、「3-0」の人文字を作るべきだった。選手入場の際にカンプノウの客席を彩っていた「2-0」という即物的な人文字は、具体的なイメージを喚起する上で絶大な効果があったに違いない。スポーツ選手は、そうやって達成すべきイメージを頭に植えつけることが大事なんだと思う。それを知っているという意味でも、やはりスペイン人は実に成熟したサッカー観を持っていると言えるのではないだろうか。そしてベスト4は、そのスペインから3チーム。バルサが天敵バレンシアとどう戦うか見物である。……それにしても、これは俺の捨て台詞のようなもんだが、田中孝司(解説)の眠たいコメントは何とかならんのか。

4月23日(日)
 きのうの11時頃、傘が空を飛んでいた。仕事の手を休めて、ふと窓の外に目をやったときのことである。生産緑地の上には、早くも初夏の到来さえ感じさせる抜けるような青空が広がっていた。そこに、一本の傘がひらひらと舞っていたのだ。たぶん、誰かがベランダに干していた傘が、風に吹かれて宙に舞い上がったんだろう。舞い上がるところまでは珍しくもないと思うが、その傘はすぐに落下せず、くるくると回転しながら、あっちへ行き、こっちへ戻り、時にはさらに天高く上昇し、そばを飛行するカラスたちと戯れるようにして、俺が見始めてからでも3分近く空中にあったのである。やけに幻想的な眺めだった。3分で2点を取るサッカーと、3分も空を飛ぶ雨傘と、どちらがよりファンタスティックだろうか、などと考えたりした。どこに落ちたのかは木の陰になってしまって見えなかったが、持ち主はあれを見つけられるだろうか。心配だ。

 昨夜は、ピアチェンツァ×ラツィオ(セリエA第31節)をライブ観戦。今節からは全試合が同日・同時刻の開催となり、スカパーも5試合を同時生中継である。セリエを5試合も同時に生中継している国なんて、ほかにあるんだろうか。イタリア国内でさえ、そんなことやってないような気がする。そんなわけで、裏(いや、一般的にはそっちが表か)でやってるユーベ戦が気になるところだったが、まずはラツィオが勝たねば話にならないので、腰を据えて見ることにした。しかし、シモーネ君が「ふつう入るだろ」の決定機を2つばかりミスって前半は0-0。ハーフタイムを迎えたところでユベントス×フィオレンティーナ(セリエA第31節)に切り替えると、まだ前半が終わっていなかった。こちらも0-0でホッとしたのも束の間、ロスタイムにザンブロッタがペナの隅で倒されてPK。これをデルピエーロが落ち着いて決めて1-0となったところで、前半が終了した。なんということでしょう。トルドぉ。ミハイロを止めたんだから、デルピも止めてくんなきゃ不公平じゃあないか。それにしてもデルピはPKが上手だ。優勝しようというチームのFWがPK以外にゴールなしでシーズンを終えようとしているのも驚異的なことだが、そのPKをたぶん一度も失敗していないってのも驚くべきことではある。
 ラツィオのほうは後半もB落ち決定のピアチェンツァを攻めあぐねていたが、途中出場のシメオネがまたまた勝負強さを発揮。ぐぐっとゴールから遠ざかるように曲がるミハイロのCKに後退しながら合わせる難しいヘディング・シュートを決めて、ラツィオが先制である。さらにヴェーロンのFKも決まって2-0。セットプレイで格下を突き飛ばすように勝つ、ラツィオ得意のパターンである。これで勝ち点3はゲットしたも同然なので、残り時間はデッレ・アルピのほうにチャンネルを切り替えた。相変わらず1-0。なぜかバティの姿がピッチから消えていて、フィオはてんで冴えない。ユーベのほうはジダンもデルピも引っ込めて、べったりと守りを固めている。フィオも惜しいチャンスがなかったわけではないが、結局そのままイチゼロで終わってしまった。溜め息。ミヤトビッチも故障で出ていなかったようだし、要するに「脅威の3トップ」が輝きを放った唯一の試合が前節のラツィオ戦だったってことか。なんてツイてないんでしょう。年に一度だけ完封する宮本(古い)の登板日に当たってしまった阪神のようなものである。5ポイント差、1ミリも縮まらず。つまらんなー。イチゼロもニーゼロも同じ勝ち点3というのが納得いかない。2点差以上つけたら勝ち点4、みたいなインフレ・ルールを作ってくれんもんか。最終節は「さらに倍。どん」(クイズダービー方式)とか。

 引き続き、ローマ×パルマ(セリエA第31節)を半分居眠りしながら再放送で観戦。スコアレスドロー。中田は出番なし。CLへの道は険しい。

4月22日(土)8:00 a.m.
 朝6時半に、恐ろしいほどスッキリと目が覚めた。このぶんだと、もうちょっと頑張ればパン屋か魚屋になれるかもしれない。ところで最近、パーティの夢を見ることが多い。このあいだは、「フリーランス10周年記念パーティ」なるものを瀟洒なバーで開いている夢を見た。芸能人の姿もあって、すごく賑やかだった。バカみたいである。書いていてとても恥ずかしい。今朝は学校の体育館ほどもある広大な自宅のリビング(むろん架空)でホームパーティを開いていた。なんだかなぁ。夢は「意識」と「無意識」の中間にある「前意識」の産物であると言ったのはフロイトだった。「夢の検閲」を受けて、前意識では無意識の欲動が形を変えているということらしい。したがって、俺が無意識に「パーティやりてー」とか「芸能人に会いてー」とか「広い家に住みてー」などと思っているということではないわけだ。でも、何が形を変えてそういう夢になってるんだろうかと想像したところで、どのみちロクなものじゃないことは明らかである。もう、夢の話を書くのはやめよう。

 どうやらファン・ニステルローイはマンチェスターUへの移籍が決まった模様である。ちょっと悔しい。あんまりオランダ人は獲らないでもらいたいものだ。でも本人にとっては、かなり良い選択であるような気がしないでもない。

 UEFAカップ決勝は、アーセナル×ガラタサライになったようである。結局、チャンピオンズリーグの落ちこぼれ組同士の対戦というわけだ。もともと意味のよくわからない大会だが、ますます何のこっちゃかわからないと感じるのは俺だけだろうか。このファイナルの勝者を、「優勝者」と呼んでいいのか? あらゆるスポーツの大会は「いちばん強い奴」を決めるためのシステムであるべきだと思うんだけどねぇ。なんとも、わかりにくい話である。いや、あからさまに「ゼニ」のためにやってるという意味では、わかりやすいのか。どうせなら、ファイナリストをCLに「昇格」させるとか、来季CL出場権を与えるとか、建前だけでも理屈つけりゃいいのに。

 どうでもいいとは思いながら、カネやんが解説だったんで、ついエクアドル×ベネズエラ(W杯南米予選第1節)なんか見てしまった。のんきなゲーム。いや、まあ、やってる選手は必死なんだろうけど、CLを見た後だと、どうしてもね。あちらのピッチが戦場なら、こちらのピッチは草原のように見えるのである。しかし観客席は猛々しいムードで、CKが蹴られるのと同時にゴール裏からトイレットペーパーのロールがひらひらと投げ込まれたりしていた。ほぼペナルティ・スポットに命中していたようで、すばらしい制球力。ディフェンダーは、あたかも一等賞でゴールした陸上選手のように、紙を胸のあたりに巻き付けたままボールをクリアしていた。ボールボーイがピッチに物を投げ込んで主審に注意されたりしているのを見ると、いったいどうなってるんだろうと思う。試合は2-0でエクアドルの勝ち。エクアドルの10番、どっかで見たことあるよなぁ、と思っていたら、ネカクサの選手だった。どうしても名前が思い出せない。世界クラブ選手権のとき、この日誌で「中米のプティ」とか何とか呼んだ記憶があるのだが、南米人だったのか。カネやんは、この選手がいたくお気に入りのようだった。コメントの7割は、この選手に関するものだったような気がする。たしかに、ものすごく面白いプレイをする選手である。エクアドルは、こいつと11番のFWの2人で攻撃している感じだった。カビエデスの姿が見えなかったが何してるんだろうか。次節、エクアドルはブラジルと、ベネズエラはアルゼンチンと当たるらしい。ベネズエラとの試合にも、シメオネやヴェーロンやセンシーニやアルメイダは召集されてしまうんですか。もったいない。U-17でも勝てると思うぞ。

4月21日(金)10:40 a.m.
 PTSD(心的外傷後ストレス障害)という病気になった人間は、どういうわけか心的外傷(トラウマ)を受けた時と似たような状況に身を置きたがることがあるという。レイプの被害者が暗い夜道を歩きたがったり、ベトナム戦争の帰還兵が戦争映画の残酷な殺戮シーンを見たがったりするというのである。その原因についてはいろいろな仮説があるのだが、その一つに「脳内麻薬」説というのがあるらしい。トラウマを受けたとき、そのショックを和らげるために脳の中で麻薬様物質が出る。それがキモチいいので、また麻薬様物質が出るような状況を求めてしまうのではないか、というわけだ。なるほど。ありそうな話ではある。

 もしそうだとすれば、バイエルンの選手・監督・サポーターにも似たようなことが言えるかもしれない。去年のファイナルは、彼らがトラウマを抱えるには十分なものだった。ソルスキアの決勝ゴールが決まった瞬間、彼らの脳は麻薬漬けになっていたのではないだろうか。そして1年後、バイエルン×ポルト(CL準々決勝第2戦)の後半44分にジャルデウの同点ゴールが決まった瞬間にも、彼らは奇妙な逆説的快感に浸っていたんじゃなかろうか。あんな目には二度とあいたくない。でも無意識のうちに、同じ思いを味わってみたいと願っている……そんな複雑な心理が呼び込んだゴールのように見えた。顔を覆って泣き崩れる妻をよそに、ベッケンバウアーは身じろぎ一つせず、かすかに頬をぴくりと動かしただけだった。その様子に「やっぱり……」の思いを感じたのは俺だけだろうか。あの手の不幸が起きたときに、「そうなることは知っていたさ」と妙にクールな気分になることがあるのを、麻雀が弱い俺はよく知っている。闇テンの親満に振り込んだときなど、「うへえ」と頭を抱えることがある一方で、「ふーん」とやけに冷静な態度で点棒を引き出しからつかみ出すことも少なくない(すでに点棒が足りないことも少なくない)のである。人間にはタナトス(死の本能)があると言ったのはフロイトだった。脳内麻薬説が正しいのか、タナトス説が正しいのか、どちらも間違っているのか、それはわからないけれど、そういう心理が人間にはたしかにある、と俺は思う。

 ……というわけで、仕事で勉強したつけ焼き刃の知識を織り交ぜながら書いているわけであるが、そんなこんなを凌駕してあまりあるゲルマン魂ではあった。同点劇からわずか3分後のロスタイムに、冗談のようなリンケの決勝ゴール。それも、ジャルデウの同点ゴールと同様、まわりがみんなジャンプしている中で、ひとり地面に足をつけたままヘディングをしたのがリンケだった。ジャルデウもリンケも、ボールがディフェンダーの頭上を越えて自分のところに届くことを読み切っていたんだろうか。それとも偶然? なんだかよくわからないが、agg.3-2でバイエルンが準決勝にコマを進めたのであった。

 きのうハイライトだけ見たオールド・トラフォードの一戦をあらためて見た。ユナイテッドはぜんぜん悪くなかった。とくに前半で見せていたワンタッチの嵐ともいうべきパス回しは実に華麗だった。完成したチームというのは、こういうチームのことを言うのだろうとさえ思った。でも、負けた。敗因は2つ。キャプテンが疫病神にとり憑かれていたことと、シルベストルを使ったことである。なぜアーウィンを引っ込めたのかわからないが、故障ではなく戦術的な交替だったとしたら、あれがファーガソンの敗着だったと言ってよかろう。故障による交替だったとすれば、シルベストルを獲得したこと自体が敗着である。マドリーの2点目はシルベストルのせいだし、2点目がなければ3点目もなかったに違いない。それにしても、ラウールは見違えるほど「オトナなプレイヤー」に成長している。ゲームの流れを読んで、行くところは行き、抑えるところは抑えるという切り替えが素晴らしい。いずれグアルディオラ級のキャプテンになれる人材だと思う。

※訂正 一昨日(4/19)の日誌では、リバウドのPK失敗がダニのゴールの後だったことになっていますが、どうやら順番が逆だったようです。つまりリバウドは「勝ち越しのチャンス」を逸したのではなく、「同点機」をフイにしたということです。そんな大事なことも覚えていないなんて、ひどいですね。失礼しました。

似てる人シリーズ#101

WOWOW解説者の田中孝司と東京乾電池のベンガル。

4月20日(木)9:20 a.m.
 もろもろあって気が晴れず、ゆうべはろくにサッカーを見ないで11時すぎに就寝。今朝もしとしと雨が降っていてブルーな気分だったのだが、マンチェスターU×レアル・マドリー(CL準々決勝第2戦)のハイライト・シーンだけビデオでチェック(ほんとうに堪え性がない)して、いきなり気持ちがすっきりした。がはは。なんとびっくり、2-3でマドリーの勝ちである。しかもマドリーの先制点は、放っておけばGKの手に収まったサルガドのシュートを、飛び込んできたキーンがゴールに押し込む(つまりオウンゴール)という間抜けな形であった。2点目も、シルベストルが何を勘違いしたのかラウールの左足を放置してループを決められたもの。3点目は、レドンドの個人技が光った。左サイドで2人に囲まれたレドンドが、ヒールで相手の股間を抜いてゴールライン際まで攻め上がり、マイナスの折り返し。これをラウールが入れて、ユナイテッドの息の根を止めたのである。4点取らなきゃ勝ち上がれないんだから、さすがの赤い悪魔も諦めるしかなかったことだろう。ベッカムのゴール、スコールズのPKで2点を返したものの、ハイそれまでよ。連覇の野望はここでついえたのであった。マドリー、えらい! もう、これだけで好きになっちゃいそう。今夜、ユナイテッドの負けっぷりをあらためてビデオで堪能するのが楽しみである。ユナイテッド贔屓のみなさん、ご愁傷さまでした。ぐふふ。

 それにしても、これでイングランド勢は全滅。ちょっと前まで「世界最強リーグはプレミアかもしれん」と思っていたんだけど、実はスペインだったってことか? バルサ×マドリーの決勝なんてことも現実味を帯びてきた。えらいこっちゃねぇ。

4月19日(水)12:30 p.m.
 出勤前に、バルセロナ×チェルシー(CL準々決勝第2戦)をビデオ観戦。なんだかいろいろありすぎて、よく覚えていない。よく覚えていないが、すごいゲームだった。やはりバルサは強かった、ということか。
 先制点は……誰だっけ。ああ、リバウドのFKだ。ババヤロの頭にこつんと当たってコースが変わる、ラッキーなゴール。前半終了間際に決まった2点目も、クライファートのシュートがポストに当たってフィーゴの足元に跳ね返るという幸運に恵まれたものだった。ここ数試合というものツキに見放されていたバルサだったが、ここへ来て一気に取り返した感じである。
 それにしても前半で目標(2-0)を達成してしまったのは早すぎるんじゃないか。そう思って見ていたら、後半15分、名手ヘスプに致命的なミスが出た。DFへの緩いパスをフローに奪われて、2-1。バルサを上回るバカヅキぶりを見せたチェルシーが、そのまま逃げ切るかのような気配も(少しは)あった。しかし後半40分、途中出場して決定機を外しまくっていたダニがヘッドで決めて3-1。agg.4-4のイーブンである。
 さらにバルサは、クライファートが倒されてPKをゲット。カタルーニャ人、天国。ところがリバウドの蹴ったボールはゴール左に外れてしまう。カタルーニャ人、地獄。俺も同じ気分をフィオ戦で味わっているだけに、サポーターの心痛はいかばかりかと気の毒になった。倒れたクライファートが執念深くボールをゴールに押し込んでいただけに、主審が流していれば……と呪いたい気分だったことだろう。
 ともあれ、試合は延長に突入。PKを外したとはいえ、こうなると、もう、バルサのものである。延長前半9分、ババヤロがフィーゴ(だったかな)を倒してまたPK(おまけにババヤロは退場)。フィオ戦のミハイロと同様、リバウドは失敗したときと同じコースに決めてみせた。バルサ、逆転。さらにダニのセンタリングをクライファートがヘッドで決め、バルサがagg.6-4でベスト4進出を決めたのであった。なんだか、ただ得点経過を追っているだけだな、これじゃ。
 チェルシーは、前半を1-0で終えられなかったのが痛かった。あと、ポジェの投入(延長後半アタマから)が遅すぎたように思う。前半2-0になったんだから、後半アタマから勝負かけてもよかったんじゃなかろうか。ま、結果論ではある。ぐずぐず言ってもしょうがない。どうであれ、ゴール前で集中力を切らさなかったバルサ守備陣から2点目を取るのは容易じゃなかっただろうし。とにかく、実にドラマチックな120分であった。

 さて、ラツィオである。堪え性のない俺は、WOWOWの放送まで我慢することなど到底できず、結果を見てしまった。ラツィオ×バレンシアの結果を知りたい人、あるいは筆者の気分を知りたい人は、ここをクリックしてみるがよい。

 昨夜は、ベルギー×オランダ(国際親善試合)をビデオ観戦。2-2のドロー。ベルギーを相手にすると、なんだかオランダらしさが出なくてイヤだ。俺の言う「オランダらしさ」というのは、端的にいうと「汗をかいていない感じ」である。汗ひとつかかず、呼吸も乱さず、どえらいプレイをクールにやってみせるのがオランダだと、俺は勝手に思い込んでいるのである。サイボーグとかアンドロイドとかレプリカントとかがサッカーやってる感じ、とでも言えばいいだろうか。なんだそりゃ。ところがベルギー戦だけは、そんな彼らも汗と泥にまみれてしまうのであった。汗臭いオランダなんか、見たくない。ところで、途中から出てきたタランって誰ですか。タランなんて奴、知らん。でも、いい選手じゃないか。クライファートとのコンビが合ってる感じなのがいいぞ。また勝てなかったオランダだが、ベルカンプが加われば大丈夫。だと思う。

似てる人シリーズ#100(ついに大台!)

WOWOWで活躍中の村上龍と作家の林真理子。(妻)

4月18日(火)9:50 a.m.
 Y・Nさんから投稿(No.096)をいただきました。どうもありがとうございます。なんて、いい人なんでしょう(落涙)。こうしてお会いしたこともない方に誕生日を祝ってもらったりすると、インターネットも捨てたもんじゃないと思ったりしますな。それにしてもパンカロとは、嬉しいかぎり。俺も彼のことが好きだ好きだ大好きだ、です。DF陣の中では貢献度ナンバー1でしょう。守備と攻撃のバランス感覚がいいっすよね。総合力と安定感を考えると、ひょっとして現時点では世界最高の左SBなんじゃないかと俺は勝手に思ってます。明日(いや、今夜か?)のバレンシア戦でも、がんばってほしいもんです。では、そちらもテレビ観戦が過ぎてお風邪など召さぬよう、ご自愛くださいませ。

 昨夜は、オビエド×バルセロナ(リーガ第33節)を観戦。ずたぼろのバルサが立ち直りのきっかけをつかむには恰好の対戦相手である。しかし。なんちゅうか、もう、ぜんぜんダメとしか言いようがない。リバウドもダメ。リトマネンはもっとダメ。頼みのフィーゴも、いちいち倒されてピッチに這いつくばるたびに、みるみるモチベーションが下がっていくのが手に取るようにわかる。とにかくメンバー全員、「サッカーがしたい」という気持ちになっていない感じ。リズム感ってもんがまるでない。それ以前に、ボールを蹴るのが下手になっているようにさえ見えた。オビエドのうまい守りにやられたとも言えるんだろうけど、あんだけ突っ立ってサッカーしてりゃ、相手がどこだろうとゴールは奪えないだろうと思ったね。ポストやバーに当たったバルデスのシュートがことごとくゴール正面に跳ね返る(撃ち直されてゴールを割られる)不運もあって、3-0の負け。3試合連続の3-0、4試合連続の3失点である。ここ4試合、12失点、1得点。早い話、ものすごく弱いチームの数字だな、こりゃ。これ以上のドツボがあるだろうか。救いがあるとすれば、ゼンデンとグアルディオラが戻ってきたことか。今夜のチェルシー戦、この2人を起用してシャビとリトマネンを外し、最大のネックである攻撃的MFにはコクーを使ったほうがいいんじゃないかと思うね。ま、俺はチェルシーを応援してるけど。

 そんなわけでデポルティボにとってはバルサに引導を渡すチャンスだったのだが、ラージョ・バジェカーノ×ラ・コルーニャ(リーガ第33節)は2-0でラージョの勝ちであった。めし食いながらでよく見ていなかったんだけど、デポルはプレッシャーでガチガチになっていたようである。せっかく前日にバルサが負けたというのに、おつきあいしてどうする。勝ち点差8と5じゃ、天地ほどの違いだ。おまけに、気が付けばマドリーがバルサと同ポイントの2位に浮上してきやがった。なんか知らんが、帳尻合わせてくるチームだなぁ。

4月17日(月)17:00 p.m.
 午前中、インテル×ユベントス(セリエA第30節)をビデオ観戦。インテルの奮闘にすべてを託す気分である。最近ふがいないインテルのことだから、勝てとは言わん。せめて引き分けてくれ。スタメンを見ると、ラッキーなことにジダンの名前がない。出場停止らしい。やった。ジダンのいないユーベなんて怖かねーや……と思ったら、そのお陰(?)でスタメン出場したコバチェビッチが大活躍であった。55分、インザーギのポストプレイからボールを受けて、先制ゴール。さらに77分にも後方からのクロスをヘッドでゲット。嗚呼。神も仏もあるものか。83分にセードルフのシュートが決まって「まだいける」と盛り上がったものの、いまのインテルには、そこまでの迫力も勇気も元気も自信もありはしなかった。誰も「追いつける」と思ってプレイしていない感じである。1-2でユーベの勝ち。残り4試合でラツィオとは5ポイント差。溜め息ばかり出る。ラツィオが全勝するとしても、ユーベが5つもポイントを落とすなんてことがあるだろうか。フィオ戦とパルマ戦がドローだとしても、まだ1ポイント差だ。ベローナかペルージャのどっちかが引き分けに持ち込んでくれれば……。ま、そんな皮算用をしたところで、ラツィオが1つ引き分けた時点で終わりである。……え? もう終わってるんですか? そんなこと言うなよ。頼むから。

 そんなわけで、今日が36歳の誕生日だというのに、気分は最低である。仕事のほうも、いまだかつてない難しい企画と格闘しており、いささか自信喪失気味。明るいニュースといえば、セガレが自転車(補助輪つき)に乗れるようになったことと、ちょっと重荷になっていた雑誌の連載記事が終わったことぐらいか。書籍の仕事が中心なので、その合間に雑誌の原稿を書くのはペースが乱れて意外にしんどいのである。しかし、なんてネガティブな「明るい」ニュースなんだろう。仕事(収入)が減ってホッとするなんて。やれやれ。30代後半戦のスタートは、なんだか憂いに満ちているのであった。

4月16日(日)
 リーズ×アーセナル(プレミア第33節)をライブ観戦。UEFAカップも含めて5連敗中と泥沼のリーズは、いかにも泥沼としか言いようのない感じだった。ムードを変えられるようなメンタルの強さ or 経験を持った選手が見当たらない。やはり若さだけで長いシーズンは乗り切れないということか。ただでさえ勝てそうにない上に、イアン・ハートがベルカンプの尻を蹴飛ばして一発レッド。ダメだよ、こういうときにそういうことしちゃ。アンリ、キーオン、カヌ、オフェルマルスに面白いように決められて、0-4の大敗であった。これでリーズは4位まで後退。アーセナルのほうは、ゴールこそなかったもののベルカンプが好調のご様子である。あんなに軽やかな動きができる選手だとは思っていなかった。ひょっとするとEURO2000は「ベルカンプの大会」になるかもしれんぞ。ならんか。

4月15日(土)
 地獄(バティ先制弾)→ 天国(ネドベド同点弾)→ 天国(ボクシッチ勝ち越し弾)→ 地獄(キエーザ同点弾)→ 天国かと思ったら地獄(ミハイロPK失敗)→ 天国(ミハイロ勝ち越しPK成功)→ 地獄(バティ同点FK)。……というわけで、ひじょーにメンタルヘルスを害するフィオレンティーナ×ラツィオ(セリエA第30節)であった。活発な攻め合いの末に、3-3のドロー。戦艦フィオが誇る脅威の3トップにしてやられた。あの3トップが「脅威」に見えたのは初めてだった。
 最初の地獄は、キエーザのクロスから。ネグロがバティをつかみきれなかった。ネグロめ。せめてジャンプぐらいしてみろよ。最初の天国は、走り込んでくるネドベドを信じ切ったサラスのスルーが見事だった。2度目の天国は、ミハイロのFKをボクシッチがヘッドでゴン。2度目の地獄は、ミヤトビッチの長距離クロスにキエーザが間に合いやがった。3度目の地獄は、トルドのセーブに絶句した。そして3度目の天国、ミハイロビッチが2度目のPKを、失敗したときと同じコースに決めたときは、神を信じる気にもなった。茶の間にパッと花が咲いたような雰囲気だった。セガレも「やったー、やったー」と踊っていた。でも、ロスタイムに悪魔が隠れていた。右45度から放たれたバティのFKは、バロッタの指先をかすめもせずにゴールへ飛び込んだ。声が出なかった。

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