TFJ's Sidewalk Cafe > Cahiers des Disuqes >
Review: Some Bizzare Artists, Redefining The Prologue: 1981-2006
2007/05/10
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
(Some Bizzare / Universal (UK), 1707688, 2006, CD)
1)Soft Cell, "Memorabilia (MFF Mental Remix)" (2005) 2)Monkey Farm Frankenstein, "Just Another Victim" (2006) 3)Meka, "Accelerate (Yer Man Remix)" (2005) 4)Depeche Mode "Photographic" (1981) 5)Einstürzende Neubauten, "Der Kuss" (1989) 6)Mainstream Distortion, "Insect" (2005) 7)Scraping Foetus Off The Wheel, "Water Torture" (1983) 8)The The, "Twilight Of A Champion" (1983) 9)Soft Cell, "Little Rough Rhinestone" (1984) 10)Cabaret Voltaire, "Crackdown" (1983) 11)Swans, "Time Is Money (Bastard)" (1985) 12)Einstürzende Neubauten, "Yu Gung" (1985) 13)Dave Ball, "In Strict Tempo" (1983) 14)Test Department, "Plastic" (1983) 15)Dark Poets, "Crazy" (2006) 16)Psychic TV, "Finale" (1983) 17)ZGA, "Who Has Stolen The Air" (2003) 18)The Grid "8 Miles From Memphis" (2005)

1981年に Stevo Pearce によって設立されたロンドン (London, UK) の post-punk なレーベル Some Bizzare の設立25周年のアンソロジー Redefendig The Progolue: 1981-2006 が、去年 (2006年) 10月にリリースされている。

Some Bizzare は独立系レーベルというよりマネジメント/原盤製作会社に近く、 契約ミュージシャン毎に他のレーベルと配給・プロモーションの契約をしているものも多かった (例えば、Soft Cell は Polydor、The The は Epic (Sony)、Cabaret Voltaire は Virgin)。 レーベル色は Soft Cell や The The のような pop/rock 色濃いものから、 Psychic TV、Cabaret Voltaire や Einstürzende Neubauten、Test Department、Foetus など industrial 色濃いものまで幅があった。 しかし、1990年代に入ってほとんど活動停止状態となった。 この第一期ともいうべき1980年代の録音が11曲収録されている。

その後、2000年代半ばに活動を再開、 Marc Almond (ex-Soft Cell)、Monkey Farm Frankenstein、Meka、Mainstream Distortion、Dark Poets、ZGA、The Grid (ex-Soft Cell の Dave Ball のグループ) といったアーティストの新録のリリースをしている (もしくはその準備中である)。 この第二期ともいうべき2000年代の録音が7曲収録されている。

1980年代の音源は特にとてもレアな曲が収録されているわけではなく、入門盤的な面が強い。 そういう点では、Soft Cell や The The にヒットしたシングル曲が選ばれていないのは、少々残念な気もする。 そういうヒット曲も含めて、1980年代の録音のみに焦点を当てたアンソロジーを編集して欲しかったように思う。 しかし、コンピレーションからヒット曲が浮き上がらず、 通して自然に聴かれるという点では良いかもしれない。 2000年代の録音の方が若干音が太くてしっかりしているようにも感じるが、 あまり deep で minimal な音や IDM のような変則的なビート感の影響を受けた音ではないせいか、 通して聴いても統一感を感じる。 post-punk における industrial の pop への展開、というか、 industrial 以降 EBM (electric body music) 以前の音が楽しめる ちょっとしたアンソロジーといったところか。

[sources]