Anne Gravir Klykken はノルウェーの folk/roots の文脈で1990年代から活動する女性歌手。 ノルウェーではよくあることだが、jazz/improv のミュージシャンとの共演もあり、 Knut Buen, Bugge Wesseltoft, Michiyo Yagi, Anne Gravir Klykken: Tonebod (Nyrenning, NYCD12, 2008, CD) のようなリリースもある (残念ながら未入手未聴だが)。 一方の Frøydis Grorud も2000年前後から活動するノルウェーの女性 saxophone 奏者で、 女性歌手 Torun Eriksen の録音に参加している他、自身のリーダー作を Jazzland からリリースしている。
Klykken と Grorud はキーボード奏者 Torjus Vierli を加えてのトリオ Vintermåne として活動していたが、 これはデュオでアコースティックな音作り。 folk の歌手らしい森奥から響くような Klykken の詠唱に、 Grorud が音数少な目にゆったりした伴奏を添える。 flute での伴奏など folk 的だが、Jan Garbarek を思わせるような soprano sax の時もある。 柔らかい tenor sax を吹くときは jazz 的なイデオムが滲み出すようで、それも良い。 ECM や Kirkelig Kulturverksted、NOR-CD からいかにもリリースされそうな音で、 個性的な音というほどではないが、ゆったり落ち着いた雰囲気が楽しめるアルバムだ。