Touch レーベルからリリース予定のある Jana Winderen、 Smalltown Supersound レーベルからリリースのある Alexander Rishaug と 映像作家の Marius Watz の duo、 Rune Grammofon レーベルから リリースをしてきている Alog の 3組からなる ノルウェー (Norway) の実験音楽のショーケースだ。 Winderen, Rishaug & Watz, Alog の順でそれぞれ1時間弱、 合わせて約3時間のパフォーマンスを演った。 laptop computer を使っての演奏がメインだったが、 そんな中では自作楽器を交えての Alog のパフォーマンスが楽しめた。
Alog は Espen Sommer Eidet と Dag Are Haugen の duo。 Eidet は analog/digital effecter や laptop に向かうだけでなく、 新作ターンテーブル改造楽器 "Tabularasa" や センサを仕込んだ木製打楽器、管楽器などを演奏。 一方、Haugen は、主に 小型の手回しオルガンのような外見の自作楽器 "Slåttberg" や electric guitar を演奏をした。 自作楽器は、物自体の鳴りを生かしたものというよりも、 effects のトリガとして主に使われていた。 音としては、electro-acoustic の域から大きく外れるものではなかったが、 単にスイッチやスライド、ダイアルを弄る以上のパフォーマンス性が生じていた。 特に、10cmくらいの木片2つをカンカンと打ち鳴らす音に反応するトリガが、 面白かった。 Rune Grammofon レーベルから リリースされてるCDで聴いていた限り、 特に個性的な electronica とは思っていなかったので、ライヴを観られて良かった。 また、後半は、フィンランドを拠点に活動する Emi Yamamoto の ノイジーな effects を加えて演奏した。
Jana Winderen はグリーンランド (Greenland) での field recording を音源に利用した laptop 演奏しながら 録音時のグリーンランドの風景写真をスライドショーを見せた。 続く Righaug & Watz は、Righaug の作り出す 沸き上がるような電子音のテクスチャに合わせて、 Watz がその音を奥行きのあるテキスタイルのような抽象的な画像に変換して投影した。 laptop に向かうだけのパフォーマンスも1990年代風だし、 映像が繰り出す音を説明するかのような関係で互いを裏切るような緊張感が 無かったのも残念だった。 しかし、Winderen の風切り音のテクスチャなど、悪くはなかった。