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Review: Soldier Of The Road: A Portrait Of Peter Brötzmann (DVD); Brötzmann (DVD)
2011/12/01
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)

1960年代から free jazz/improv. の文脈で活動するドイツの saxophone 奏者 Peter Brötzmann は 今年で70歳ということで、記念のコンサートやイベント、レコード等のリリースが多くなっている。 (残念ながら、10月13-20日の70歳記念ツアー in 日本は見逃したが。) そんな中、ドキュメンタリー映画のDVD も2タイトルリリースされている。

(Cinésolo, no cat. no., 2011, DVD[0])
Produced and Directed by Bernard Josse.
93 min. / colour / 16:9.

Brötzmann のキャリアを、 過去の録音やスチル写真、最近のライヴ映像、そしてインタビューを通して描くドキュメンタリー映画。 キャリアも長く様々なグループで活動してきたわけだが、その多様な面を約1時間半にまとめている映画だ。

撮影は2008年から2009年にかけて行われており、 以下の4つの編成でのライブやレコーディング、その前後のセッティング等の様子が捉えられている: Full Blast (with Marino Pliakas and Michael Wertmüller)、 Chicago Tentet (with Joe McPhee, Fred Lonberg-Holm, Ken Vandermark, Michael Zerang, Paal-Nilssan-Love, Jeb Bishop, Conny Bauer, Johannes Bauer, Kent Kessler)、 The Damage Is Gone Quartet (with Joe McPhee, Kent Kessler, Michael Zerang), Sonore (with Ken Vandermark, Mats Gustafsson)。 3〜5分程の演奏の映像がそれぞれ1、2回程使われている。 また、Brötzmann の住んでいるヴッパータール (Wuppertal, Nordrhein-Westfalen, DE) の スタジオ界隈でのインタヴュー映像等を通して、生い立ちから美術作家 (版画、絵画) としての一面なども捉えている。

過去の活動としては、初期の1970年前後の Machine Gun Octet に Trio (with Fred Van Hove and Han Bennink) に焦点を当てており、 録音とスチル写真の他、当時の共演者である Evan Parker、Fred Van Hove、Han Bennink の3人がインタビューで登場している。 初期と最近の間の活動、例えば1980年代の Last Exit (with Bill Laswell, Sonny Sharrock, Ronald Shannon Jackson) が抜けているが、 約1時間半にまとめようとすると仕方ないかもしれない。

ボーナス映像として、インタビュー (合計約30分) とライヴ映像 (合計約30分) が収録されている。 映画中で用いられているものもあるが、 おそらく撮影したけれども時間等の都合で編集の段階で落としたと思われるものもある。 インタビューは映画中でもインタビュー登場した Evan Parker, Han Bennink, Fred Van Hove, Peter Brötzmann の他、 Brötzmann も設立に関わった FMP (Free Music Production) の プロデューサ Jost Gebers、Full Blast の Michael Wertmüller の6人、 ライヴ映像は以下の4グループのものが収録されている:

(Siegersbusch, no cat. no., 2011, DVD[PAL/2,3,4,5,6])
Ein Film von René Jeuckens, Thomas Mau und Grischa Windus.
76 min. / colour / 16:9.

2011年4月18-20日にロンドンの Cafe OTO と [公演情報]、 続く4月21-23日にヴッパータールの Café ADA での、 Peter Brötzmann Chicago Tentet のライブの映像を核に、 Tentet のメンバーの証言や Brötzmann 自身のインタヴュー (Chicago Tentet のメンバーへのコメントも含む) を通して Brötzmann の姿を浮かび上がらせる ドキュメンタリー映画。 ライブ映像は Soldier Of The Road よりも断片的。 また、ライブの直前の2011年4月14日にヴッパータールで開催されたパネルディスカッション (Brötzmann の70歳を記念した イベントの一つ) の映像も使われており、Jost Gebers や、親交深いジャーナリストらも登場する。 さらに、ギャラリーでの記念個展の様子も捉えている。

ほとんど2011年4月の撮影で、ライブ映像も Chicago Tentet のみという点で、 Brötzmann のキャリアを振り返るドキュメンタリーというより、 70歳記念イベント中の Brötzmann の様子を追いかけたドキュメンタリー、といった方がよいだろう。

ボーナス映像は、同じ監督による Sounds Like Whoopataal (2011)。 Brötzmann や Peter Kowald、Hans Reichel を輩出した ヴッパータールの jazz/improv 近傍のシーンを捉えた約30分のドキュメンタリーだ。 2011年の3月から5月にかけてヴッパータールの ort (Peter Kowald の運営するスペース) で撮影されている。 ただし、Brötzmann、Kowald、Reichel といった広く活動している有名なミュージシャンは登場せず、 地元のミュージシャンに焦点を当てた内容となっている。 取り上げられているミュージシャンは、 Geraldi Si & Justin Sebastian, Gunda Gottschalk, Gorilla Moon, Moodi ALlen, Klaus Untiet / Bolle Grölle / Ernst Dieter Fränzel, Bernd Köppen。