TFJ's Sidewalk Cafe > Cahiers des Disuqes >
Review: Tomoko Mukaiyama: Mulius#2 - Dance on Piano (concert) @ Setagaya Museum, Tokyo
2014/02/03
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
Mulius#2 - Dance on Piano
世田谷美術館講堂
2014/02/01, 15:30-17:30
前半: 1)François-Bernard Mâche: Styx (1984) 2)Igor Stravinsky: Le Sacre du Printemps (pour 2 pianos à 8 mains) (1913) 後半: 1)Eric Satie (comp.), John Cage (arr.): Socrates (1944)
コンセプト, ビデオ: 向井山 朋子.
向井山 朋子 (piano), Gerard Bouwhuis (piano); 前半のみ: 浦壁 信二 (piano), 佐藤 祐介 (piano).

アムステルダム在住のピアノ奏者 向井山 朋子による 「新たな音楽空間を追求するコンサート」。 今回ば、 2台のグランドピアノを向かい合わせに並べて、 その周囲に30台余りの液晶ディスプレイを配置してのビデオインスタレーションの中でのコンサートだった。

前半は、フィルム傷しか無いような白い画面が、 演奏に合わせてかあうつだけの画面を映す中、 ピアニスト4人が2台を連弾、いわゆる 2 pianos 8 hands。 最初の François-Bernard Mâche: Styx (1984) の時はピンちこなかったが、 続く Igor Stravinsky: Le Sacre du Printemps では、 パーカッシヴな演奏を堪能。 最初は piano 2 hands で作曲されたとは聞いていたがそれを聴いたこともなく、 もちろん 2 pianos 4 hands に編曲された演奏を聴くのも初めて。 オーケストラよりメカニカルに聞こえる所が、かっこよかった。

しかし、映像の喚起力は強い。昨年は100周年ということで、 BBC による初演時の再現映像を観る機会があったが、 そのおかげで、導入部 のメロディを聴いただけで、その映像を思い出した。 そんなことも、この演奏がとっつきやすかった一因かもしれない。

後半は1920年代の白黒サイレント映画を素材にした映像を投影。 J. C. Mol による花の開花や結晶析出を低速度撮影した実験映像や、 トリノの子供コンテストの記録映像とのことだが、 サイレント映画というより、新即物主義の写真が動いているよう。 そんな白っぽい映像がステージのあちこちで蠢く様も綺麗だった。 特に開花の映像は、ステージが花畑になったよう。 演奏も、2人のデュオと手数は少なめ。 Eric Satie 作曲、John Cage 編曲の Socrates (1944) も、 そんな映像に寄り添っているようにも聴こえた。