■最新刊



闇の中の翼たち
ブラインドサッカー日本代表の苦闘
 (岡田仁志/幻冬舎/1500円+税)






10月の日誌

扉(目次)

深川全仕事

大量点計画

江戸川時代

メ ー ル

平成二十一年十一月三十日(月) 82.6 kg


右往左往
BGM : Eat Me in St. Louis / It Bites


 ブラインドサッカーや素粒子物理学や仕事場の大掃除にかまけて、すっかり忘れていた(わけではないが脇に追いやっていた)ことがひとつある。リコーダーの練習である。じつに恐るべきことに、来週金曜日がイエロー・バロック・オーケストラの本番なのだ。とある忘年会の余興として、何曲か演奏するのだった。あはは。笑ってる場合ではない。昨日はその練習で13時に千駄木。忙しい業界人ばかりとはいえ、9人のメンバー全員が揃った練習はこれが初めて(本番前はこれが最後)というのだから、けっこう図々しい楽団だ。しかも私は、難曲がまだ完成していないというのに、所用あって早退した。一体どうするつもりなのだ。

 千駄木から重い楽器を抱えて18時すぎにいったん帰宅し、セガレを車に乗せてまた八王子のクーバーフットボールパークへ。愚妻が大学時代の恩師を偲ぶ会に出かけているので2人でメシを食わねばならず、「めざましテレビ」のスタッフに頼まれた届け物もあったので、ブラインドサッカー日本代表に合流し、練習後にみんなと一緒に焼き肉でも食おうというわけである。あのコートの隣には「かるび屋」があり、いつも取材中に肉の焼ける匂いを嗅がされているので、たまには食わないと気持ちがおさまらないのだ。さいわい道が空いていたので19時すぎに到着。20時まで、セガレと一緒にヒトカベを担当した。

 代表選手たちはみんな動きが軽やかで、攻撃の連携もさらに磨きがかかっていた。あのプレイを本番でいつもどおりにやれれば、結果は必ずついてくるだろう。ヨソ行きの精神状態にならず、「普段着」で練習どおりにやることだけを考え、試合中は「過去」のミスや「未来」の結果を気にせず(つまり後悔や不安にとらわれず)「現在=今この瞬間にやるべきこと」に集中する。それが実力を発揮するコツだと、メンタルトレーニングの専門家に聞いたことがある。ただし私のリコーダーに関しては、そもそも実力が圧倒的に足りないので、まずはちゃんと練習することが大事。

 練習終了後は、選手、サポーター、取材陣など十数名でかるび屋。石焼きビビンバ定食などをむしゃむしゃ食う。これで韓国には勝てるはず。本番前に中華料理も食っておくべきかもしれない。22時まで会食し、23時に帰宅。朝から晩まで東京中を駆けずり回った一日。目が回る。このところ週末がやたら慌ただしく、月曜日は放心状態。





平成二十一年十一月二十八日(土) 82.4 kg


めざまし
BGM : Television / Dr. John



 昼間は八王子のグラウンド、夕刻は自分の仕事場で、『めざましテレビ』(フジテレビ系)の取材を受けた一日。もちろんテーマはブラインドサッカー。そもそも喋るのは苦手な上に、きのう必死で仕事場の大掃除をしたこともあって、クタクタ。「ヒト調」という10分程度のコーナーで、オンエアは来週金曜日12月4日(たぶん7時台)の予定だが、ひょっとすると次週11日になる可能性もあるとのこと。協力してくださった関係者のみなさん、どうもありがとうございました。






平成二十一年十一月二十六日(木) 82.4 kg


細かいことが気になるタチ
BGM : Octopus / Gentle Giant


 昨日ようやく素粒子方面にアタマが切り替わった話をしたばかりだが、今日はまたブラインドサッカーの話。毎日新聞の記事に誤解を招く表現(というか、たぶん記者自身の誤解)があり、まあ、そんなにムキになって騒ぐほどの問題ではないのだが、どうもこういうのは放っておけない(放っておかないのは私ぐらいしかいない)ので、いちおう書いておく。

 まず、〈ブラインドサッカーは障害の重さに応じて「B1」(全盲クラス)「B2/3」(弱視クラス)に分かれ、04年アテネ・パラリンピックで正式種目に採用された。アジア選手権では「B1」が行われ〉るとあるが、パラ種目になっているのはB1だけである。また、アジア選手権では〈優勝チームが来年8月の世界選手権(ロンドン近郊)の出場権を獲得する〉とあるが、今のところ2位まで出場権が与えられる予定。世界選手権の出場国数が未定のためアジア枠も流動的だが、最低でも「2」は確実である。さらにものすごく細かいことを言うなら、出場権を獲得するのは「チーム」ではなく「国」だろう。アジア選手権を戦った「チーム」に権利が与えられるなら、世界選手権では選手の入れ替えができないという理屈にもなる。ほんとうに細かい話をしてしまった。

 ともあれ、後者は単純な事実誤認だが(とはいえ「スポーツの大会」に対する記者の関心が低すぎるがゆえの手落ちだと思うが)、前者のような問題を短い記事の中できちんと説明するのは難しい。〈アジア選手権で実施される「B1」は、04年アテネ大会からパラリンピック種目にもなっている〉とでも書けば済む話ではあるものの、この行数でB2/3の存在にまで言及するのは、私なら避ける。実際、きのう書いた原稿ではそこをあえてネグった。そもそも、JBFAは「ブラインドサッカー」にB1とB2/3の2クラスがあると説明しているが、私はこれ、やや無理があると思っている。弱視は「ブラインド」ではなく「ロービジョン」だし、陸上や水泳や自転車や柔道など他の視覚障害者競技のクラス分けと違って、サッカーはルールに差がありすぎるからだ。JBFAサイトのタイトルは「ボイ!ブラインドサッカー」だが、B2/3は(基本的にフットサルと同じなので)「ボイ」とは言わない。そんなことも含めて考えると、B1のルールを「ブラインドサッカー」と呼んだほうが、世間的にはわかりやすいと思うのである。「視覚障害者サッカー」に、B1の「ブラインドサッカー」とB2/3の「ロービジョンサッカー(仮称)」の2種類がある、ということにしたいなあと私は思うのだが、どうだろうか。そうしたほうが、視覚障害に対する世間の理解も深まるような気がする。まずはB2/3のプレイヤーたちに、自分が「ブラインドサッカー選手」だという意識があるかどうかを訊いてみたいです。





平成二十一年十一月二十五日(水) 82.4 kg


がんばれIPMU
BGM : Fire / Ohio Players



 連休明けの昨日も、引き続きブラインドサッカーがらみの仕事。某サイトに掲載してもらうアジア選手権関係の原稿を書いた。そんなこんなで、なかなかアタマが素粒子物理学方面に切り替わらなくて困る。しかし今日、その取材でお世話になった東大数物連携宇宙研究機構(IPMU)の窮状を訴えるメールが担当編集者経由で転送され、一気に(というほどではないが)素粒子モードに。あんのじょう、仕分け人どもが、IPMUを含む世界トップレベル研究拠点プログラムの大幅な予算縮減を提言したのである。私はブラインドサッカーのファンであると同時に素粒子物理学のファンでもあるので、こちらも応援せねばならぬ。あっちもこっちも忙しい。

 IPMUは、宇宙の起源や進化などの謎に取り組むべく、日本政府の援助を受けて2年前に誕生した。欧米やアジア各国からも優秀な頭脳が集まり、最先端の宇宙研究に励んでいる。たとえば、暗黒物質や暗黒エネルギーの正体を解明するのも、彼らの主要テーマだ。それが何なのかはこれから仕事で書くのでここに書くのは面倒臭いのだが、太陽系が銀河系から吹っ飛んでいかないのは暗黒物質のおかげだし、宇宙の膨張が(驚くべきことに)加速しているのは暗黒エネルギーのせいである。でも、それが何だかわからない。わからないから暗黒。だから応援しているというわけではないが、こっちも「闇の中」なのだ。

 なに言ってんのかわからんと思うけれども、とにかくその謎が解けんことには、どうしようもないのである。何がどうしようもないって、えーと、ものすご〜く話をショートカットしてざ〜っくり言うと、銀河系や太陽系や石や空気や水やゾウリムシやオレたち等の「物質」が、なんでここにこうして存在してんのかがわからんのだよ。で、その「物質」はみんな素粒子で出来てるから、そこで宇宙と素粒子がつながるんだよ。素粒子研究は宇宙(つまりオレたち)の起源を解明する営みなんだよ。やっぱ解明したいじゃないか、そういったことっていうのは。「儲かって面白いこと」はディズニーランドとかがやるだろうけど、「儲からないけど面白いこと」はみんなでカネ出し合ってやりましょうよ。いろいろシンドイのはわかってるけどさ。

 というわけで、すでにノーベル賞カルテット(+1)が事業仕分けを批判する緊急声明を出しているようなので、いまさら私ごときが何か言うこともないわけだが、文部科学省が行政刷新会議のやり方について広く国民の意見を求めているということなので、件名〈No14.「競争的資金(外国人研究者招へい)」WPI〉で何らかの応援メッセージを送っておくことにしよう。結果的に文科省を擁護することになるのも何か気持ち悪いが、敵の敵は味方なのでしょうがない。ところで、障害者スポーツ関係の予算はどうなっているんだろうか。そもそも仕分けられるほどカネ使ってないから心配するな、と言われるかもしれんが、それはそれで余計に心配。





平成二十一年十一月二十四日(火) 83.0 kg


やたら喋った連休
BGM : Mekanik Destruktiw Kommandoh / Magma



 連休は全面的にブラインドサッカー漬け。土曜日は昼から夕刻まで八王子。代表が練習する隣のコートでJBFA主催のチャリティ・フットサル大会が行われており、私は関係ないはずだったのだが、選手が足りないからと井口さんに駆り出され、2試合(10分1本×2)でGKをやらされた。計4失点。ゴール数が多いほど盲学校に寄贈するボールが増えるそうなので、貢献度大である。またうっかり徳を積んでしまった。いい気になってつい思い切りゴールスローを投げ、肩を痛める。

 日曜日は8時半から17時まで同じく八王子。さいわい雨は大したことがなかったが、極寒の1日。ピッチ脇でガタガタ震えながら、「ヨミウリ・ジュニア・プレス」なる媒体の取材を受ける。小中学生の記者が取材して記事を書くらしい。中学生男子の記者に、いきなり「まずブラインドサッカーの感想をお願いします」と言われて絶句した。感想かー。それは、どっちかというと、こっちが聞きたいこと。まず取材する側が自分の印象や感想を提示すると、「いいところに気がつきましたね」とか何とかいうことになって、あんがい話が弾むものです。ともあれベラベラと聞かれてないことまで喋ったような気がするが、相手は録音機なしの手書きメモ態勢だったので、ちょっと気の毒だった。ところでジュニア記者にもらった名刺を見ると、所属は東京大学付属中学やら学芸大学付属小学校やら。マスコミって、ここからすでに高学歴なんですね。

 月曜日は9時すぎに味スタ脇のミズノフットサルプラザ調布へ。代表と関東選抜の壮行試合。3-0で代表の勝ち。ゴールはどれも見事なものだったし、それより何より攻撃時の連動がすばらしく、見ていて楽しいゲームだった。日本代表、いい感じに仕上がってますぜ。うちの代表にはファンタジーがあるよファンタジーが。あとは心身両面のコンディショニングをしっかりやっていただきたいものである。暮れの忙しい時期に仕事を休まなければならないので開幕まで大変だとは思いますが、考えてみると私も大会期間中は海外出張と変わらない状態になると思われるので、それまでに仕事を片付けねばイカンです。でも、きっと片付かない。

 試合後は隣接の屋内コートに移動し、アジア選手権の記者発表会&インフィニティによる壮行会。事務局から「出場国がどんなチームかおまえが解説しろ。本のPRもさせてやるから」と(いう意味のことをもう少し丁寧な口調で)頼まれ、冷や汗をかきながら役目を果たす。思っていたより話が長くなってしまい、途中でアクビをする取材陣の表情なども見え、穴があったら入って蓋を閉めてから膝を抱えて泣きたかった。あーあ。結婚式のスピーチもそうだけど、人前で喋った後って必ずそこはかとない自己嫌悪に襲われる。やっぱりオレは喋るのが苦手だと再認識――したにもかかわらず、記者発表後にはNHKラジオの人に話を聞かれ、さらにブエノスアイレスや仁川や北京でも一緒だった取材仲間のビデオカメラマン北岡さんに「JCOM所沢でアジア選手権関連の番組を作るからインタビューさせろ。本も宣伝してやるから」と(いう意味のことをもっと丁寧に)言われてまた喋る。終わった瞬間、なぜか背中にピキッとイヤな痛みが走った。たぶん、ヘンなところに力が入ってたんだと思う。そんなこんなで、ヘトヘト。





平成二十一年十一月二十日(金) 83.0 kg


出さない機械と出しすぎる機械
BGM : In a Glass House / Gentle Giant



■左手の薬指が痛い。どうやら一昨日から昨日の朝までの徹夜作業中、怒濤の勢いでキーボードを叩くうちに挫いたらしい。指を挫く人生。

■Macに入れたCD-Rがどうやっても出てこなくなって慌てた。調べてみると、「マウスを押し続けて再起動すると出てくる」とのことなので、カチカチカチカチと手首が痛くなるほど押し続けて再起動したが、やはり出てこない。でも、これは私の勘違い。「押し続ける」は「クリックをくり返す」ではなく「押しっぱなしにする」という意味。押したまま再起動したら見事に出てきたので感動した。よくできているのかよくできていないのかはよくわからんが。

■安心したのも束の間、こんどはプリンターが大暴走。全部で23枚の資料をプリントアウトしていたら、18枚目からは白紙を吐き出しやがる。しかも、延々とだ。電源を切るまでガシャーガシャーと何十枚も白紙を吐くし。やり直したら大丈夫だったが、とても怖かった。原因不明なので、いつまた異常行動を起こすかわからず不安。

■明日から八王子(3日目は飛田給)でブラインドサッカー日本代表の合宿。本番まであと3週間あまり。最後の仕上げである。怪我人なしに、緊張感と覇気の漲る良い練習ができますように。

■ジェントル・ジャイアントの音楽は、聴いているとどういうわけか無性に紅茶が飲みたくなる、わりかし珍しいタイプのロック・ミュージック。





平成二十一年十一月十九日(木) 83.0 kg


狂言から素粒子へ
BGM : 1001° Centigrades / Magma



 執筆開始時に「ま、10月中には上がるんじゃないスか?」と担当編集者の前で豪語していた狂言本の原稿を、今朝、書き上げた。長い10月だったよまったく。と、私が溜息をついてどうするというのか。いい加減にしないと先生は怒りますよ本当に。というわけで、次はいよいよ素粒子物理学本の執筆である。物理学ファンとして、野暮な仕分け人の所業を苦々しく眺めていたここ数日だった。今こそこの本を通じて科学の壮大な夢とロマンを思い知らせてやるんだぞコノ野郎、とマナジリを決しているのだが本当に書けるのだろうか私に。さて、やはり関係ないが、フランク・ザッパの音楽からユーモアを引いて妖気を足すとマグマの音楽になるような気がしてならない。






平成二十一年十一月十八日(水) 82.6 kg


記者発表会の宣伝
BGM : Sheik Yerbouti / Frank Zappa


 第3回ブラインドサッカーアジア選手権大会(12月16日〜20日)の対戦日程などに関する記者発表会、日本代表壮行試合および壮行会が、11月23日に行われるので、私が呼びかけるのもいささか妙な感じではあるが、メディア関係者は是非ご参集をお願いしたい。恥ずかしながら、私も何やら喋らされることになっている。詳しくはこちらからニュースリリースをゲットしてください。また、大会ボランティア募集は明後日20日が締切なので希望者は忘れずにお願いね。下に埋め込んだのは、その記者発表会のニュースリリースで紹介されている映像である。「闇翼」で書いたゴールシーンも多々あるので、読んでから見ると面白いはず。本当は読まずに見ても面白いが、見たら読んでくれよ。頼むよ。関係ないがザッパの「シーク・ヤブーティ」は大傑作ですね。







平成二十一年十一月十六日(月) 83.0 kg


契約書で汚れるもの
BGM : The Way It Really Is / Lisa Loeb


 4年前に編集に協力した単行本が、今年8月に文庫化されていた。二次出版の際の私への支払いに関しては「別途協議する」という覚書を交わしていたのに版元から何の連絡もなく、したがって印税が支払われる様子もないので「これはいかなる事情によるものか」と担当編集者に問い合わせたところ、著者が「ライターには払わなくてよろしい」と言ったので協議をスルーしてしまいました本当に申し訳ない、とのこと。諸事情あって今から印税にはできないが別の形で支払うとのことで、善後策にはたいへん誠意を感じたし、著者も詫びているというので矛を収めた。

 しかし、当然の権利を主張しただけなのに、なんかこう、気分がよろしくない。相手が不愉快なのではなく、自分が見苦しい姿を見せたというか、自分自身を尊敬できないというか、そんな感じ。生き馬の目を抜くグロオバルスタンダアドな世界で生きているビジネスマン諸氏には「甘い」「古い」「そしてバカ」と嗤われるに決まっているが、「契約書にこう書いてあるじゃないか!」的な言動には、どうも馴染めない。だからといって黙って見過ごすことはできないものの、そのたびにちょとずつ自分が腐るように感じる私って、なんて純情なんでしょう。契約書も交わしてないのに、要求しなくてもちゃんと文庫の印税を払ってくれる人たちが、私は好きだ。

 べつに、「時代遅れの男」を気取っているわけではない。契約書にしたがって発生するだけの報酬や、交渉の末にようやく支払われる報酬は、仕事に対する真の評価とは別物だと思うのである。著者が当初「必要ない」と判断したその対価は、私にとってただのカネでしかない。ただのカネはたいへん有り難いものだから疎かにするつもりはないけれど、「カネに色はついていない」というのは、たぶんウソである。関係ないがリサ・ローブの歌はすべてかわいい。





平成二十一年十一月十三日(金) 83.4 kg


どうだキミもやってみないか
BGM : Dark to Themselves / Cecil Taylor Unit



 自衛隊員募集じゃありません。JBFAサイトのこのページによると、第3回ブラインドサッカーアジア選手権大会(12月16日〜20日)のスタッフとなるボラティアの希望者が不足しているのである。この大会は、代表チームがライバル国を倒すのはもちろん、2年前に仁川で開催された第2回大会よりも運営面で何倍も高品質なイベントにしなければイカン(と私は勝手に思っている)ので、人手が足りないのは困る(仁川の大会がいかにヒドかったかは「闇翼」の第七章を参照せよ)。なので、ぜひブラウザーの前のあなたも手を挙げて、日本人らしい「おもてなしの心」に満ちた大会を作ってください。協会の関係者は心やさしくてフレンドリーで冗談の通じる人ばっかりなので、ご安心を。ほんと、楽しくて充実した時間を過ごせると思うんだけどね。全期間を通じて都合をつけるのは難しいかもしれないが、1日だけの参加もオーケーとのこと。ひょっとして会場の物販コーナーに配置されれば、「闇翼」を売るという得難い体験(?)ができるかもしれないぞ。

 セシル・テイラーうるさい。





平成二十一年十一月十二日(木) 83.4 kg やれやれ。


5ヵ国に決定
BGM : Farat / Anna Maria Jopek



 第3回ブラインドサッカーアジア選手権大会(12月16日〜20日)の出場国がようやく発表された。中国、韓国、イラン、マレーシア、日本の5ヵ国。リーグ戦はおそらく総当たりになると思われる。組み合わせが面倒なので偶数が望ましかったものの、2005年の第1回大会は3、2007年の第2回は4、今回は5と、順調に1ヵ国ずつ増えているのは良いこと。当初はベトナム、タイ、シンガポールの名も挙がっていたが、まあ、いろいろ難しいのである。初参加となるマレーシアのことはさっぱりわからないので私に訊かないでください、と、あらかじめ申し上げておく。何かご存じの方は、逆に情報をくださいませ。

 きのう「だって財布も持ってなかったんでしょ?」と書いたが、どうやら彼は1万数千円を所持して逃亡を開始したらしい。伝聞なのでわからんけど、だとしたら靴ぐらい買えるわな。いや、でも、「裸足で靴屋に行く」は怪しすぎて避けるか。靴屋の店員に裸足の理由を誤魔化して言い訳するのはかなり難しいと思うが、どうなんだろう。そのあたりの心理は、逃亡してみないとわからない。やはり千葉県警にはちゃんと確認してほしい。 





平成二十一年十一月十一日(水) 82.8 kg


衣>食>住
BGM : Tren / Diego Schissi Double Cuarteto



 どうせなら大阪の海にダイブして悪あがきしてほしかった逃亡犯だが、今いちばん知りたいのは犯行動機でも何でもなく、「靴をどうしたのか」だ。逃亡開始から何分後に、どこでどうやって、「裸足」というきわめて怪しい状態から脱却したのか。千葉県警には是非そこから取り調べを始めて、速攻でマスコミにリークしてほしいと思う。2年7ヶ月前の逃亡初日に靴が手に入っていなければ、その時点で観念したかもしれない。だって財布も持ってなかったんでしょ? しかし彼は靴を入手したのを皮切りに、まるでわらしべ長者のごとく、整形手術代を支払えるまでになった。人間、とりあえず靴さえあれば何とかなるという教訓。なるほど「衣食住」という言葉は、文明社会における優先順位を正しく表現しているのだった。

 聴いているのは、アルゼンチンのピアニスト(ディエゴ・シッシと読むのだろうか)率いるダブルカルテットの作品。どういう素性の人なのかは、まるで知らない。ピアノ、ベース、ギター、ドラム+弦楽四重奏というのが「ダブルカルテット」の意味。たぶんタンゴが根底にあるのだろうとは思うが、ジャンル分け不能の、おそらくはここにしかない種類の音楽。ああ、すばらしいよディエゴ。近頃のアルゼンチンは、サッカーより音楽のほうが魅力的かも。





平成二十一年十一月九日(月) 82.6 kg


GKやりました
BGM : Kobaia / Magma



 ひどい筋肉痛に苦しんでいるのは、セガレの所属する久我山イレブンFCの親子会に参加し、選手の父親同士が対戦するゲームに出場したせいである。私が年に一度だけ、サッカーをプレイする日だ。セガレに刺激されて、今年はGKとして15分ハーフの試合にフル出場した。シューズに加え、二日前にはキーパーグローブも購入。さすがにキーグロ持ってりゃ、GK志願を却下されないだろうと思ったのである。敵チームのGK陣は、前半は素手、後半は軍手だった。それがふつうの大人というものです。

 しかしキーグロをはめていると、ボールを怖がらずに思い切ってイケるものだ。試合前、OBの中学生に練習相手になってもらい、強いシュートをバシバシ受けてみて、ちょっと自信がついた。だが試合では開始早々、つい思い切ってイキすぎて、エリア外でハンド。敵FWと1対1になったのでガンガン前に出ていった挙げ句、シュートを手で止めてしまったのだった。本来なら一発レッドのプレイである。猛烈に反省した。ごめんなさい。退場を命じなかった審判に感謝します。

 ゴールキックは、ブラインドサッカー日本代表のGK陣に教わった甲斐あって、最初の2本か3本はけっこう飛んだ。でも、ゴール裏に球拾いのボールボーイがいないのは辛い。ラインを割ったボールを取りに何度かえっちらおっちら走ったら、あっという間に脚が終わりました。蹴り足の親指も速攻で痛めてしまい、終盤のキックがへなちょこになったのは無念である。

 ともあれ、その後も3度ほどあった1対1の場面も体を張ってことごとく防ぎ、3対0の勝利に貢献(したと思う)。気づいていない観戦者もいたと思うが、終了間際にヒロト君のお父さんが放った強烈なシュートが惜しくもポストを叩いたのは、私が懸命に伸ばした指先がわずかにボールに触れてコースを変えたからである。私ではなく、ヒロト君のお父さんの名誉のために言っておいた。シュートは正確に枠をとらえていたのだ。「失点したら1週間ビール禁止」をセガレと約束していたのでヨカッタ。

 閉会式では、優秀選手賞を受賞。GKは面白いよ。生まれ変わったらGKになってもいい。ならなくてもいいけど、「自ら地面に体を投げ出してゴロゴロ転がる」って45歳の日常には無いことなので楽しかった。膝上の内股のあたりという妙なところが筋肉痛になっているのは、ずっと低い姿勢で構えていたせいだろうか。痛くてしゃがめないぞ。それにしても、6年生のセガレは来春で卒団なので、これで親子会も終わりかと思うと寂しい。セガレのおかげで、自分の小学生時代よりも楽しい6年間を過ごしているような気がする。





平成二十一年十一月五日(木) 82.4 kg


南米事情
BGM : Ten Sonatas in Four Parts / Henry Purcell



 ひさしぶりにIBSA(国際視覚障害者スポーツ連盟)のサイトを覗いた。どうやら南米で4ヵ国(5チーム)参加のブラインドサッカー大会が行われたらしい。パラグアイが優勝したのだが、驚いたのはアルゼンチンがA代表に加えて「U-21」のチームを出したこと。しかもボリビアとウルグアイを抑えて、A代表に次ぐ3位の成績。得点王もひとりはU-21の選手だ(ちなみに得点ランキングに入っているパラグアイのPereyraとVillamayorは「闇翼」にも登場しましたね)。な〜んて層が厚いんでしょうかアルゼンチンは。若年の視覚障害者が日本よりも多いという事情があるとはいえ、日本で21歳以下の代表チームって、ちょっと考えられないよな。得点ランキングにはヴェロやルカ・ロドリゲスの名前もないので、A代表のほうも若返りが進んでいるのかもしれぬ。うーむ。

 ちなみにFADEC(アルゼンチン視覚障害者スポーツ連盟)のサイトによると、世界選手権予選を兼ねたアメリカ選手権(コパ・アメリカ2009)はブエノスアイレスで今月26日開幕。こちらも気になる。またあのコンクリートのローラースケート場でやるのかな。懐かしい。大会シンボルマークの目隠しコウモリ、個人的には「闇翼くん」と名付けてみたいです。そういえばアルゼンチンB1代表の愛称は「BATS」だと聞いたことがある。

 ところで、amazon.co.jpで「闇翼」のページを見ると、「よく一緒に購入されている商品」が面白いことになっている。なにしろ『働く女性が35歳の壁を乗り越えるためのヒント』だ。ものすごい組み合わせだが、実はこの本、著者が私と出身高校がいっしょ。先輩か後輩かは書くと怒られるので書かないが、同じ吹奏楽部に所属していた。先日そのOB会のメーリングリストで二冊同時に紹介され、それを見た関係者がまとめて注文した結果、こんなことになった次第である。といったわけなので、そういうヒントがほしい働く女性はこちらもよろしく。まあ、働かない男性が買ってもとくに問題はないとは思うが。いや、むしろ働かない男こそが読むべき本だったりしてな。知りませんけど。「闇翼」のほうは、ようやくカスタマーレビューが2件になって嬉しい。





平成二十一年十一月四日(水) 82.2 kg


だから断る前に切るなよ
BGM : Live / Magma



 プルルル、プルルル。
 私「はい、岡田です」
 女「○○の××と申しますが、ご主人様ですか?」
 私「さあ、どうでしょう。ここには私しかいませんが」
 女「失礼いたしました」
 私「で、何のご用ですか」
 女「あの、◇×△※■@%#$◎▼¥!(早口で聞き取り不能)なんですが」
 私「はあ?」
 女「えーと、資源開発の会社で投資のご案内だったんですが失礼します」
 ガチャ。

 聞き返しただけじゃんか。諦めが早すぎるだろそれ。
 どうも近頃の電話セールスはガッツがなくていけない。
 もっと苛めてやりたいのに。欲求不満じゃ。






平成二十一年十月三十日(金) 82.8 kg


これが「草食系」の実態なのか?
BGM : Secret / Anna Maria Jopek



 プルルル、プルルル。
 私「はい、もしもし」
 男「あ、岡田様のお宅ですか?」
 私「どちら様ですか」
 男「あの、○○証券の新人で、××と申します」
 私「それで?」
 男「あ、いや、すいません。失礼します」
 私「おいおい、ちょっと待ちなさ……」
 ガチャ。

 なんなんだ一体。せっかく話を促してやってんのに。私の応対はそんなに不機嫌そうなのか? 用件ぐらい言えよな。こんなに気の弱い奴が証券会社に勤めてて、この国の経済は大丈夫なの?