鯛焼き(1997.11.18)

鯛焼き(1997.11.18)


やがて地下鉄電車は
渋谷駅に入った
人々は青い椅子や白線のところに
たむろして
ドアが開くのを待っている

僕は人の出入りは気にせずドア付近で
ぼんやりしていた

ちょうど目の前は階段の下だ
OLふうの女性がふたり
鯛焼きを袋から出し
熱いので手の上で跳ねさせている
やがて鯛焼きは同時にふたりの口に入る
「おいしいね」
と言ったのが
唇の動きから
わかる
電車は急行に乗るために待っている人を残し
闇に入っていく

◆清水鱗造 週刊詩 目次◆前頁(マック(1997.11.25))◆次頁(猫(1997.11.11))◆

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