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Review: Väsen (live) @ Oumigakudou, Tokyo Opera City 3F, Tokyo
2019/02/09
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
近江楽堂 (東京オペラシティ3F)
2019/02/03, 17:30-19:00.
Olov Johansson (nyckelharpa), Roger Tallroth (12-string guitar), Mikael Marin (5-string viola).

1989年に結成されたスウェーデンの folk/roots グループ Väsen が、 結成30周年を記念して来日、その軌跡を辿る5回連続コンサートを開催しました。 2000年前後に NorthSide レーベルの活動を追っていたので Väsen もその頃から知っていましたが、 これまでもの度々の来日も公演が終わってからそれを知ることが多く、見逃していました。 今回も第1回コンサートの後に知ったのですが、5回連続だったおかげで、4回目のコンサートに足を運ぶことができました。 4回目のコンサートは “Väsen street 2009-2013 From Väsen Street & Mindset” と題されていて、 2010年前後のアルバムからの曲を演奏するという内容でした。 (MCからは必ずしもその時期の曲でないものも演奏していたように聞こえましたが。)

主にクラッシックの室内楽やソロ演奏に用いられているステージも固定席も無いこじんまりとした会場で、観客用に並べた椅子も100席ほど。 上手から viola (Tallroth), nyckelharpa (Johansson), guitar (Marin) という並びで、 PAは用いず、アコースティックな楽器の響きを生かしていました。 ライブなのでもう少し即興的な要素があるかと予想したのですが、そうでもなく、 viola と nyckelharpa がユニゾンで、もしくは、代わる代わるに、時に装飾フレーズを加えて、歌うようにメロディを弾き、 guitar はコードをかき鳴らしてリズムを刻んでいきます。 viola と nyckelharpa もピチカートする曲もありましたが、間合いを取って音の余白を使ったり、 各楽器がこの基本的な役割から大きく逸脱する (例えば viola や nyckelharpa の通奏低音の上でで guitar がソロを取る) ことはほとんどありませんでした。 ノリの良い polska の曲を中心に、しかし、演奏中に掛け声などの声を上げることもなく、足をふみ鳴らす程度で、荒っぽさのない丁寧な演奏でした。

スウェーデンの民族楽器 nyckelharpa をCDで聴くことはそれなりにありますが、演奏を生で聴くのは久しぶり。 最近は遠ざかってたタイプの音楽ですし、アンコール2回を含めても1時間余りというコンパクトさもあって、最後まで集中を切らすことなく新鮮に楽しむことができました。