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VOL0021-在庫調整  98/DEC/15 朝刊3面「変化の胎動実感薄く−12月の日銀短観」

「主要製造業の製品需給判断も国内外ともに大幅な供給超過が続いている。過剰な生産力が生み出した在庫を懸命に減らしているが、需要が逃げ水のように減ってしまい、在庫調整のペースが追いつかない状況だ。在庫調整が進まず、経営者が需要回復に自信を持てない限り生産は回復しない。」(ここまでを文章Aとします・・筆者注)

「需給が緩んだままでは製品価格の下落にも歯止めがかからず、価格と生産数量の両面から企業収益が圧迫される。企業収益の悪化は一段の雇用、設備投資調整を招き、需要減少につながるという悪循環だ。」(ここまでを文章Bとします・・筆者注)

今回はこの記事を解説してみたいと思います。

まず、文章Aです。在庫調整とはどういうことでしょう。企業にとって過剰な在庫を持つことは良くないことです(なぜ良くないかについてはVOL017−在庫を読んで下さい)。売れ行きが良くない状況(需要の減退)下においては、企業は新たな製品や商品を生産する(供給)よりも、手持ちの在庫を販売することを優先し、適正な在庫水準にまで在庫を減らすよう努力します。これが、在庫調整ということです。

つまり、文章Aでは、こういうことを言っています。・・モノが売れない(逆に言えば、誰も買わない)ので、企業の手持ちの在庫が増えてしまった。そこで企業は、在庫を一生懸命に販売する一方で、工場のラインを一部休止するなどして商品や製品の生産量を減らして、手持ちの在庫を減らすように努力しているけれど、思うようにはいかない。だから、手持ちの在庫が売れ、さらに売れるだろう(このまま行くと在庫が足りなくなってしまうから、頑張ってもっとたくさん製品を作ろう)という予測を企業の経営者が持てない限り、企業が生産量を元の水準にまで戻すことは無いだろう。

次に文章Bです。・・モノが溢れている(企業はたくさん在庫を抱えているのに、買おうという人がいない)状況下では、モノの価格は下がる一方である(スーパーでも最近安売りが多いですが、売れ行きは良くないようですね)。価格が下がり生産数量(販売数量と考えていいと思います)は減少しているから、企業の利益が減る(なぜそうなるか、については後日説明します)。企業の利益が減れば、リストラをしたり新たな設備投資(VOL001−設備投資を参照して下さい)を控えたり、企業は費用削減を図る(そうしないと赤字となり倒産してしまいますから)。この行動が、例えば、工場の設備(機械など)を販売している企業や文房具を販売している企業の利益を減少させる。そうすると、今度はそれらの企業が費用削減を図るから、その企業にモノを売っている企業の利益が減少して・・・・、これがぐるぐる循環していくから、日本全体のモノを買うという行為全体が減少する。となると、さらにモノの価格は下がり・・・・・。

 

要するに、まだまだ厳しい状況が続くんだろうなあ、と企業の経営者は考えている、ということです(まとめすぎですかね?)。

ちなみに、日銀短観とは、日本銀行が3ヶ月ごとに行っている主要企業短期経済観測調査のことで、生産高、売上高などの項目について前期実績や当期予測、来期予測を回答する計数調査と、業況についての判断を回答する判断調査の2本立ての調査です。今回発表されたのはこの11月に行われた調査の結果です。

 

日本経済新聞社 http://www.nikkei.co.jp/

 

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