村上春樹の『夢のサーフシティー』(1998.7.8)

村上春樹の『夢のサーフシティー』(1998.7.8)



『 CD-ROM 版 村上朝日堂 夢のサーフシティー』(朝日新聞社)が発売されたので、さっそく読んでみた。
 
村上朝日堂というサイトがあって、自由に村上春樹氏に e-mail を出せるようになっている。村上は精力的に返事を書いていて、一日何通も返信しているのがサイトを見ればわかる。ただし、e-mail は編集者を通過して一度チェックされているから、すべてそのまま全部というわけではないだろう。ホームページ上に載せるという前提なので、それは仕方のないところなのだろうが。吉本隆明氏への e-mail という企画のサイトもあるが、ここはあまり活発ではないようだ。
 もともと e-mail というのはたいした内容のものを交換するわけでもない。特に趣味や連絡や仕事に使わないならば、他愛のない内容がほとんどだろうし、それがおもしろい。ある意味ではなんでもない内容というのがいちばん好ましく感じるときもあるくらいだ。村上も同じことを書いていた。とはいえ、公開されている村上の返信にはそれなりに生活感があって村上ファンならば楽しい。本に付いている CD-ROM はこのサイトのHTMLファイルのコピーである。
 村上は「文芸春秋」に「ポスト・アンダーグラウンド」を連載しているが、『アンダーグラウンド』についても読者の感想など載っている。このエッセイでも「村上春樹『アンダーグラウンド』その2(1997.4.20)」、に『アンダーグラウンド』の感想へのリンクを募集しているので、見つけた方は教えてくださると幸いです。
 この本については、村上のリラックスしたインターネットへの態度と、気さくなやりとりが印象に残る。そして、それだけでこの本はよかったのではないかと思う。

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