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お母さんのための

日経新聞入門講座

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VOL048-ROE(Return On Equity) 番外編12

最近、日経新聞の経営者へのインタビュー記事などでも、ROEに対する経営目標が語られている場合が増えています。以前、VOL-008株主資本のところでも取り上げましたが、今回は、なぜROEが注目を集めているのかを考えてみたいと思います。

言葉の意味を、現代用語の基礎知識1997版で確認しておきましょう。

ROE(Return On Equity)〔株式市場用語〕
株主資本利益率のこと。税引き利益を株主(自己)資本の期首・期末平均で割って算出する。企業活動の結果、株主資本に帰属する利益がどの程度あったかを示すもので、株主の立場からみた収益力指標。金融や新規上場を除く東証一部上場三月決算会社のROEを見ると、一九九六(平成八)年三月期決算で三・六一%。回復傾向とはいえ、アメリカの会社が平均で一○%を上回っているのに比べいかにも見劣りする。ROEをさらに高めていかないと株式相場の本格的立ち直りは困難との見方も多く、ROE重視の経営への転換が叫ばれている。

株主資本とは、株主たる株式会社のオーナーが、株式会社の運営のために拠出した金額です。この元手となる資金を利用して、株式会社の経営者は業務を運営します。一方、税引き利益とは、株式会社が1年間業務運営を行ってきた結果の最終的な儲けの金額です。つまり、ROEとは、この元手に対してどれくらいの利益が上がったのか、という指標ということになります。

例えば、お母さんが、100万円を儲けたとします。その元手が、1千万円だった場合は、10%の利益率となりますし、1億円だった場合は、1%の利益率となりますね。同じ100万円の儲けを獲得したとしても、元手が1億円かかるより、1千万円の方が、元手が少なくて済んだ訳ですから、元手となる資金を効率良く運用して、儲けを獲得したということになりますよね。

このROEも同じ考え方です。株主の拠出した元手に対して、どのくらいの利率(効率)で儲けを獲得できたのか、ということを示す指標ということです。少ない元手でたくさんの利益を獲得できる会社の方が、株主としては、もちろん、嬉しいですよね。

この元手に対する効率の良し悪しを、投資の判断基準として考えることが定着しつつあるようです。ROEの他、ROA(Return On Asset)という指標なども注目されています。ROAは、会社の事業を行うための設備などの資産の金額に対する利益率です。これも、会社が所有する資産の効率的な活用ができているか、すなわち、資産から生み出される利益がどの程度なのか、ということを見る指標です。

ROEが企業を見る上での主要な指標の一つとなってくると、企業の経営者は、「効率性」という視点で、自社、あるいは企業グループ全体を見つめていく必要があります。不要な資産を抱えてないか?、資産が効率的に活用されているか?、あるいは、ある事業自体を行うことが企業全体の効率という観点からどんな意味を持つのか?、その事業を自社で行う必要があるのか?等々、検討すべき項目はたくさんあると言えます。

 

日本経済新聞社 http://www.nikkei.co.jp/

 

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