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Review: Isabelle Olivier: My Foolish Harp; Isabelle Olivier: Island #41; Isabelle Olivier Océan: Petite & Grande
2010/06/06
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
(ENJA HW / Yellow Bird, enja 9196-2, 2009, CD)
1)Tokyo Bossa 2)Pêle-Mêle 3)Wae 4)Mister 5)Echo 6)Movie 7)Storia 8)Miss Murple 9)Crazy 10)On The Lake 11)Tango 12)My Foolish Heart 13)#1 (Remix by Senso)
Isabelle Olivier (harp); David Venitucci (accordion) on 1,2,11; Youn Sun Nah (vocals) on 3,12; Louis Sclavis (bass clarinet) on 5,7,8; Peter Erskin (drums) on 4,6,9,10.

Isabelle Olivier は1990年代に活動を始めたフランス (France) の harp 奏者だ。 Sébastien Texier (Henri Texier の息子) らとのグループ Océan など主に jazz/improv の文脈で活動している。 最新作は4人のミュージシャンとの duo を集めたものだ。 harp という楽器のせいか folk/roots もしくは classical な雰囲気も感じる jazz/improv が楽しめる作品だ。

Venitucci の accordion との duo による “Tokyo Bossa” や “Tango” などその曲調も親しみ易いけれども、 free 色濃い展開の方が楽しめた。 ヨーロッパで活動する韓国系の歌手 Youn Sun Nah (Act からリリースがある) との duo も 普通に歌う “My Foolish Heart” より 自由にスキャットする “Wae”。 最も耳を捉えたのは Sclavis との duo。 重い bass clarinet の響きと harp の音色とのコントラストも良く、抽象度高い展開もかっこいい。 Erskin も、もっとリズムを刻むかと思いきや、音を散らすような展開が良かった。

ラストの &ldquo#1” は 12曲目までの音源を Olivier Sens が remix したもの。 といっても、ダンスフロア指向のものではなく、 electronics 処理を加えた 5tet での演奏のように、巧くまとめている。 むしろ、この編成でアルバムを聴いてみたくなった。

合わせて前2作を簡単に紹介。

Island #41
(Nocturne, NTCD380, 2005, CD)
1)Motians 2)La Vie 3)Island #41 4)Everything Happens To Me 5)Rettriger 6)Baleines 7)Océan Blues 8)Sonic Boom 9)Alhambra 10)Interlune 11)Donna Lee 12)Nocturne 13)Fiction 14)Travel Vibes 15)Body Board
Enregistré: 2005/05.
Direction artistique: Sébastien Texier; except 1,5,8,10,11,15) Olivier Sens
Isabelle Olivier (harp), Olivier Sens (laptop).

My Foolish Harp の “#1” で remix を手がけることになった Olivier Sens との duo だ。 “Donna Lee” のようなスタンダード曲も演奏しているが jazz のイデオムは強くない。 メロディを弾くというより、プリペアドも駆使した harp の響きの断片を散りばめていくような曲も半分ほどある。 Sens の処理もループでリズムを刻むようなものではなく、harp の響きを控えめに変形させるようなもの。 サワリを効かせて thumb piano のように演奏する “Travel Vibes” なども耳を捉える。 Sens による electronica な音処理と Olivier の harp の音が絡み合う、 繊細な音空間が楽しめる作品だ。

Petite & Grande
(Métamorphose / Nocturne, HA312, 2004, CD)
1)Rebonds 2)Valse Marine 3)Petite Et Grande 4)Solo 5)Planeur 6)Go 7)Espace 8)Intermède 9)Dérives
Enregistré, coordonné et mixé par Sylvain Thévenard.
Isabelle Olivier (harpes), Johan Renard (violon) on 1,2,5,6,8,9; Sébastien Texier (saxophone,clarinette) on 1,2,5,6,9; Jean-Philippe Viret (contrebasse) on 1,2,5,6,8,9; Antoine Banville (batterie) on 1; Louis Moutin (batterie) 2,5,6,9; invité: Didier Lockwood (violon) on 7.

Johan Renard、Sébastien Texier らとのレギュラーの 5tet Océan によるアルバムだ。 saxophone をフィーチャーしドライブ感を感じるような展開もあり、 post-free/ECM 的なものではあるが jazz のイデオムが強く感じられる。 5tet のもの以外に、solo 2曲と Didier Lockwood との duo 1曲を収録している。 “Solo” のデストーションがかった electric harp を聴かせる一方、 Lockwood との duo “Espace” では流麗な展開も聴かせてくれる。

5tet Océan と duo Olivier - Sens の演奏を収録したDVD Harpe(s)... (Métamorphose et Oléo Films / Nocturne, 2007, DVD) もリリースされていた。DVDは未入手未見だが、 一部は Dailymotion 等で観ることができる。 また、Nocturne 以前にも Océan によるアルバムを2タイトルリリースしている (こちらも未入手未聴)。