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Review: Roswell Rudd & The Mongolian Buryat Band, Blue Mongol
2007/04/30
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
Roswell Rudd & The Mongolian Buryat Band
(Sunnyside / Soundscape Series, SSC1147, 2005, CD)
1)The Camel 2)Gathering Light 3)Behind The Mountains 4)Steppes Song 5)Djoloren 6)Four Mountains 7)Buryat Boogie 8)Blue Mongol 9)Bridle Ringing 10)Ulirenge 11)American Round 12)The Leopard 13)Honey On The Moon
Produced by Verna Gillis and Roswell Rudd. Recorded: spring and fall of 2004.
Roswell Rudd (trombone, meliphone, scat singing), Battuvshin Baldantseren (throat singer, limbe (flute), ikh khur (horse head bass), khomus (jaw's harp)), Badma Khanda (vocals), Dmitry Ayurov (morin khur (horse head fiddle)), Kermen Kalyaeva (lochin (dulcimer), khalmyk dombra (lute)), Valentina Namdykova (yatag (zither)).

Steve Lacy、Archie Shepp らとの共演で 1960年代初頭から US free jazz/improv の文脈で活動する trombone 奏者 Roswell Rudd が、 モンゴル (Монгол / Mongol) の ブリヤート (Бурят / Buryat) の ミュージシャン5人からなるグループと共演した作品だ。 Toumani Diabate をはじめアフリカ・マリ (Mali) のミュージシャン達と共演した Malicool (Universal (France) / Soundscape Series, 014 801-2, 2002, CD) (レビュー) に続く、Rudd の非欧米のミュージシャンとの共演プロジェクトだ。 ただし、マリで録音された Malicool と違い、 録音はニューヨーク (New York, NY, USA) で行われている。

収録されている曲のうちブリヤートの伝承曲は約半分の6曲 (1, 3, 9, 10, 12曲目)。 ゆったりした曲調のものから馬が駆けるようなリズムの曲まで、 基本的に伝統的な曲の雰囲気を生かしたもので、 弦楽器のアンサンブルに伝統的な木管楽器やホーミー声が乗り、 folk 的なメリスマが軽く効いた高い通る女性の歌声が詠唱する。 それに Rudd が柔らかい trombone の音色添えるという感じだ。 Baldantseren と Rudd の共作の6曲目では、 overtone/throat singing と trombone の improv 的な duo が楽しめる。

Rudd 作の4曲のうち、"Gathering Light" や "Honey On The Moon" は 伝承曲に近い旋律をゆったりめの演奏に載せた曲だが、 "Buryat Boogie" と "Blue Mongol" は jazz との折衷色が濃い。 特に "Buryat Boogie" は doublebass 代わりの morin khur (馬頭琴) と piano 代わりの lochin (dulcimer) で boogie-woogie するのだが、 それがハマっている。 少々際物とは思うが、このアルバムの中で最も気に入っている曲だ。

歌物ではマリの女性歌手 Oumou Sangare の歌 "Djoloren" を取り上げているのだが、 女性歌手のゆったりしたメリスマも普通に馴染んでおり、 クレジットに書かれていなければ気付かないほどだ。 女性歌手ではなく хөөмий (khöömii, ホーミー) で歌う gospel 曲のメドレー "American Round" ("Swing Low Sweet Chariot" 〜 "Coming In On A Wing And A Prayer" 〜 "Amazing Grace") も、 ゆったりしたアレンジのせいか、ブリヤートの伝承曲に自然に馴染んでいる。 こういった消化の良さも面白い。

企画物臭さは否めないのだが、それなりにまとまった作品に仕上がっていると思う。 これで終ることなく、 Malicool とも併せて次の展開を期待したい。

[sources]