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Review: Rigolus, Rigolus
2007/01/15
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
Rigolus
(Chief Inspector, CHHE200707, 2006, CD)
1)Dave 2)Machiavelika Portugal 3)Les Salons Bourgeois 4)Boin-Boin 5)Bouse À Bush 6)Anis Canyoning 7)Bardenberg 8)Marguerite 9)Buluz 10)Finger In The Freezer 11)Ich Bin Müde 12)N.T.R 13)Grosse Frida 14)Fanfaren 15)Ah Ouip 16)Riffilus Actif 17)Envie De Toi
CD-Extra: video clip: Envie De Toi
Recorded 2006/5.
Thomas de Pourquery (saxophones alto et soprano, chant), Laurent Bardainne (saxophone ténor, chœurs), Sylvain Rifflet (saxophones baryton et soprano, flûte piccolo, chœurs), Stéphane Decolly (basse, effets, chœurs), Nicolas Larmignat (grosse caisse, cloches, cymbales, chœurs), Gaël Chosson (caisse claire, percussions, cymbales, chœurs); Rigolettes: Maud Chabanis, Marjolaine Karlin, Marie Menand, Amélie Payen, Lucréce Sassela, Karine Sérafin.

Rigolus はパリ (Paris, FR) の CNSM (Conservatoire National Supérieur de Musique et de Danse de Paris、 パリ国立高等音楽・舞踊学校) の学生だった Laurent Bardainne, Thomas de Pourquery, Sylvain Rifflet の3人の saxophone 奏者によって2003年に結成されたグループだ。 Bardainne は、Limousine (⇒MySpace) という jazz/improv の bass-less guitar trio を率いる他、 パリ・モンマルトル (Montmartre, Paris) のアート・スクワット Les Falaises を拠点とするミュージシャンのコレクティヴを核に2002年に設立されたレーベル Chief Inspector (関連レビュー) の多くのセッションに参加している。このリリースも Cheap Inspector からだ。 また、de Pourquery は Orchestre National de Jazz, Charmediterranéen (ECM, ECM1828, 2001, CD) に参加している。 パリの jazz/improv シーンで活動する若手のミュージシャンが核となったグループだ。

硬派な jazz/improv を演奏していそうなバックグラウンドだが、 演奏しているのは自称 "Mégalo-rock ex-fanfare"。 "Bardenberg" のような ska-core のような曲もあるが、 全体としては R&B のバックバンドのよう。 もしくは、少々 rock'n'roll 〜 punk 的にタテノリながら funky だったり latin ぽかったり waltz だったりするリズムと、 それに煽られ下世話なフレーズをブリブリと吹く sax 3本で盛りあげる ダンスバンドという感じだ。 ナンセンス気味のかけ声のような歌声も可笑しいし、 女性コーラス隊 Rigolettes の lounge 的なコーラスも、 punk 的なノリと微妙にミスマッチで、コミックバンド的な雰囲気も感じられる。 彼らの MySpace から辿れる YouTube の映像を観ていても、CDよりライヴの方が面白そうだ。 もちろん、アップテンポな曲でも3管揃ったフレーズも鋭く、 リズム隊の切れ味も良く、曲の崩し方も巧い。 若干テクニックの無駄使いのような気もするが、単なる雰囲気遊び以上の演奏だ。

CDには extra で "Envie De Toi" の video clip (QT形式) が収録されている (MySpace でも観られる) のだが、 レトロな disco のパロディっぽい雰囲気だ。 この曲は、鋭角な guitar のカッティングやリードを取るようなベースライン、 disco っぽいリズムなど、 収録曲の中ではちょっと異色に 1980s 初頭の new wave 的な雰囲気がある。 そういった所も気に入っている。

この Rigolus ほどコミカルではないが、1990年代末から活動している ロンドン (London, UK) の jazz ミュージシャンのコレクティヴ F-IRE Collective の中の出世頭的なグループ Acoustic Ladyland も似たようなグループだ。 Cheap Inspector や F-IRE のようなコレクティヴを背景に持つ所も似ている。 もっと free jazz 寄りだが、 PJ Harvey、Yeah Yeah Yeahs、The White Stripes などの曲も演ってしまう スウェーデン (Sweden) の Mats Gustafsson (saxophones) と ノルウェー (Norway) の Ingebrigt Håker Flaten (double bass), Paal Nilssen-Love (drums) による trio The Thing のようなグループもある。 そういったヨーロッパ (Europe) の他のグループとの同時代性を感じるところも、 Rigolus を興味深く感じる点だ。この手の表現が流行りつつあるのだろうか。

[sources]