Alan Silva といえば1960年代から free jazz の文脈で活動する アメリカ (USA) の bass 奏者だ。 Silva は Albert Ayler など多くの free jazz のアルバムに参加しているが、 特に、自分のリーダー作を含む 1970年前後に BYG / Actuel レーベルのアルバムに多く参加していた (Dave Burrell: Echo (1969) が印象深い)。 また、Cecil Taylor の Unit Structures (Blue Note, 1966)、 Conquistador! (Blue Note, 1966) や It Is In The Brewing Luminous (hat Hut, 1980)、 そして、Sun Ra が MPS に残した It's After The End Of The World (MPS, 1970) などもそうだ。
そんな、Alan Silva の big band プロジェクト The Celestrial Communication Orchestra のコンサートを観てきた。 Silva の1970年前後の録音を聴くことはあっても、 最近の活動はほとんどフォローしていなかった。 しかし、日本の free jazz の文脈で活躍するミュージシャンを集結させた Orchestra のラインナップに惹かれ、観に行ってきた。 正直に言えば、緊張感高い凄い演奏というものでは無かったけれども、 激しい音やアウトな音にもオールスターセッション的な余裕の感じられる 和やかなライブが楽しめた。
Alan Silva は中央壇上で、時折 synthesizer を弾きつつ、身振りで指示を出していた。 楽器音を重ねてテクスチャや重層的なリズムを作り出すような指揮ではなく、 手数と音圧で勝負するような free jazz において、 単なる音の出し合いにならないよう Silva が身振りで交通整理するような コンダクションの仕方が印象に残った。 もちろん、手を振りながらフレーズを叫んだり、キーボードでベースラインのフレーズを弾いて、 吹くフレーズの指示を出すときもあった。 特に両手を胸の前でぐるぐる回す指示 (おそらくトリルのような装飾フレーズを意味していた) での Silva の動きが面白かった。
オーケストラについては、brass & reeds 陣は役者揃いだったが、 ルックスも似た 坂田 明 と 梅津 和時 が並んで座り、 時折それを意識したかのような吹きあいをするのが可笑しかった。 また、左翼のリズム隊 八木 - O'Rourke - 山本 - Nicholson が硬質で improv 的なのに対し、 右翼の 藤井 - 谷川 - 小山 - 井野 に jazz 的なイデオムを感じることが多かった。 しかし、その印象も、琴と piano という楽器の音色のせいかもしれない。