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Review: Български гласове – Ангелите [The Bulgarian Voice – Angelite] (concert) @ Sumida Triphony Hall
2019/10/14
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
すみだトリフォニーホール
2019/09/18, 17:30-20:00.
Български гласове – Ангелите [Bulgarian Voice Angelite], Катя Барулова [Katya Barulova] (conductor); guest: 笙アンサンブル《星筐 -Hoshigatami-》: 東野 珠実, 三浦 礼美, 中村 華子.

Хор БРТВ, София [The Bulgarian State Radio & Television Female Choir, Sofia] (ブルガリア国営ラジオ・テレビ局コーラス) を母体に1987年に結成されたブルガリア女性コーラスグループの日本公演です。 もともとソロで歌われていたブルガリアの民謡に1950年代 Филип Кутев [Philip Koutev] らによって女声ポリフォニーとして編曲されるようになり、 それが1980年代に欧米に Мистерията на българските гласове [Le Mystère des Voix Bulgares] として紹介され知られるようになった、 倍音成分多めの地声の女声ポリフォニーです。 欧米に広く知られた後、ドイツの音楽レーベル/エージェント JARO の下で別れて活動するようになったコーラスが The Bulgarian Voice – Angelite です。 (当初は JARO のコーラスも Le Mystère des Voix Bulgares と名乗っていましたが、名称の権利が Хор БРТВ 側にあることになって、The Bulgarian Voices – Angelite と名乗るようになったということのようです。) 現在の指揮者/音楽監督は2018年に就任した6代目の Катя Барулова [Katya Barulova]。 Le Mystère des Voix Bulgares や The Bulgarian Voices – Angelite は、 1986年の Le Mystère des Voix Bulgares (Disques Cellier, 1975; 4AD, CAD603, 1986, LP) のリリース以来、 レコード/CDでそれなりに聴いてきましたが、生で聴いたことがなかったので、これも良い機会かと足を運びました。

休憩を挟んで前半、後半、あと長めのアンコールで2時間半程度のコンサートでした。 ブルガリア各地の民族衣装を纏った18人の女性歌手が、ソロや少人数の掛け合いで前に出たり、ゆっくり歩きながらもありましたが、ほぼ横一列に並び、コーラスします。 ゲストの入った後半の頭とアンコールの一部を除き、ほぼコーラスのみで、 曲により percussion や тамбура [tambura] を軽く添えることもあった程度でした。 レコード/CDでそれなりに聴いてきたので、新鮮さ面白さはありませんでしたが、 倍音成分多めのコーラスはCDよりもライブの方がよく聞こえます。 ソロとか掛け合いとかが視覚化されますし、民族衣装もチャーミングで、レコード/CDで聴くよりわかりやすく、楽しめました。 (隣席が咳が多い人で、後ろの席が小声でうめくように独り言いい続ける人で、 ライブの良さ悪さ相殺という感もありましたが。まあ、ライブではこういう時もあります。)

The Bulgarian Voice – Angelite は他のミュージシャンとの共演も多く、 特にロシアの Moscow Art Trio や中央アジア・トゥバの Huun-Huur-Tu との共演はかなり良いものでした。 このコンサートでは、雅楽の笙アンサンブルと競演しましたが、音色が似過ぎて出会いの妙というものは感じられませんでした。 雅楽と共演ではブリガリアの民謡に基づく曲を2曲演奏する一方で、 日本の歌を取り上げたのですが、それらは雅楽と関係なく「ソーラン節」と「ふるさと」。 日本の伝統的な音楽を演奏するミュージシャンと共演したり、日本の歌を取り上げてたりするのであれば、 何か一つのコンセプトに基づくディレクションがされてる方が良いと思うのですが、 そういう脈略が全く感られなかったのは残念でした。