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Review: Haale, Paratrooper; Haale, Morning
2008/01/06
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
Paratrooper
(DarYa, no cat. no., 2007, CD)
1)Floating Down 2)Home Again 3)Ay Del 4)This High 5)Before The Skies
Produced by Dougie Bowne.
Haale (vocals, acoustic guitar), Dougie Bowne (electric guitar, sound effects, drums), Matt Kilmer (percussion), Shane Shanahan (percussion), Ken Hashimoto (cello), Megan Weeder (violin), Timo Ellis (guitar), Thomas Bartlett (keyboards), Sean Lennon (bass, vocals).
Morning
(DarYa, no cat. no., 2007, CD)
1)Navayee 2)Baz Hava 3)Aabeh Hayat 4)Morning 5)Morgue Sahar
Produced by Dougie Bowne.
Haale (vocals, acoustic guitar), Shahzad Ismaily (bass, guitar, drums), Matt Kilmer (percussion), Eyvind Kang (viola), Marika Hughes (cello), Dougie Bowne (guitars, sound effects), Raz Mesinai (percussion).

Haale (aka Haale Gafori) は ニューヨーク (New York, NY, USA) 出身ながらイラン (Iran) 人の両親を持つ女性歌手だ。 この2007年の頭にリリースされた2枚のCDシングルが彼女の初めてのリリースだが、 イランの音楽の要素を採り入れた alt rock の佳作だ。

制作は ex-The Lounge Lizards の Dougie Bowne。 Shahzad Ismaily、Matt Kilmer、Eyvind Kang、Raz Mesinai (aka Badawi) といった、 Tzadik レーベル等から中東の要素の濃い jazz/improv をリリースしている ニューヨークを拠点とするミュージシャンたちがバックを固めている。 といっても、その音楽は jazz/improv 色は薄く、 cello 等を含めた楽器音のディストーションやエコーの使い方も 少々 psychedelic がかった alt rock の女性 SSW といった方が良いだろう。 そんなバックの演奏もあってか、 PJ Harvey を思わせる所もある。

CDシングル2タイトルの同時リリースとなっているが、 Paratrooper が主に英語の歌詞なのに対し、 Morning が Rumi など Sufi 詩人による ペルシャ語 (Persian) の詩を歌っている。 といっても、Paratrooper でも Sufi 詩人の 詩は使われている。 そんなこともあってか、それほど明白にではないが、 Morning の方が若干中東の音楽の要素が強く聴こえる。

2タイトル通して聴いていても、alt rock 色濃い曲よりも、 中東的な音の響きや節回しの方が耳を捉える。 特に、frame drum の軽く乾いたリズムと kemanche のように濁った violin に Haale の歌唱が浮遊する "Navayee" が最も気に入っている。

ちなみに、Morning のジャケットの写真は、 イラン生まれでニューヨークを拠点に活動する現代アートの作家 Shirin Neshat の作品から採られている。

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