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お母さんのための

日経新聞入門講座

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VOL023-損益分岐点2  番外編6

前々回の記事にもう一度戻りましょう。記事の記載は「価格と生産数量の両面から企業収益が圧迫される。」というものでしたね。わかりやすくするために、前回と前々回は生産数量を販売数量と読み替えて考えました。しかし、実は読み替えてしまうと、記事が本来書きたかったこととは少し意味が変わってしまっていたのです。

そこで、今回はこの記事の本当の意味するところを考えてみましょう。

パソコンを作る工場があったとしましょう。変動費は1個あたり100円、固定費は1ヶ月に1,000円かかります。

さてある月、この工場では100個作りました。この1ヶ月の総費用は、100円×100個+1,000円ですから、11,000円ですね。1個あたりの費用は110円となります。

次の月は、50個しか作りませんでした。総費用が100円×50個+1,000円ですから、6,000円。1個当たりの費用は120円となります。

おわかりですね、1個当たりの費用が10円変わっています。変動費は1個あたり単価の変化は無いわけですから、固定費のなせるワザということになります。つまり、こういうことです。固定費は生産数量とは関係なく発生するので、たくさん作れば1個当たりの費用が安くなりますし、作る数量が少なければ1個当たりの費用は高くなります。

では記事の「価格と生産数量の両面から企業収益が圧迫される」という意味を考えてみましょう。価格というのは販売単価です。つまり、モノが溢れた状況で販売単価が下がっているし、生産数量が落ち込んでいるから1個当たりの費用が高くなっているので、1個当たりの利益(販売単価−1個当たりの費用)が下がり、それが全体として企業の収益を圧迫している、ということです。

本来、商品や製品の販売価格は企業が自分で決める訳ですが、同じような商品や製品の市場での価格に合わせざるを得ません(スーパーなんかでも、同じような商品は大体同じような価格になっていますよね)し、企業自身の努力だけで上がっていくという性質のものでもありません。そうなると、如何にして、1個当たりの費用を下げて利益を確保するか、ということが課題となります。

1個当たりの費用という視点で考えた場合、企業にとって生産数量が少ない現在のような状況では、固定費の影響が大きいですから、固定費の削減が必須です。それ故、固定費の代表選手である設備投資にかかる費用や、人件費を削減する方向へ走らざるを得ないことになります。

結局、前回と同様、固定費を削減することの重要性をお伝えすることになりましたね。固定費というキーワードを携えて、企業のリストラ案などのニュースをお読みいただけると、その目的がより鮮明にご理解いただけるんじゃないかな、と思います。

 

 

日本経済新聞社 http://www.nikkei.co.jp/

 

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