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VOL035-有価証券評価損  1999/APR/01 朝刊1面「企業の株式評価損縮小」

3月末の株価はどーなるんだろう、と、恐らく多くの経営者や経理担当者がハラハラドキドキしていたことでしょう。

3月末の日経平均株価は1万5836円で終わりました。記事によりますと昨年の3月末よりは少し低い水準ですが、昨年の9月末(3月期決算企業にとっては中間期末)よりは、18%ほど高い水準で終わりました。

記事にありますが、昨年の9月末は株価が低迷していたため、多くの企業は下落幅の大きかった銀行株式を中心として多額の評価損を計上しなくてはなりませんでした。銀行株式はもちろんのこと、企業の株式は株式持ち合い(VOL026を参照して下さい)のため企業にたくさん保有されていますから、株価下落が企業損益に与える影響も大きかったんです。

それにしても巨額ですね。日産自動車の場合、9月末の評価損が760億円、3月末が180億円。新日本製鉄は、550億円が200億円台に。

株式持ち合いのところでも、ご説明しましたが、お互いの株式を持ち合うことによるメリットと、市場の動向によってこれだけ損益がぶれてしまう、あるいは本業の儲けを株式評価損によって吐き出してしまう可能性があるというデメリット、そのバランスをどう取るのか、企業の悩みは尽きないです。また、時価会計の足音も近づいていますから、ますます深刻です(VOL029会計制度の変更トピックスをご参照下さいね)。

さて、株式評価損についてもう少し説明をしておきましょうか。現在の企業会計の原則は原価法、つまり、その資産をずっとそのまま保有している限り、買ってきた時の価格のまま、帳簿に載せておくのが基本です(VOL004含み益をご参照下さい)。一方、株式等については低価法という方法を採ることもできます。低価法というのは、帳簿上の価格と決算時の時価とを比較して、低い方の価格で評価する方法です。この時、もともとの帳簿上の価格と時価との差額が評価損として計上されます。

多くの上場企業は、取引所の相場のある有価証券(つまり上場企業の株式等)について低価法を採用していますから、保有する取引所の相場のある株式の株価が下がれば、その評価損を計上しなくてはなりません。

それから、表題では有価証券評価損と書きました。記事の見出しは株式評価損とあります。有価証券には株式の他、社債なども含まれますので、有価証券の方が大きな概念です。企業会計上の区分としては、株式や社債という区分はなく、有価証券が単位になっていますので、企業の決算書上は有価証券評価損として表示されます。また、低価法の適用も、株式についてだけ適用するということではなく、有価証券全体に適用されます。

 

日本経済新聞社 http://www.nikkei.co.jp/

 

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