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VOL039-過剰設備  1999/MAY/9 朝刊1面「解消できるか過剰設備 下」

過剰設備、紙面でよく見かける言葉ですね。ちょうど5月10日付けの「経済闘論(朝刊5面)」に意味が解説されていますので、これを引用します。

「工場、機械など生産設備(通常は土地を除く)が需要の現状を考えた場合にどのくらい多いかの概念。普通は需要不足による分と過大な投資によるものの両方を含む。経済企画庁の内部試算では85兆円の過剰設備があるという。第一生命経済研究所は115兆円、国際証券は139兆円(需要不足による分を除く)と推計。」

需要、つまりモノを買いますという欲求と、供給、つまりモノを売りますという意志とのバランスの上で経済社会は成り立っています。そのバランスが現在の日本では崩れており、需要に比べて供給が大きく過ぎる状況にあります(VOL21-在庫調整もご参照下さい)。

過剰設備は、新規の設備投資を抑制したり、設備の稼働率を低下させたり、さらなる供給過剰を産み、景気の回復を遅らせていると考えられています。過剰設備を解消しなければならない、ということは、経済全体を考える立場からも、また個々の企業の立場でも一致した意見です。

しかし、現実に設備を廃棄するには、超えなければならないハードルがたくさんあります。このため、過剰設備を解消しなければならない、と思っていても、なかなか進んでいないのが実状です。

例えば、ある企業がA工場を閉鎖しようとすると、設備を解体するにも巨額な費用が必要ですし、A工場の従業員の雇用問題(他の工場へ転属させるか、解雇するか)もあります。大抵の場合、大きな工場の周囲には、いわゆる下請け企業がありますから、そこに対する補償問題も起きるかも知れません。

また、大きな工場はその地域の税収(地方税)や収入(工場の従業員相手の飲食店など様々な店のお得意様になっているはずです)の多くを担っている場合がありますから、地元の反対もあるかも知れません。そして、土地が簡単には売れない(買い手がいない)状況であることも大きなハードルの一つです。

この過剰設備の解消に対しては、優遇税制(特別に税金を安くする制度)が必要だとして経団連等が政府に対して要望を出しています。

 

日本経済新聞社 http://www.nikkei.co.jp/

 

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