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お母さんのための

日経新聞入門講座

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VOL008-株主資本  98/JUN/17 朝刊17面「時価会計導入持ち合い解消促す」

1面にもかなり大きく出ていましたね。1面ときょうのことばを合わせて読んでもらえると、導入される時価会計については、おおよそのことはわかるだろうと思います(わからなかったら、質問して下さいね。もちろん、お母さん以外の方も歓迎します)。

そこで、ここでは、持ち合い株の時価評価による時価と簿価の差額を貸借対照表に計上することにより、株主資本が大きく膨らみROEの低下に結びつく、という記事のくだりについて解説してみようと思います。

ROEとは日本語では株主資本利益率、英語では、Return On Equityです。当期の利益を株主資本でわり算したパーセンテージです。株主が出資した金額に対してどのくらいの利益があるか、という指標で、株主の支払った資本がどの程度有効に使われているかどうかを示す指標として、株式投資にかかる意志決定の際、最近特に注目されているものです。

株主資本とは、貸借対照表上の資本(これは総称です)を指します。その資本に何が含まれるかというと、株主が拠出した元本である資本と、その果実である留保利益の2つです。つまり、株式会社の持ち主である株主がその会社へ払い込んだお金(資本)と、それを運用することによって獲得した利益(当期の分と、前期以前から積み立てられているものを含みます)です。

さて、持ち合い株の評価差額(時価と簿価の差額。また、簿価とはその株を購入したときの取得価額ですね。わからないときはVOL004-含み益を参照して下さい。)を資本に計上すると、持ち合い株の評価差額がプラス(つまり時価>簿価)である場合、資本の額がその分だけ増えます(多くの企業ではマイナスになることはないと思われます)よね。

そうすると、当期の利益を資本の合計額で割った場合、持ち合い株の評価差額を計上する場合としない場合では、評価差額を計上した方が分母が大きくなりますから、当然、ROEは小さくなりますよね。

それ故、この記事では、ROEの低下が株価下落に繋がるだろうと推察し、持ち合い株の非効率性が鮮明になる(つまり、持ち合い株を所有していることによりROEが下がり、投資家から嫌われてしまい株価が低迷する一方、持ち合い株を所有していることからは直接的な利益の発生は期待できない。とすれば、持ち合い株を持っていない方が、経営上有利だということになりますよね)と結論づけている訳です。

 

注意:今回もかなり端折っています。専門的には正確な表現ではない部分があります。あくまでも、会計や簿記の知識をほとんど持っておられない方を対象として日経新聞の記事をわかりやすく説明することだけを目的としております。この点ご理解をいただきますようお願いいたします。また無断で他への転用はご遠慮下さいますよう重ねてお願いいたします。何かお気づきの点がありましたら、メールにてご教授下さいませ。

 

日本経済新聞社 http://www.nikkei.co.jp/

 

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