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Review: Yoriyuki Harada / Isao Suzuki / Louis Moholo / Tristan Honsinger / Tobias Delius / Sergey Letov (live) @ Za-Koenji 2, Tokyo
2010/07/31
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
World Kaibutsu Sextet
『Inter Improvisation Music Festival 2010 —— KAIBUTSU LIVES!』
座・高円寺 2
2010/07/29, 19:30-21:30
World Kaibutsu Sextet: 原田 依幸 [Yoriyuki Harada] (piano), 鈴木 勲 [Isao Suzuki] (bass), Louis Moholo (drums), Tristan Honsinger (cello), Tobias Delius (tenor saxophone, clarinet), Сергей Лето [Sergey Letov] (saxophones).

CDレーベル オフノート による jazz/improv のフェスティバルだ。 2007年に続いて2回目。 2007年の時は他のライブと重なって行かれなかったので、今回、足を運んでみた。 ラインナップは、梅津 和時 との共演で知られる 原田 依幸、 The Blue Notes や Brotherhood Of Breath 等で知られる南アフリカ出身の Louis Moholo、 オランダの ICP Orchestra や Tobius Delius 4tet 等で共に活動する Tobius Delius と Tristan Honsinger。ここまでは、2007年と同じだ。 bass は2007年時の Henry Grimes に代わり、 オフノートから 原田 との duo をリリースしている 鈴木 勳。 さらに、ソ連時代から活動するロシアの saxophone 奏者 Sergey Letov も加わった。 前半、後半、およびアンコール1回と、6tet 編成で約2時間のライブを演奏した。

演奏では、特に楽譜を観たりコンダクションを入れたりする様子もなく、ほぼ即興のみと思われるもの。 electronic/electronics な音処理も無く、piano が入っていたせいか、 特に前半は1970sの free jazz/improv を動態保存しているよう、とすら感じた。 しかし、後半、Tristan Honsinger が展開を引っ張っているように聴こえる所があり、 彼の cello のフレーズを手がかりに楽しむことができた。 ほぼ弓引きのみで、特殊奏法を特に駆使するわけではないが、 時にちょっと classical ながらひょうきんなフレーズを弾き、 時に濁った音色で強くギコギコと鳴らし続け、 また、cello を弾く手を止めて唸るように口ずさんだりと。 6人の中で最もイメージ喚起力のある演奏をしているように感じた。

今回の一番の目当ては、2007年に見逃した Louis Moholo。 Johnny Dyani や Dudu Pukuwana ら同郷南アフリカのミュージシャンとの共演した作品が好きなので、 一度は生で観ておきたい、と思っていたのだ。 今回のライブでは、大きな体躯ながら短いマレットを多用して細かく小さく刻むような演奏が、印象に残った。 最初のうちはモニタスピーカの調子が悪そうだったので、 それで静かに叩いているのかと思ったのだが、それだけでも無かったようだ。 しかし、全体として派手に鳴らし合うことは多くない展開には、合っていたかもしれない。