Amira こと Amira Medunijanin はボスニアのサラエボ (Sarajevo, BA) 出身の女性歌手。 2000年代以降、グループ Mostar Sevdah Renunion の歌手などとして活動している。 2011年にリリースされたソロ名義でのアルバムは、 セルビアのベオグラード (Београд, RS) 出身ながら フランスの jazz/improv の文脈で活動する piano 奏者 Bojan Z (Бојан Зулфикарпашић [Bojan Zulfikarpašić]) の制作によるもの。 偶然見付けた Amira & Bojan Z の2010年のベオグラードでのライブ映像 [レビュー] が非常にかっこ良かったので、遅ればせながら入手した。
残念ながらライブで演奏していた曲 (“Ajde Jano”) は収録していないし、 それに近い Bojan Z の内部奏法などを駆使した演奏が聴かれるのは “Grana Od Bora” だけ。 といっても、Amira の blues 的とも感じる (彼女はそれを Sevdah と呼んでいる) 歌い方は jazz 的なニュアンスもある演奏にも自然に馴染んでいる。 マケドニア出身の Vlatko Stefanovski [Влатко Стефановски] (ex-Leb i Sol) がゲスト参加した2曲も良い。 しかし、自分にとっては若干スムーズに過ぎると感じる所もあって、聴いていて不完全燃焼気味。 “Grana Od Bora” や、 セルビア出身の Nenad Vasilic (Balkan Band で知られる) の doublebass の伴奏のみで歌うオープニングの “Bele Ruže”、 深い残響の中にずぶずぶと沈むような “Sabahzorski Vjetrovi” のような演奏が半分くらい入っていれば、と。
Amulette の前の Amira のアルバムは、 同郷ボスニア出身の accoudion 奏者 Merima Ključo との duo。 Ključo は classical や jazz/improv に近いバックグラウンドを持っており、 folk dance チューン的にリズミカルに聴かせる曲もあるが、 むしろ、間合いを生かしたむしろゆったりした演奏に Amira の詠唱を乗せるような曲で聴かせる。 轟々というノイズ的な響きの上に歌声が漂う “Mehmeda Majka Budila” のような曲も、凛々しくて良い。
Merima Ključo は、チェコの Iva Bittová (violin, vocals)、 Klezmer Madness で知られるアメリカの David Krakauer (clarinet) とのグループ Checkpoint KBK でも活動しているとのこと。 YouTube [1, 2] で聴く限りでは良さげなので、このグループでのアルバムを聴いてみたい。