Triosk はシドニー (Sydney, NSW, AU) 出身の jazz/improv の trio だ。 Leaf レーベルからリリースしている electronics を使うグループということもあり、 日本では electronica の文脈で主に受容されているように思う。 同じくシドニーの piano/bass/drums trio The Necks と似て、 electronica 以降ならではの反覆感やノリを感じる演奏をするグループだ。 実際、Triosk のサイトの News によると、Triosk のライブに The Necks のメンバーが参加することもあるようだ。
ライブは前半後半の2セットに、アンコールが1曲の約2時間、 drums の Pike が合間に曲の紹介などの MC を挟みつつのライブだった。 bass を中央に、上手に drums、下手に piano という配置であった。 The Headlight Serenade (Leaf, BAY49CD, 2006, CD) の印象から、繊細なアコースティックな音のテクスチャを生かし 少しまったりした感じに淡々と演奏するかと予想していたのだが、 アンプを通した大きめ bass や piano の音に手数の多い drums が応じる、 力強い演奏を楽しむことができた。
特に惹かれたのは drums の Pike だ。 drums のセットは標準的のものだが、 snare や floor tam、膝の上に cymbal のプレートを置き、 鈍い金属音を出しながら叩きまくる所が面白かった。 CDで聴いていたときは、こういった音はサンプリングかと思っていたからだ。 Pike は IDM 的なぎくしゃくめの反覆感をあるリズムを叩くときももちろんあったが、 むしろ、反覆によるグルーブ感は bass や piano、computer に任せて 自由に叩くような展開も多かった。 次第に3者ドシャメシャな展開になることもあり、 electronics も有効に使っているが jazz/improv 色濃い演奏に感じられた。 そして、そういう所も楽しめたライブだった。
Waples は椅子に腰かけあまり派手な動きを見せずに effect も控えめに淡々と低音を繰り出していた。 Klumpes は右手で Rhodes、左手で piano を弾きまくっていたが、 アンコール前の最後の曲では Roland SH-101 を弾いた。 チープめの音を少し歪ませての演奏も面白かったので、 もっとこれを活躍させて欲しかったようにも思った。