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A邸(改修)
第一次オイルショックによる不況が切っ掛けで独立してから30年を経た。
実質的に僕の初のクライアントになってくださったA先生は、僕の高校時代の親友の父親で、中国語研究の権威であった。子息のTは現在Y大学工学部教授から短期大学の校長になった、コンピューターソフトの先端技術の研究者だが、穏やかな口調や風貌はA先生にそっくりで、会うたびに親子の不思議さを感じさせられる。A先生のご夫人はお元気で、時折メンテ相談の電話を下さる。
さすがに30年経ち、外壁の一部が傷み改修を行うことになったが、コンクリート打ち放しの風合いを残したいと考え、大学の後輩、坂倉建築研究所OBの建築家Sさんに紹介してもらった専門技術会社と打ち合わせをしながら改修を行った。丹下さんの広島平和記念館の補修が多少人工的になってしまったのと同じような様相になったものの、まあまあの結果を得た。こういう相談に乗ってくれる友人のいることも嬉しいことだ。
この住宅の一階の和室の部分は、洗面所などは数年前に改修したものの、当時ぞっこんになっていた白井晟一の呉羽の舎の一部を写したことを思い出した。茶室に写しという手法があり、容認されるなどと勝手に理屈をつけて!それはともかく高齢になった夫人のために手すりをつけたり、玄関の天井を張替えしたりした。
   
 
    竣工当時                

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