せつないヴィジョン(1997.1.14)

せつないヴィジョン(1997.1.14)


鋭い人が
ミルクのように崩れる瞬間がある

せつないヴィジョン
たとえば
ふつふつと煮えている男女が
ちょうど正午
パン屋の前で
出くわす
そして
きつく抱き合う
キスする

葉脈が肉を落とし
落下する昼間
あなたへの査定は
貸金庫の
せつないヴィジョンは問題にされない

朝市が始まり
見えだす女

ガラスに映るいかつい髭面

不条理劇のエキスパートが
ミルクのように崩れる
理路が黄色くまだらに

清水鱗造 週刊詩 目次前頁(犬への文書(1997.1.21))次頁(断片(1997.1.7))

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