デンマークとの外交関係樹立150周年を記念して、実験的な音楽をメインに、 アート、デザイン、食などを含めた文化交流イベント Opposite 2017 が、 SuperDeluxe で10日間にわたり開催されています。その3日目のライヴを観てきました。
ILK Music からリリースのある デンマーク=ノルウェー混成のピアノトリオ (Finsrud がノルウェー出身)。 リーダーの Simon Toldam は Han Bennink のベースレストリオでも活動している。 Bennink のトリオはCDで聴いたことがあったが、このトリオを聴くのは始めて。 北欧ということで繊細な音使いを予想していたが、意外とオーソドックスな free jazz のトリオだった。 悪くないのだが、Soldam があまり強い音を使わずに他の音に埋もれてしまい、少々物足りなく感じてしまった。
Mats Gustafsson / Johan Berthling / Andreas Werlin のトリオ Fire! の拡大編成 Fire! Orchestra へも参加している drums 奏者 Mads Pind Forsby の Illdjinn 名義での drums ソロ。 electronics も使うということだったが、electronica 的なテクスチャを作り出すような使い方はせず。 時間進行が伸縮するような free なソロではなく、techno / electronica 以降の細かく多層的に進行するようなリズムでもなく、 金属音やリムショットの硬い音を多めに交えつつもしっかり刻むようなソロだった。
YARAYAWA は日本=デンマーク混成の4tet。 Meldgaard, Vofnsen, Sakan に drums の Muneomi Senju [千住 宗臣] が通常の編成だが、 今回は、Senju の代わりに Illdjin こと Mads Pind Forsby が入り、 安藤 暁彦 をゲストを迎えての5tetの編成で。 electronics を使うミュージシャンが多いけれども、techno / electronics 以降ならではの (nu jazz 的な) 音使いではなかった。 特に後半になるにつれて、音量の大きさと手数の多さで戦うかのようなフリーな即興になっていった。 最近は electronica 的なセクスチャを意識した繊細な音使いが好みということもあり、すっかり遠ざかっていたが、 1990年代はまだこういうフリーな即興をよく聴く機会があったことを思い出すような演奏だった。
3セットとも electronica 色薄くて意外とオーソドックスな即興のライヴに聴こえた。 1セットが短いショーケース的なライヴということで、さほど期待せずに臨んだせいか、 意外と気楽に楽しめたように思う。